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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1474話:オニオンさんに報告

 フイィィーンシュパパパッ。


「オニオンさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「ユーラシアさん、いらっしゃいませ」


 帝都の新聞記者トリオを送ったあと、魔境にやって来た。


「魔境は気持ちが安らぐねえ」

「ハハッ、のんびり魔境に休息に来るのはユーラシアさんだけですけどね」

「皆どこで気分転換してるんだろ?」


 あたしは魔境がなくともあちこち遊びに行く転送先がある。

 おっぱいさんが愉快な石板クエストを配ってくれるからだ。

 他の『アトラスの冒険者』をあたしと一緒にしちゃいけないよな。

 それとも各人が面白い転送先を持ってるのかな?

 割と謎だわ。


「うちのパーティー以外で、今一番魔境に来てるの誰なの?」

「キーンさんヤリスさんのコンビが一番多いですかね。次いでラルフさんでしょうか」

「ドラゴンスレイヤーを狙う組か。ソル君やデミアンやダンは来ないんだ?」

「ソールさんやデミアンさんは最近みえませんね。ダンさんは時折いらっしゃいますよ」

「そーかー」


 ソル君やデミアンはクエストかな?

 いや、デミアンは妹のアグネスを構ってるのかもしれないな。

 ダンは持ちクエストにあんまり拘らず、のんびり冒険者してるんだろう。

 ボチボチ種蒔きや植えつけに忙しい農繁期に入るし、農場の人員を連れ回すのもよくないから。


「今後数ヶ月、夏までは魔境で有用な植物を発見するチャンスだと思うんだよね」

「普通魔境には、強い魔物と戦う手段を確立し、少しずつレベルを上げるために来るものなんですけれどもねえ」

「うーん、人形系の魔物はレベル上げの手段で、お金儲けの目的だったけれども」


 他の魔物を倒すのはついでだな。

 たまにワイバーンの卵がどうしても欲しいって時くらい?


「ユーラシアさんのように、薬草以外の有用植物を見つけて役に立てたいという観点で魔境においでになる方は、今までいませんでした。素材や薬草を目当てにしている方は多いですが」

「あたしが『アトラスの冒険者』になったのは、去年の九の月の一日なんだ」

「秋になってからでしたか。でも魔境で様々な植物を見つけていらしたですよね?」

「うん。だからまだまだいろんなものがありそうで楽しみなの」


 知識が足りなくて利用できない植物とかも多そう。

 今はまだ利用できない植物でも、クララがどこに生えてたか覚えていてくれれば、あとになってから使えるってこともあるだろう。

 魔境探索が必要な所以だ。


「今日のテーマは緑を追いかけてですか?」

「オニオンさんは詩人だなあ。探索の目的は植物がメインなんだけど、オニオンさんに報告しとかなきゃいけないことがあるんだ」

「何でしょう?」

「『アトラスの冒険者』の廃止が正式に決まった」

「やはり、ですか」


 達観したような表情になるオニオンさん。


「ま、仕方ないね」

「いつまでですか?」

「飽魚の月末をもってだって」

「八の月の月末、あと四ヶ月と少しですか。あ、ユーラシアさんはちょうど一年間『アトラスの冒険者』を務める勘定になりますね」

「本当だ。オニオンさんよく気付いたねえ」


 どこか空虚な笑い。

 この一年間はあたしの人生において一番重要な一年だ。

 残り四ヶ月、一日一日を大事にしよう。


「石板クエストが振られるのは、廃止一ヶ月前火竜の月末まで。最後の一ヶ月は既存の転送魔法陣と転移の玉を使えるだけになるって」

「なるほど。寂しくなりますねえ」

「ならないぞ? 代替組織・新『アトラスの冒険者』を立ち上げるからね」

「新『アトラスの冒険者』ですか?」

「わかりやすいから名前は変えなくていいかと思ってるんだ」

「かもしれませんね。期待してますよ」


 期待に応える美少女のあたし。


「ちなみに新『アトラスの冒険者』計画の進捗はいかほどで?」

「ドワーフの仕事っぷりがわかんないんだよね。まず軽い仕事を出してみようと思うんだ」

「軽い仕事とはどういったものでしょう?」

「塔の村とギルドに飛べる転移の玉をデス爺に設計してもらって、注文するの」

「ギルドはわかりますが、塔の村?」


 不可解そうなオニオンさん。


「塔の村の冒険者、皇女リリーと火魔法使いレイカに転移の玉を使ってもらおうと思うんだ。レイカはカラーズ赤の民の村出身の子だよ。二人ともレベル三〇超えてる、信頼できる冒険者だから」

「ははあ、現在所属している『アトラスの冒険者』だけじゃなくて、人員を拡張しようという考えですね?」

「なりたくてもなれないってのが、今の『アトラスの冒険者』の一番の問題点じゃん。悪いところを続ける意味なんかない」

「わかります」


 新『アトラスの冒険者』の運営のためにもドーラの治安のためにも、メンバーの増員は欠かせないのだ。

 あ、ヴィルがオニオンさんとこ行った。

 オニオンさんも楽しくなってきたらしい。


「『アトラスの冒険者』はドーラの治安を受け持ってるという面があるでしょ? ある程度の実力が必要だから、新人入れるのはやめてさ。希望者がある程度のレベルになったりとか、あるいは一定以上のレベルの人をスカウトしていけばいいんじゃないの? もちろん悪人はダメだけど」

「人数を多くするのは既定路線ですか?」

「今までの『アトラスの冒険者』が赤字体質だったのは、人数が少ないのが最も大きい原因だわ。もー赤字を補填してくれるバックがいなくなっちゃうんだから、黒字体質にしないと職員の給料が出なくなっちゃう」

「た、大変ですね」


 慌てなくても大丈夫だぞ?

 今の倍の人数がいれば、アイテム売買の差益だけでも十分プラスになるだろうからね。


「『アトラスの冒険者』廃止についてはまだ秘密なんですよね?」

「管理責任を問われるから秘密、とはチュートリアルルームで言われた。でも廃止三ヶ月前にギルドの職員には告知されるらしいよ。ちょっと早くても構わないと思うから、職員には話しといてよ」

「冒険者には?」

「廃止一ヶ月前にギルドから伝えてもらうって。冒険者にはまだ一応内緒で」

「わかりました。職員には伝え、他言無用を徹底させます」

「お願いしまーす」


 三ヶ月後には代替組織・新『アトラスの冒険者』の目鼻はほぼついてるはず。

 混乱なく移行できることが現在の目標だ。


「行ってくる!」

「行ってくるぬ!」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊及びふよふよいい子出撃。

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