第1452話:ラブリーぽにょは女性騎士
「ごっつあんです! おいしかった!」
今日いただいたのは魚の加工品と根菜の鍋だった。
締めの麦雑炊もグッドでした。
この魚の練り物は、ゼムリヤのやつとちょっと違うな。
ドーラでもウケそう。
いずれ作り方を教えてもらいたい。
「で、王様とぽにょのラブイベントのことだけど。新人女性騎士団の演習の視察と何の関係があるん?」
「うむ、どこから話したものか」
王様ったらラブイベントを否定しないやないけニヤニヤ。
何々、ガリアでは現在爵位が廃止されている?
全部王家の直轄領なん? 違う?
貴族の代わりに『郷士卿』と呼ばれる地方領主がいて、騎士という名目で女性を王宮に送り込んでくる?
「ははあ。とゆーことは、女性騎士って王様の花嫁候補なん?」
「正確には予だけではないが、実質はそうだ」
「つまり新人女性騎士団の演習の視察ってのは、王様が花嫁を見繕うイベント?」
「大体合っている」
ちょっと状況がわかってきたぞ。
女性騎士は王族の花嫁候補として、不定期に召集されるものらしい。
しかし女性騎士になれるような子は引っ張りだこで、仮に王族に見初められなくてもいいとこに嫁ぐものなんだそうな。
「ラブリーぽにょも女性騎士の一人なん?」
「ラブリーぽにょがベアトリーチェを指すならばな」
「騎士ってのは違和感あるけど」
恥ずかしそうに身を縮めるラブリーぽにょ。
あんたはそんなことしてもでっかいわ。
言葉を続ける王様。
「何とかならんか?」
「説明が全然足らないじゃん。つまりラブリーぽにょを妃にしたいけどどうにかなんないかってこと?」
「うむ」
「キュンキュンするわー」
「キュンキュンするぬ!」
ラブリーぽにょも王様好きじゃん。
お似合いだぞ?
どこに問題があるというのだ。
「王様が妃にするって宣言しただけじゃダメなの?」
「予の意思はもっとも重要ではある。しかし王であるゆえな。臣民を納得させるだけの根拠も必要なのだ」
「なるほど?」
つまり女性騎士の中で順位みたいなものがつけられていて、少なくとも上位じゃないと王妃として皆を認めさせることができない。
話になんないということだね?
「例えば美しいだけの高慢な能なしが王妃になったら、国のためにならぬであろう?」
「もっともな理由だねえ」
「ベアトリーチェも、角のない優しい性格や子をたくさん産めそうな身体は高く評価されているのだが」
「どんな評価だ」
たくさん産めそうな身体て。
いや、確かにすげー大事なことかもしれんけど、露骨過ぎるだろ。
ラブリーぽにょ真っ赤になってるじゃん。
「我が国の武を尊ぶ気風から、強さは重要なポイントとなる」
「強さか。だから騎士なんだね?」
「ベアトリーチェは真面目だが、武の面ではからっきしなのだ」
見るからにどんくさそうだもんな。
「何でぽにょは太ってるん? 身のこなしが良くなるはずがないじゃん」
「そ、それは……」
「元々太っていたわけではないのだ。ベアトリーチェは予と昔からの知り合いであり、当然王妃の有力候補と見られるであろう? 女性騎士は王宮庭内の専用の寮で共同生活をしておるが、他の候補から食べ物を押しつけられていてな」
「食べ物をムダにするのも心苦しく……」
「わかる。ムダな食べ物なんてない。あたしでも食べちゃう」
汚い現実というか何というか。
王様はカリスマ性あるし、王妃目指して全員必死なんだろう。
「他の候補達は、御飯減らしてるわけでしょ? そんなんで戦う身体ができるとでも思ってるのかな?」
「まあ皆スマートだな。よって一層ベアトリーチェが目立つわけだ」
「御飯はお腹一杯食べていいと思うけどね」
「……ユーラシアはたくさん食すが太ってないな?」
「奢ってもらえる時は特にたくさん食べられるよ」
アハハと笑い合う。
まあレベルが上がると代謝が良くなるとゆーか、燃費の悪い体になるんだよ。
言い換えると、おいしいものをたくさん食べられる幸せボディーが手に入る。
ともかくぽにょを取り巻く大体の状況は把握したぞ。
「新人女性騎士の演習の視察って何やるの?」
「予は見てるだけだ。午後一時から四時までと聞いておる」
「内容はわかんないんだ?」
「二時から隊員同士で模擬試合なんです。トーナメント形式で行われます。試合開始までは自主練というか、ウォーミングアップの時間ですね」
王様の前で勇姿を見せて悩殺しちゃうぞってことか。
同時にある程度の順位付けを行うんだな?
「優勝したりすると、かなりのアピールポイントになっちゃうってことだね?」
「はい……でも私には優勝なんてとてもとても」
ウルトラチャーミングビューティーの得意技にかかれば、ラブリーぽにょを優勝させるなんて簡単だぞ?
「御主人にかかれば、ラブリーぽにょを優勝させるなんて簡単だぬよ?」
「何、本当か!」
「本当だぞ? ちょっと聞くけど、圧倒的な優勝候補っている? いるならその子見たいな」
首をかしげるぽにょ。
「特にはいないですね。剣術を少し習っていたという方もいらっしゃいますが、さほど際立って目立つということはなく」
「実力的にはドングリの背比べってことだね? 今回の女性騎士はいつ集められたの?」
「陛下が二〇歳となられた先月の頭です」
「まだ二ヶ月も経ってないのか。とゆーか王様二〇歳なん?」
若いのに完全にガリアを率いる王じゃん。
「二時まで二時間近くあるし、楽勝だな」
「どうするのだ?」
「まずラブリーぽにょが二階から落ちたことを伝えて。何ともないようだが一応一時からの自主練は休む、ただし二時からの模擬試合には参加するって言っといてよ」
「うむ」
「ルーネはせっかくだから、騎士団の練習に参加させてもらいなさい」
「えっ、いいんですか?」
「うむ、構わんぞ。他国の皇女との交流も勉強の内だ」
「ありがとうございます!」
わざわざ騎士の演習に参加するカル帝国の皇女ルーネが、他の騎士団員からどう見えるか?
突然現れた王妃候補ナンバーワンに思えるんじゃないかな?
さて、ルーネは他の騎士団員にどういう扱いをされるだろうか?
「ルーネより強い子は多分いないな。剣術にしてもレベルにしても。いい経験になると思うから楽しんでらっしゃい」
「はい!」
「ぽにょ借りるよ。二時までには帰ってくる」
「バイバイぬ!」
新しい転移の玉を起動し帰宅する。




