第1466話:今後どうするか
――――――――――二三七日目。
「さて、どうしよう? 忌憚のない意見を聞かせて下さい」
「姐御、忌憚って何でやすか?」
「難しいことを聞くんじゃないよ。朝から眠くなっちゃうだろーが」
アハハと笑い合う。
朝からうちの子達と会議だ。
こーゆーのも新鮮で、たまにはいいな。
「イッツ、トゥデイのことね? フューチャーのことね?」
「両方だなー」
今日午後からは移民の様子を見に行く。
ホームレス宮廷魔道士エメリッヒさんの人物を確認しておきたいからだ。
が、午前中の予定はまだない。
魔境に行くのもありだが?
一方で残り四ヶ月ちょいと、『アトラスの冒険者』廃止までのタイムリミットも決まった。
今後の大まかなスケジュールを決めておかねばならんということもある。
「ユー様はどなたに『アトラスの冒険者』廃止正式決定のことを伝えるつもりですか?」
「パラキアスさんとデス爺でしょ? あとギルドの正職員には知っててもらいたいから、魔境に行った時でもオニオンさんに言っとこうと思ってる」
「パラキアス様への連絡が一番でしょうか」
「パラキアスさんか。そーかも」
『アトラスの冒険者』以降のドーラの警備体制の問題もあるしな。
エルや異世界との事情の絡みがあるから、デス爺にも知っていてもらいたい。
ただ赤眼天使がバエちゃんとコンタクトを取ってないみたいだ。
急ぎじゃなくてもいい気はしている。
オニオンさんについても同様だな。
特に急いで連絡しなきゃいけない事情はない。
アトムが言う。
「ドワーフどもがどれくらいのスピードで仕事してくれるかもわかりやせんぜ」
「それなー。もうちょっと仲良くしとくのが先か」
「テストすればいいね」
「テスト? 軽い仕事を振ってみるってこと?」
「イエス」
確かにダンテの言う通りだな。
でも軽い仕事と言ったって……。
「……デス爺に設計してもらって、新『アトラスの冒険者』用転移の玉のプロトタイプ製作の依頼出そうか。塔の村とギルドに飛べるようにして、リリーとレイカに使ってもらえばいい」
「村長には『アトラスの冒険者』の廃止について連絡するのですから、ちょうどいいですね」
将来、ドリフターズギルド周辺から各地へ飛べる転移石碑をいくつか設置したいのだ。
塔の村にはビーコンがあるのでそれを流用すればいいし、ギルドにも何らかのビーコンがあるはずだ。
デス爺がギルドのビーコンを理解できるなら、転移の玉プロトタイプに必要な黒妖石は二個でいい。
「今日はどうしやす?」
「……ちょっと考えたんだけど、パラキアスさんに連絡取ったら、帝国行ってくるよ」
「帝国ですか?」
「変な顔してるクララも可愛いよ」
「えへへー」
まあクララが訝しむのも当然なのだ。
帝国での用件には危急なものはないから。
「オードリーとユーラシアの聖女は放っとくと面倒になる気がするんだよね」
「ユー様のカンですか? つまりトラブルが起きるということですね?」
「違うとゆーのに」
「腕が鳴るぜ!」
「スタンバイしてウェイトしてるね」
「違うとゆーのに」
うちの子達が皆何か起きるぞって顔してる。
教育が行き届き過ぎだろ。
「ちょこれえと買ってくるからお昼に食べよう。午後は移民の様子見に行って、時間余ったら魔境ね」
「「「了解!」」」
「よし、会議お終い!」
◇
『ユーラシアだな?』
「そうそう、帝国とガリアの公認聖女ことあたし」
ヴィルを通してパラキアスさんと連絡を取る。
『公認聖女とは何だい?』
「帝国から特級聖女勲章、ガリアからピュアセイント勲章っていうのもらったんだ。ともに新設の勲章なんだよ」
『ハハハ、よかったじゃないか。しかし、ガリア?』
「『アトラスの冒険者』の石板クエストでさ。ラグランドの次にガリアのクエストを回されちゃって。ガリアの王様とふつーにコンタクト取れるようになったから、用があったら承るよ」
『ガリアか。残念ながら今のドーラには遠過ぎる。確か通貨単位も違うんだろう?』
「うん。ギルってやつ。三ギルが一ゴールドくらいの価値って言ってた」
ガリアも巻き込んで商売できるようにしたいなあ。
でもパラキアスさんの言うように、ガリアは遠過ぎる。
燃料をあんまり消費しない、大量輸送手段が欲しいなあ。
「ところでパラキアスさん、今一人かな?」
『ああ』
「これ内緒ね? 『アトラスの冒険者』の廃止が正式に決まった。飽魚の月の末までだって」
『八の月か。思ったより早いな。廃止について知っているのは?』
「何人かに可能性については言ってあるけど、現役の『アトラスの冒険者』には一人も言ってない。正式廃止についてはデス爺とギルドの職員には言っとくつもり」
『『アトラスの冒険者』の代替組織はどうなってる?』
「まだまだこれからだな。ある程度ドワーフと仲良くなったから、今度軽く注文してみることにしたんだ」
『どんな注文だ?』
「塔の村とギルドに飛べるデス爺設計の転移の玉を作ってもらって、リリーとレイカに使ってもらおうかと思ってる。レイカ知ってたかな? 赤の民カグツチ族長の娘だよ」
『ふむ、経過については随時知らせてくれ』
「りょーかーい」
進捗度合いはパラキアスさんも知りたいらしい。
代替組織は現在の『アトラスの冒険者』より、ドーラ色が強くなることは必然だからな。
『今日移民が来ることは知ってるな?』
「うん。昼過ぎくらいに行く」
元宮廷魔道士のエメリッヒさんか。
楽しみだ。
「明日、盾の魔法のスクロール一〇〇〇本を行政府に届けるよ。カラーズ出身の子何人か連れてく」
『この前のケスという子以外にか?』
「ケス以外には、デス爺の孫でドーラ内製スキルスクロールの製造責任者と、カラーズ~レイノス間の輸送隊隊長の妹だよ。皆いい子」
『ほう、面白いメンツだな。アレク君は知っているが』
今後楽しみな子ばかりだ。
聖女たるあたしが言うんだから間違いない。
「来月輸出分のパワーカード、半量はもらってるんだ。もう半量も納品できるかもしれない。明日持っていってもいい?」
『構わない。早い方がいい』
すぐ収入になるからだな。
じゃあアルアさんの工房も今日か明日に覗いてみないと。
「連絡お終い。パラキアスさん、またねー」
『うむ、またな』
「ヴィル、こっちへ戻っておいで」
『はいだぬ!』
ヴィル連れて帝国行くか。




