第1471話:新聞記者ズと新聞記者トリオを連れて
フイィィーンシュパパパッ。
「こんにちはー」
「こんにちはぬ!」
「精霊使いじゃないか。それと帝都の新聞記者?」
「「「お久しぶりです」」」
昼食後にもう一度新聞記者トリオを迎えに行き、レイノスのイシュトバーンさん家に連れてきた。
プリンスルキウスを取材したいってことだったから。
今日は移民の来る日なので港に行く予定だ。
直接港に転移してもよかったけど、イシュトバーンさんも可愛いあたしに会いたいだろうからね。
あたし番警備員のノアが驚いてるんで一応説明。
「実はうんたらかんたらで」
「サッパリわからない」
「ノアは理解してくれないかー」
サイナスさんやオニオンさんほど冴えてない。
飛んでくるイシュトバーンさん。
「おお? 帝都の記者じゃねえか」
「「「こんにちは」」」「こんにちはぬ!」
「プリンスの記事ネタが欲しいんだって。今日移民が来る日だからちょうどいいかと思って」
イシュトバーンさんが特有のえっちな目で見てくる。
ルキウス皇子殿下の評価が帝都で上がってるんだな? 話題を提供してプリンス人気を底上げするの。あんたのやることにはムダがねえな、というやり取りを目線で行う。
「近い内に飯食いに来れねえか?」
「じゃあ明日の夜お邪魔してもいい? お肉持ってくるよ」
「おう、待ってるぜ。今から港だな?」
「うん。イシュトバーンさんも行く?」
「行くぜ。ノア、ついて来い」
港へ向けてしゅっぱーつ。
◇
「ユーラシアさん、イシュトバーンさん!」
「密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」
「こんにちはー」
門開けたらすぐ新聞記者ズでした。
どうせ来ると思ってたからビックリはしなかったけど。
新聞記者ズと新聞記者トリオを互いに紹介する。
見比べてみると、やっぱ新聞記者とゆーものは似た雰囲気があるな。
抜け目なさそーで抜けているところとか。
「移民が来るから港へ行くんだよ」
「私達もお供します」
「それでユーラシアさんの面白話を伺いたいのですが」
「ええ? 露骨におねだりにくるなあ。今日はプリンスと移民の記事でいいじゃん」
あれ、新聞記者ズと記者トリオ双方が期待してんじゃん。
仕方ないなーもー。
でもレイノスと帝都両方の新聞記者が喜びそうな話題って……。
「……記事にできることと言えば、フィフィの本の原稿が書き上がったんだ」
「フィフィの原稿とは?」
「あっ、フィフィリア様の紀行文ですか?」
「そうそう」
新聞記者ズの方は知らなかったんだったか。
フィフィの身の上と塔の村へ行った経緯、現在の状況について説明っと。
「なるほど、帝国貴族の子女が西域街道を歩いた記録ですか」
「あたしも読ませてもらったんだ。すげー面白く仕上がった。フィフィも笑いの神に愛されてるから、愉快なトラブルに遭遇しまくったんだよね」
「いつ頃発売になりますか?」
「ドーラでは一ヶ月以内だと思うよ。今印刷を担当してくれる紙屋さんに原稿チェックしてもらってるとこ。ただまだ表紙絵描いてもらってないけど」
「おい、いつ描くんだよ?」
「決まってないんだよね」
「えっ? イシュトバーンさんが表紙絵を描くんですか?」
色めき立つ新聞記者ズと記者トリオ。
おおう、イシュトバーンさんの(えっち絵の)影響力は大きいなあ。
「話題作になりますね!」
「必ず売れるとゆーのに」
「イシュトバーンさんの画集『女達』は、帝都だけでも五万部売れたんです! 現在は地方都市でも発売が開始されていて、最終的には記録的な数になると言われているのです!」
「予定通りだな」
新聞記者ズがメモ取ってる。
なかなか帝都事情はわからんからな。
あたしも詳しい販売部数は知らなかったし。
「今度フィフィに都合を聞いてくるよ」
「予定がないなら温泉で描かせろよ」
「温泉? 温泉か。いいね」
以前ノヴォリベツの温泉行こうぜって言ってた伏線をここで回収しにきたか。
イシュトバーンさんもやるなあ。
あたしも温泉行きたいしな。
「温泉は楽しみだなー」
「色っぽい表紙になりますか?」
「表紙はそうでもないんだぜ」
ふーん、フィフィの本の表紙にも、イシュトバーンさんなりの構想があるようだ。
表紙じゃないところが色っぽくなるのかしらん?
あたしも文字通り一肌脱ぐことになるのかな?
べつに構わんけれども。
「誰もが読むようなスタンダード本にしたいんだよね。ドーラでの販売小売り価格は一五〇ゴールド以下、帝国でも三〇〇ゴールド以下にする予定」
「安いですね? 五〇〇ゴールド以下の本なんてほぼないですから」
「でも庶民にはやっぱり高いんだよ。将来的には気軽に買える値段の本をたくさん出したい。そのためには識字率上げて、購買者の裾野広げないとね」
全員が熱心に頷く。
識字率を上げれば新聞も売れるしな。
あたしの目指す、誰もが自由に行動できることによって様々なアイデアが実現される社会。
結果としてバラエティーに富んだものが手に入る社会を実現したいのだ。
記者トリオが言う。
「『文字を覚えるための札取りゲーム』も帝都でよく売れてますよ」
「帝都の人は元々読み書きできる人が多いでしょ? 地方でも売れるようになってからが本番かな」
「確かに。我が社も地方に支社を出したいと常々言われているんですが」
パッフェルくらいの大都市ならイケそーだけど、別の新聞社があるのかな?
転移装置持ってて同じ内容の新聞を各地で売れるならいいんだろうけど。
「ところで画集『女達』の続編は出されないのですか?」
「続編かー。売れたもののすぐ次って陳腐じゃない? イシュトバーンさんの絵が飽きられるとは思ってないけど」
「帝国に馴染みのある美人で描いてくれないかという要望が多いのです」
「そりゃ嬉しいな。モデルを用意してくれりゃ描くぜ?」
「だからモデルを用意するのが難しいんじゃん」
何で皆してあたしの方見るんだよ。
イシュトバーンさんの好みを熟知してるから?
熟知したかったわけじゃねーよ!
「つっても帝国に馴染みのある美人とか、あたしあんまり心当たりないもん」
「聖女キャロラインはいかがです?」
「キャロは描かせてくれるだろうな」
とゆーか聖女グッズでイシュトバーンさんの描いたキャロのポスター販売したらメチャクチャ売れそう。
聖女グッズ販売にゴーサインが出たら提案してこよ。
港に着いたぞー。




