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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1482/2453

第1482話:御飯が不味くなっちゃいそう

 フイィィーンシュパパパッ。


「こんばんはー、本日二回目」

「また来たか。いらっしゃい」


 魔境で一稼ぎしたあと、イシュトバーンさん家にやって来た。

 片目を隠した髪型の美少女番警備員ノアが言う。


「旦那様の機嫌がいいんだ」

「イシュトバーンさんの機嫌はいつもいいでしょ?」

「妙にテンションが高いというか? 温泉だ温泉だと」

「あー」


 イシュトバーンさんが飛んできた。


「イシュトバーンさん、そんなに温泉楽しみなの?」

「楽しみだぜ」

「絵を描く方が主目的なんだからね?」

「よおくわかってるぜ」


 ん? 転移だ。

 ヴィルとガルちゃんが現われる。


「御主人!」

「よーし、よく来た! ヴィルいい子!」

「本日はお招きありがとう存じます」

「これお土産のお肉」

「おう、じゃあ中入ってくれ」


 屋敷に通される。


          ◇


「ドミティウスがブツブツ文句を言ってるんですのよ? ユーラシア君が来ないって」

「何なのガルちゃん。席に着くなりその御飯が不味くなっちゃいそーな爆弾発言は」


 普通に閣下が会話に出てくるのはいいのか?

 まあイシュトバーンさん家ならいいか。

 イシュトバーンさんがニヤニヤしている。


「あんた何やらかした?」

「何にもしてないって。でも閣下の不満はわかる。美少女成分が不足してるんだね?」

「違いますわ。ルーネロッテを……」


 ルーネだったか。

 この前連れまわしたのが相当楽しかったらしい。

 ユーラシアさんが冒険者がーってルーネが言ってるのを、父ちゃん閣下は苦々しく思ってるんだろう。


「もっと遊んでやってくれねば。ルーネロッテが不満がってるのを見るのはつらいって」

「あれ? 何だそれ。予想と違ったぞ?」


 もっと遊んでやっていいのか。

 考えてたよりもずっと娘に甘かったでござる。

 かといって魔境に連れてくと文句言うんだろうし……。

 

「温泉に連れてけばいいじゃねえか」

「危ない目に遭わせるなって言われてるんだよね」

「危なくはねえだろ?」

「イシュトバーンさんの前に可愛い子を晒すのは、危ない内に入らないのかなあ?」


 むしろ最も危険な気がする。

 イシュトバーンさん、ルーネのことは絶対気に入るしな?

 ま、お父ちゃん閣下に了解取ればいーか。

 

「明後日帝都行くんだ。ルーネと会うと思うから、施政館にも寄るよ」


 施政館に呼び出される気がするのだ。

 何となくだけど。


「明後日ですね。ではそうドミティウスに伝えておきますわ」

「楽しみが増えたぜ」

「御飯来たっ! いただきまーす!」


          ◇


「ごちそーさまっ! 大満足です!」

「大満足だぬ!」


 イシュトバーンさん家では完全に食後にデザートが定着している。

 スイーツうまうま。

 ガルちゃんが聞いてくる。


「温泉とはどこにありますの?」

「ドーラ西域のノヴォリベツという村だよ。ガルちゃんも興味ある?」

「いえ、報告は情報が多い方がいいですから」

「おお、ガルちゃん真面目だな」

「鄙びた温泉地だぜ」

「鄙びてるんだ?」


 フィフィも言ってたな。

 ヒバリさんが関わって長らく西域街道の終点だったっていうから、結構賑わってるのかと思った。

 イシュトバーンさんが首を振る。


「昔は栄えてたって話だぜ? しかしドーラ自体が観光や保養に金使おうって国じゃねえだろ」

「わかる」


 残念ながら今のドーラはビンボーだ。

 ヒバリさんは西域街道で発展するドーラを思い描き、ノヴォリベツももっと繁盛させるつもりだったんだろう。

 おそらくはヒバリさんのいた一〇〇年前から、当時考えてたほどドーラは大きくなっていないってことか。

 申し訳ないなあ。


「大体食べ物が美味くないのが良くねえ」

「そーなの?」

「土に含まれてる成分がな。風呂にはいいんだが、耕作には向いてねえ土地だ」

「ふーん」


 なるほど盲点だ。

 作物はポーン辺りから買いつけるんだろうが、お客さん多くないんじゃいい食材も買えないだろうし、料理人もやる気にならないんだろうなあ。


「改善点はあるもんだなあ。御飯がおいしくないのはいただけないね」

「よろしくないですわ!」

「ガルちゃんもそう思うよねえ。泊り客を逃がしちゃいそう」

「塔の村開村で客自体は増えたと聞いてる。が、確かに飯が不味いんじゃ泊り客が増えるとは思えねえな」

「ノヴォリベツも問題抱えてるんだなあ」


 もっとも大した問題じゃない。

 客が多くなれば全て解決だ。

 となれば塔の村~カトマス間の人の往来が多くなることが先決。

 塔の村の素材やアイテムの需要が多くなるには……。


「やっぱ人口かー」

「どうしても人口の大小に帰結するよな。ただ焦ることはねえんじゃねえか?」

「移民が大勢来ているのでしょう?」


 あたしがせっかち過ぎるのかな?


「ま、ドーラ全体で見れば、移民が大勢来てることは確かなんだけどさ。人口のアンバランスが気になるじゃん?」

「レイノスより東に比べて西域はってことか?」

「うん。アルハーン平原はクー川左岸も中流上流も未開発だから、どんどん居住域広げられるけど、西域はなー」

「魔物がネックだな」

「街道に埋められてる基石ってどういうものなの? 魔物除けだって聞いたけど」


 微妙な顔をするイシュトバーンさん。

 何なの?


「埋められてるらしい、ってだけだぜ。実際に確かめたやつはいねえんじゃねえか?」

「マジか」

「あんたに似てるっていう、ドーラ黎明期の冒険者ヒバリが設置したっていう伝説だ」

「ヒバリさんが?」

「実際に街道に出現する魔物はごく少ねえ。基石のせいかはわからねえが、何か仕掛けがあることは間違いねえよ」


 ヒバリさんの行動には、一貫して西域を発展させたいという意図がある。

 港町レイノスとノヴォリベツを結ぶことで、開発の足がかりになることを計画したんだろう。

 ……案外温泉好きなだけかもしれないけど。


「本当だとするとヒバリさんはすごいなー。レイノスより東、今のカラーズにはあんまり関わってないみたいだけど」

「あんただってすげえぜ。ガリアクエストの次はどうなってるんだ?」

「まだ続いてるんだ。『ガリア・セット』って名前のクエストに変わって、霜の巨人のあと、二つクエスト終えたとこ」

「ドミティウスが言ってたわよ? ルーネロッテをスレイプニルに会わせるな、チャンバラさせるなって」

「スレイプニル? 伝説上の神の馬かよ?」


 イシュトバーンさん、興味ありそうですね。

 あのえっちな丸い目になってますよ。

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