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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1481話:ガータンで黒妖石回収

「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。

 うちの子達も連れてガータンにやって来た。

 ヘルムート君とベンジャミンさんがニコニコしている。


「ユーラシア殿、よく来てくれたな」

「そろそろまた黒妖石が溜まってきただろうから、回収しようかと思って」

「うむ、あれだ」


 おおう、結構な量だな。

 転移石碑にできそうな大きいやつもある。

 ありがたいなあ。


「あれ? この近辺だけでこんだけの量なの? 空の民の各集落にはまだあるってこと?」

「いや、皆領主屋敷近くまで運んでくれているのですぞ」

「そーなんだ? ありがたいけど悪いなあ」


 クララの飛行魔法が必要な場面かと思ってたけど。


「ハハハ。領主屋敷まで持ってくれば、すぐに現金になるからな」

「おおう、極めて現金な理由だった」

「ところでそれは?」

「焼いて塩かけて食べるとおいしい魔物肉だよ。以前ベンジャミンさんとこへお土産にしたやつ」


 あれは魔物肉だったのかって顔してるベンジャミンさん。

 言ってなかったっけか。

 でもおいしかったでしょ?

 コブタ肉は数ある魔物肉の中でも、かなり美味い方だよ。


 ヘルムート君が言う。


「ちょうどいい。全空の民の頭を集めた会合があり、昼食を終えたところだったのだ。土産として持っていってもらおう」


 うんうん。

 お肉は何といっても貴重品だからね。

 きっと皆喜ぶだろう。

 集まってきた。


「ユーラシア殿が土産をくださったのだ。皆で分けようではないか」

「ドーラの魔物のお肉だよ。魔物肉の中でも最高クラスに美味しいやつ」

「おお? ドラゴンの肉か?」

「御希望とあればドラゴンのお肉を持ってきてもいいけど、肉食の魔物は不味いって言われてるんだ。わざわざ不味いって言われてるもの食べようなんて思うほど、あたしはチャレンジ精神に溢れていないから、食べたことないな。どうする? 食べてみる?」


 皆さん首振ってるがな。

 まあおかしなものは食べない方がいいと思うよ。


「これは草食魔獣コブタマンのお肉ね」


 魔物かよって尻込みする人もいるけど、元辺境開拓民のスイープのお頭みたいに抵抗ない人も多いな。

 空の民は比較的魔物肉食べたことある人多いみたい。

 いや、元辺境開拓民が多いのかな?


「ここで解体していいかな?」

「うむ、構わんぞ」

「はーい皆さん注目! 魔物の捌き方を伝授します。見逃さないようによーく見ててね。クララ先生、お願いします」


 亜人か? って声が聞こえる。

 クララは精霊ですよ。

 つーか他所ごとに気を取られてていーのか?

 シュババババっと、クララの神技炸裂。


「と、このように一〇秒弱でお肉になります」

「「「「「「「「いやいやいやいや!」」」」」」」」


 総ツッコミだ。

 ヘルムート君とベンジャミンさんの目が点になってる。

 クララの神技は素晴らしいからなあ。


「見逃しちゃった方のためにワンモアチャーンス! クララ、ゆっくりめでお願い」


          ◇


「少しずつだが、他領からの空の民の流入も始まっているのだ」

「へー」


 大騒ぎでコブタマンの解体を終え、明日持ち帰る集落の分は魔法で凍らせたあとのひと時だ。

 ヘルムート君ベンジャミンさんお頭と話をする。


「スイープ殿が空の民連絡網を使ってくれたおかげだ」

「お頭やるなー」


 ガータンは空の民募集中の効果が出ているのか。

 しかしお頭が表情を曇らせる。


「今ガータンに来てるのは本当に寄る辺のない、他では暮らせない者ばかりなんでさあ」


 一般に空の民の食糧事情は苦しいはずだ。

 腹膨れてりゃ山賊しようなんて思わないもんな。

 空の民内でも差別があって、食料を分けるに値しないと考えられると追い出されるものらしい。

 市民権を持たない者同士は助け合うのかと思ったら、考えてた以上に食料事情が逼迫してるでござる。

 メッチャ厳しいなー。


「弱い空の民を小作人として吸収しております」

「うん、いいと思う」


 空の民統治下にいるより領主様の小作人の方が暮らしは安定するだろ。

 数年で市民権を発行するのが前提だろうし。


「ところが身体の弱い者は小作に耐えられないのでな」

「他の空の民から仲間外れにされるのも、労働に耐えられぬ者が多いようでな」

「言われてみると納得だわ。じゃあ農作業に耐えられない身体の人でも働ける施設が欲しいねえ」

「将来的には商・工に力を入れたいが」

「現在のガータンではムリですぞ」


 となると?

 ナップザックから取り出す。


「……これかな。『文字を覚えるための札取りゲーム』」

「「札取りゲーム?」」

「ドーラで作って帝国本土に輸出してる、識字率向上のための遊び道具だよ」

「……なるほど。絵がわかれば字も覚えられる仕組みか。しかし?」

「空の民に字の読み書きを覚えさせよということですかな?」

「すぐに可能ならば理想だよね」


 弱い空の民の教育に時間をかけられないのも事実なのだ。


「公営の託児施設を作ったらどうかってことなんだけど」

「「託児施設?」」

「そうそう。親が働いてる間子供を預かるってやつ」

「労働生産性は上がる、事故も減るということですな?」

「託児施設で札取りゲームを使って、子供に字を覚えさせる。身体の弱い空の民を管理人として雇い、同時にそっちにも字覚えさせるといいよ」

「読み書きをマスターしたら事務仕事に回せばよい、か」


 託児施設では当然食事も出すが、ガータンの農業生産力なら今後食料には困んないでしょ。

 安く経営できるんじゃないの?


「ヘルムート様。商業を発展させるためには、読み書き計算のできる民を多くせねばなりませぬ」

「うむ、教育は重要だ。ユーラシア殿の案を基に考えてみよう」

「読み書き計算は、子供の内に遊びながら覚えちゃうといいと思うよ。大人になってからでも構わないけど」


 やはり読み書きできるできないで職種は変わる。

 肉体が衰えて身体を使った労働ができなくなる時のことを考えれば、マジで重要。


「俺も字を覚えてえな」

「じゃ、お頭にも一セットあげる。いや、今持ってるだけ置いてくわ」


 お頭が字を読めないのは意外だな?

 情報通なのに。


「色々考えることがあって楽しいなあ。計算の方もゲームにして売り出したいんだよね」

「開発したら紹介してくだされ」

「うん。じゃあ頑張ってね。今日は帰るよ。黒妖石ありがとう」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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