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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1464話:驚きの転送魔法陣使用法

「ただいまー」

「ただいまぬ!」

「お帰りなさい」


 ヘリオスさんを送ってから帰宅した。


「ボス、トゥデイのディナーはゴーカね。フィッシュアンドミートね!」

「おおう、誰かにバチを当てたくなるくらい豪華だな」

「何ですか、それ?」


 アハハ、美少女聖女ユーラシアのアグレッシブな意向だよ。

 ちょっとお腹が減ってるからかもしれない。


「姐御、新しい『地図の石板』はなかったでやすぜ」

「なかったか。了解」


 ガリアで三つめのクエストが終わったので、『ガリア・セット』も完了ということがあり得たのだ。

 しかしまだ続くらしいな。


「確認ありがとうね」

「『ドリフターズギルド・セット』の時はメニーメニークエストだったね」

「うん。いくつクエストがまとまってたか覚えてないくらいだわ。だから『ガリア・セット』ももっと多くのクエストを集めて配られてるっていうってのもわかるんだけど……」


 現実問題として、ガリアのクエストをたくさん寄越されるってのは意外ではある。

 転送先が王宮で議会政堂とは遠いから、政治的なことに関われってことじゃないみたいだけどな?

 もっとも転送先は今後また変わる可能性もあるんだが。


「まだガリアでクエストがあるということですよね」

「うーん、でももうガリアに行く積極的な理由がないよね? 帝国には行く用事が結構あるのになー」


 ガリアの王様はできる人だ。

 遊びに行ったら楽しいこともあるんだろうけど、あたしも暇じゃないしな?

 いや、クエストをこなしている内に、ガリアにしょっちゅう行く理由が生まれてくるんだろうか?


「勲章が完成したら受け取りに行くんでやしょ?」

「あ、勲章のことは完全に頭から抜けてたな。認定聖女の地位をしっかりと確立しておかなきゃ。じゃ、頃合い見計らって遊びに行こうか」

「「「了解!」」」


 どうせ遊びに行けば、主人公補正で何か起きるんだろ。

 知らんけど。


「あたしバエちゃんとこ行ってくるね」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 チュートリアルルームにやって来た。


「あら、ユーちゃん久しぶり」

「ガルちゃんと食べに来た時以来だっけ? ま、いいや。いっつ、おにーく!」

「やったあ! ありがとう!」


 小躍りするバエちゃん。

 実に面白い生き物だな。


「何か変わったことあった?」

「『アトラスの冒険者』の廃止が正式に決まったの」


 バエちゃんの表情が曇るけど、仕方のないことだ。


「廃止時期はいつになるかな?」

「飽魚の月末をもって」

「八の月の末か。意外と早い。でもまだ四ヶ月あるな。『アトラスの冒険者』の廃止までは、石板クエストも普通に振られるのかな?」

「いいえ、廃止の一ヶ月前火竜の月末までだわ。最後の一ヶ月は既存の転送魔法陣と転移の玉を使えるだけになる」


 ならおっぱいさんにたくさん石板クエストを配ってもらって、特にレベルのまだ低い冒険者を育てた方がいいかもしれない。


「オーケー。ちなみに廃止については誰が知ってるの?」

「まだ誰も。ギルドの職員には廃止三ヶ月前に告知、所属冒険者には一ヶ月前にギルドから伝えてもらう予定よ」

「これあたしの方から皆に言っちゃってもいいのかな?」

「口止めした上、信頼できる人に話すのは構わないと思う。でも情報が漏れ放題になってることが知られると私達の管理責任が問われるの」

「了解。必要最低限だけにしとく」


 じゃあ皆に伝えて、クエスト完了のボーナス経験値をなるべく稼ごうとゆーわけにもいかないのか。

 四ヶ月あればどうにでもなるだろ。

 ん?


「うええええええ!」

「バエちゃん、どーしたの!」

「ユーちゃんに会えなくなっちゃううううう!」

「何だ、可愛いやつめ。『アトラスの冒険者』がなくなっちゃうと、シスターの資格を得られなくなっちゃうから悲しいのかと思った」

「あっ、それもそうだった!」


 チュートリアルルーム職員を三年以上勤めれば、シスターの資格を得られるって話だった。

 バエちゃんの過失じゃないんだから、最後まで勤め上げたってことでシスターにしてやりゃいいとは思う。


「『アトラスの冒険者』廃止後絶対に会えないのかって言われると、違うかもしれないよ」

「えっ? ……どういうこと?」

「これ内緒だぞ? あたしバエちゃんの世界に繋がるんじゃないかと思われる、謎の転送魔法陣を持ってるんだ」


 バアルの最後のお宝として出たやつ。


「ただその魔法陣の上に立つと、『この転送魔法陣を使う資格を満たしておりません』って言われちゃうんだよね」

「管理者用の転送魔法陣に間違いなさそうね」

「使うにはどうしたらいいのかな?」

「ユーちゃんは正式な『アトラスの冒険者』だから、使うことはできるはずよ」

「そーなの?」

「ええ。転移の玉を持っていると制限かかっちゃうけど」


 ははあ、何らかの事情で向こうの世界に呼ぶことも考えられるから、『アトラスの冒険者』に限って管理者用の転送魔法陣を使用できるようにはしておく。

 何も知らない者が来ては困るので、『アトラスの冒険者』であっても転移の玉を持っている者はダメということか。

 『アトラスの冒険者』が転移の玉を持たずに転送魔法陣使うなんて考えられんからな。

 メッチャうまいこと考えたもんだ。


「でもその転送魔法陣も、『アトラスの冒険者』廃止後は使えなくなると思うわ」

「転送魔法陣ごと廃止されちゃうのか。じゃあ使う機会がないな」

「えっ、何故?」

「だってどうせ転送先には番人がいて、侵入者が来ないように厳重に見張ってるんでしょ? あたしに使い方教えたなんてバレたら、バエちゃんがクビになっちゃうじゃん」


 今頃になってアワアワしても遅いわ。


「『アトラスの冒険者』廃止後も使えるんだったら、責任の所在をうやむやにできるけどなー。使えないんじゃ仕方ない」

「残念ねえ」

「ところでエンジェルさんはどうしてる?」

「あれからチュートリアルルームに連絡はないわ」

「ふーん。当てが外れたな」


 バエちゃんから話を聞けば、あたしにコンタクト取ってくると思ったが。

 どうやら赤眼天使はこっちの世界に構ってる場合じゃないらしい?

 『アトラスの冒険者』廃止後はこちらの世界と縁遠くなるだろうし、ならばエルは安全か?


「じゃ、あたし帰るね」

「また来てね」

「お肉持って押しかけるぞー」


 笑い合い、転移の玉を起動し帰宅する。

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