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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1448話:魔力炉の応用

「あっ、ドルゴスさん、お帰り!」

「そちらはどなたです?」


 魔力炉の広い研究室に入れてもらう。

 魔道士長さんは慕われてるんだなあ。

 数人の男達があたし達に好奇の視線を向ける。

 いやん。


「ドーラの冒険者ユーラシア殿とルーネロッテ皇女だ。魔道研究所の見学に来られた。話を聞かせてやってくれ」

「「「「わかりました」」」」


 対応がまともだ。

 さすがに魔力炉の研究部門は予算が潤沢で士気も高いんだろう。

 チーフっぽい人がにこやかに説明してくれる。


「ユーラシアさんにはこちらからも話を伺いたいところだったんですよ。まず魔力炉の基本的な理論ですが……」


 魔力の総量は変わらないのが原則。

 使えない状態の魔力を壊して使える状態の魔力を作り出すとかいう説明だった。

 なるほどわからん。

 ルーネが不安そうに言う。


「ユーラシアさん、難しいです」

「あたしもサッパリ」


 まー人間身体は一つ頭も一つ。

 難しいこと考えるのはあたし達の仕事じゃないよ。

 ムリだと思ったらスパッと諦めることも大事。

 でも難しいこと理解できる人がどこにいるか知ってて、仲良くしておくことは重要だな。


「あたしに聞きたいことってなんだろ?」

「魔道レーダーについてなのですが」


 魔道レーダーはかなり広い範囲で大きなレベル者を探知するものだ。

 飛空艇を落とした後に監視されたことがある。


「ユーラシアさんは魔道レーダーが作動しているとわかると聞きました」

「うん、わかる」

「ユーラシアさんだから察せられるということですか?」

「いや、そんなことないよ。ガレリウス第一皇子が亡くなった前後に、帝都に不審な悪魔が出入りしていたって話あったじゃん?」

「はい。まさに魔道レーダー探知による成果です」

「その子あたしの知り合いの悪魔なんだ。レベル五〇ちょいで、監視されてることに心当たりあったみたいだよ。鈍感敏感はあるだろうけど、ある程度のレベル持ちなら気付くと思う」

「そ、そうですか……」


 残念がることはないと思うんだが。


「改良すればいいんじゃないの?」

「魔力波動自体を感知されてしまうのではどうにも……」

「感知されない装置にしろってことじゃなくてさ」

「えっ?」


 理解してなさそうなチーフ。

 魔道士長さんが言う。


「……以前ユーラシア殿は、得体の知れないものに見張られてるというプレッシャーは与えられると言っていましたな」

「そうそう。えっちな感覚がするから、あたしは好きじゃないんだよね。この感覚って変えられないのかな?」

「どういうことでしょう?」

「不快な感覚を与えられるなら、対象により警戒させることができるでしょ。逆に心地いい感覚だったら気にしなくなっちゃうと思うよ?」

「な、なるほど?」

「ふむ、魔力波動の波長を変えて、どういう感じがするかをデータを取るべきですな。発展させる方向のアイデアですか」


 高レベル者に協力してもらってバリエーション考えるといいと思うよ。

 あれ、ルーネも楽しそうになってきたね。


「魔道レーダーも魔力炉からエネルギーを供給しているのですか?」

「はい。こちらにあるのが最新の魔力炉になります」


 部屋の真ん中にあるデカい装置。

 うむ、見覚えがある。

 飛空艇に積んであったのと同じタイプだと思う。

 あちこちにコードが伸びてるところ見ると、魔力炉で生産した使える状態の魔力を、結界とかレーダーとかに運用しているんだろうな。

 しかし、これが最新型?


「先ほどユーラシアさんが、魔道コンロという考えを披露されていたんですよ。家庭用魔力炉が実現できて魔力供給に不安がなくなれば、薪を必要としなくなるんじゃないかって」

「ハハハ。魔力炉を民間用に転用することも、もちろんプロジェクトに含まれているんですよ。未来を作る技術なのです」

「うーん、難しくない?」

「「えっ?」」


 ギクッとする魔道士長とチーフ。


「な、何がですかな?」

「これ、飛空艇に積んであったやつと同タイプだよね?」

「同じシリーズですな。こちらの方が新しいですが」

「進化してるはずなのに見た目がほとんど変わってない。とゆーことは、安全を確保するために炉壁の厚さがこれだけは必要なんでしょ? 小型化できないじゃん。じゃ値段も下がんないし、一般に普及させるのはムリ」

「ええっ? そうなんですか? 残念です……」

「「……」」


 血の気が引いてる魔道士長とチーフ。

 面白いし、新しい情報がポロっと出てくるかもしれないから畳みかけたろ。


「飛空艇は魔力炉と動力炉、両方積んでたじゃん?」

「は、はい」

「魔力炉が結界にだけ使われて動力にされないのはおかしいねって、ドーラで言われてて。じゃあまだ魔力炉は動力に使えるほど信頼性がないのか推力が足りないのか、あるいは長時間の連続運転が利かないのか。いずれにせよ完成にはほど遠いんじゃないかって結論なんだけど、どうなんだろ?」

「「……」」


 偽装船イベントの時の船長さんとそう話してただけで、ドーラで言われてるわけじゃないけどな。

 魔道士長とチーフが黙っちゃったぞ?

 ルーネが無邪気に言う。


「お父様のところに報告が上がっているはずです。聞いてみますね」

「おやめくだされ!」

「予算が削減されてしまいます!」


 だろうなあ。

 結論から言うと、今後の研究で魔力の生成効率は上げられるだろうが、小型化はほぼ不可能とのこと。

 ありがとう、聞きたかったことです。


「魔力炉は機密も多いみたいだから、お父ちゃん閣下に聞くのはやめときなよ」

「わかりました」

「魔道結界を張るだけなら現在の性能で十分ですからな。民間に転用できないとなると予算が……」

「転用できなくはないよ。どこかでいくつも魔力炉設置して大量に魔力を作って、コードで引けばいいんだから。魔力の生成効率が上げられるなら可能でしょ?」

「全ての家に魔力を引く? ……全てに魔力炉を設置する、ではなくて?」

「魔力炉の管理は一括化した方が、事故が起きた時に対処しやすいよ。まず皇宮や貴族の邸宅に引くことを目標にしたら? 『光る石』の魔力供給に使えるなら、火を使わなくても夜明るいぞ? 魔力炉の成果をアピールできるだけじゃなくて、火事の危険が減るとゆーメリットもある。予算を引っ張ってきやすいと思う」

「ありがとうございます!」


 魔道コンロも忘れずに開発してね?

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