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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1441話:お肉が正義ならスイーツは夢

 フイィィーンシュパパパッ。

 施政館でお昼をいただくつもりだったが、あえてギルドにやって来た。

 何故なら今日はゲストがいるから。


「やあ、チャーミングなユーラシアさん。いらっしゃい」

「こんにちはー、ポロックさん」

「こんにちはぬ!」

「あれ、そちらは?」

「帝国の第二皇子ドミティウス主席執政官閣下の娘のルーネロッテだよ」

「えっ?」

「初めまして。よろしくお願いいたします」

「こちらこそ」

「あたしの妹分みたいなものなんだ。また時々ギルドにも連れてくるかもしれない」


 ハハッ、妹分でルーネが喜んでら。

 可愛いやつめ。

 ポロックさんが微妙な顔してる。

 プリンスルキウスと次期皇帝座を争う主席執政官閣下の娘を連れてくるとは、とでも思っているのだろう。

 何か裏があるのかいって視線を送ってくるけど、特にないんだよ。


「ルーネは冒険者に憧れてるんだって。ぜひ生の冒険者の生活が見たいってことで、閣下によろしくって頼まれたの」

「ほう? 存分に楽しんでいってください」

「はい、ありがとうございます!」


 実際には閣下はあんまりルーネを後押ししたくなかったみたいだけどな。

 可愛い娘にねだられると断れないのだニヤニヤ。

 閣下の思惑ではあんまり楽しませるなってことだったけど、知らんがな。

 あたしだって楽しくなかったら冒険者なんか続けてないわ。


 ギルド内部へ歩を進める。


「一番奥が食堂なんだ。大将の腕がいいからおいしいよ」

「楽しみです!」


 ハハッ、実はニワトリじゃなくて洞窟コウモリ肉の、鶏の香草炙り焼き食わせたろ。

 すげえ美味いしな。

 注文してと。

 あれ、ラルフ君とヒルデちゃんじゃないか。

 ギルドにいるのは珍しいな。

 ……ふむ、あたしの高感度ラブセンサーによると、邪魔しちゃいけない雰囲気ではない。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「師匠、こんにちは。そちらは?」

「帝国の主席執政官閣下の娘のルーネだよ。こっちは後輩冒険者のラルフ君とその婚約者のヒルデちゃん」

「よろしくお願いいたします」

「こちらこそ」

「今日はデート?」

「はい」


 ラルフ君が目で訴えかけてくる。

 ははあ、ギルドでダンなりマウさんなりを見つけて話に花を咲かせようと思ったけど、捕まんなくて時間を持て余してたんだね?

 了解、可愛い弟子のためにあたしが骨を折ってやろう。


「ラルフ君と会えたのはラッキーだな。実は今年の食フェスのことだけど」

「「食フェス?」」


 あれ、ルーネはともかく、ヒルデちゃんも初耳だったか。

 楽しいイベントだよ。


「港町レイノスの各料理屋に参加してもらって、一定の決まりに則った料理を出してもらうでしょ? 一番売り上げた店が優勝っていうお祭りだよ」

「去年のテーマが魚のフライで、かなりの盛り上がりを見せたのです。今年も開催が熱望されているんですよ」


 首をかしげるルーネ。


「楽しそうなイベントだとは思いますが、何故ユーラシアさんからお祭りの話題が?」

「去年の食フェスは師匠の企画なのです」

「「えっ?」」

「ドーラの近海は魚人のテリトリーでね。これまでドーラで魚食は割とタブーだったんだ」


 興味深そうなルーネとヒルデちゃん。

 もっとも帝都でもさほど魚食は行われていないと感じる。

 タムポートはまた事情が別なんだろうけど。


「でも魚人の女王と仲良くなったら話せる人でさ。となると魚人と交易したいし、魚食も地上で流行らせたくなるじゃん?」


 当時は帝国戦間際だった。

 今となっては関係なかったが、食の不足に直面したら魚を充当する考えがあったのだ。

 あ、御飯来た。


          ◇


「ごちそーさまっ! おいしかった!」

「美味でした。でもこれ、帝国本土の鶏のイメージと違うような?」

「これ実は洞窟コウモリっていう魔物のお肉なんだ。どういうわけか『鶏の香草炙り焼き』ってメニューになってるけど」

「そうだったんですね」


 しきりに頷くルーネとヒルデちゃん。

 目で感謝してくるラルフ君。

 いいってことよ。


「新聞でチラッと見たのですが、今年の食フェスはスイーツで行いたいとか?」

「新聞記者に捕まって、たまたまスイーツでという話になっただけなんだけどね。柿・栗・サツマイモを使える秋にやりたいって、ヨハンさんにも話しといてよ。イシュトバーンさんもその気でいる」

「わかりました」

「スイーツは身体が欲するでしょ?」

「欲しますね」

「帝国には多くのスイーツがあるんだよ? でも完全に上流階級の食べ物なの。砂糖が高いせいだと思うんだ」

「砂糖を安くしたいと?」

「そうそう。スイーツの食フェスやって、ドーラでもスイーツ食べるの当たり前にしてさ。スイーツ食の習慣が根付けば、どんどん砂糖を増産するじゃん? 今より安い砂糖を帝国に輸出できるんじゃないかと思うんだ」

「父も砂糖を帝国に輸出したいと言っておりました」

「西域から魔物を追っ払えると、砂糖なんかいくらでも作れるんだよなー。すんごい魔物除けの作り方がわかったんだけど、材料が足んなくて生産の目処が立たないの。ラルフ君もどこかで碧長石って石が手に入る場所があったら教えてよ。ドーラの発展に不可欠なんだ」

「碧長石ですね? 了解です」


 あれ? 次期緑の民族長のヒルデちゃんはともかく、ルーネまで目輝かせてるじゃん。

 興味ある話ではないと思ったんだけどな?

 好奇心の強い子なんだろうか?


「『サバランの裏レシピ』っていう、昔の帝国のスイーツ料理人一族が残したレシピ集を手に入れたんだ。今、それを基にした簡易レシピ集を書いてもらってるの。夏頃には出版するし、もちろん帝国にも輸出する予定だよ。この一年でスイーツは確実に進歩する」

「素敵ですね!」

「素敵なんだよ。ラグランドっていう帝国の植民地で取れるカカオの実を使った、ちょこれえとっていうメッチャおいしいスイーツがあってさ。今まで帝国でしか食べられなかったけど、ラグランド貿易が解禁されたからドーラでも食べられるようになるぞー」

「楽しみです!」

「ドーラには寒天ってものを使ったスイーツがあるんだよ。寒天も増産して帝国に輸出するようにするからね」

「夢がありますね!」


 うん、お肉が正義ならスイーツは夢なのだ。

 スイーツを皆が食べられるようになるといい。


「グリフォンの羽毛のストックが多くなってきたんだ。ラルフ君家行こうよ」

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