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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1437話:朝から魔女の館

 ――――――――――二三四日目。


「美少女精霊使いユーラシア参上!」

「参上だぬ!」

「おや、アンタ達かい」

「ユーラシアさん、いらっしゃい」

「ニルエ。お肉と骨、お土産だよ」

「まあ、いつもありがとうございます」

「カトマスの『強欲魔女』ことマルーさんの家にやって来た」

「ナレーションは頭の中で考えるだけにしておきな! わざわざ『強欲魔女』なんてお言いでないよ!」

「わざわざ言うんだぬ!」


 アハハと笑い合う。

 最近ヴィルがこーゆーのを確実に拾うなあ。

 まあマルーさんも本気で怒ってるわけじゃない。

 楽しい楽しい掛け合いだ。


「今日はどうしたんだい?」

「時間潰し」

「またかい。アタシの家を時間潰しに訪れるのはアンタだけだよ」

「帝国施政館に一〇時に行くんだ。まだちょっと時間があるから」

「施政館? 政治の場だろう? また何かやらかしたのかい?」

「皆がやらかしたのかって聞くんだよなー。そんなんではないとゆーのに」


 あたしは常に常識に鑑みて対処しているとゆーのに。

 ニルエもクスクス笑っている。


「熱い地方にラグランドっていう帝国の植民地があってさ。反帝国の蜂起起こしちゃったの。あたしが仲介してうまいこと収めろっていうクエストで」

「『アトラスの冒険者』の石板クエストだね?」

「うん」

「ふうん。アンタのとこには大変なクエストが回されるんだねい」

「本当だよ。これ心情的には、生活の苦しいラグランドを応援したくなるじゃん? でもラグランド側につくと帝国の不興を買っちゃう」

「帝国に睨まれると、商売に悪影響ということだねい?」

「難しいでしょ?」


 ドーラの発展を犠牲にするわけにいかないのだ。

 状況としては難しいクエストだった。

 好き勝手できないのはストレスが溜まるとゆーか。


「御主人は好き勝手してたぬよ?」

「そーゆーことは黙っていなさい」


 アハハ、ヴィルは時々心を読むようなことを言うなあ。

 ニルエが言う。


「蜂起はいつだったんだい?」

「えーと、一〇日前だね」

「どうにかなったんですよね?」

「妥協できる点はあったんだ。円満解決だよ。これからはドーラにラグランドのものも入ってくるようになるし、施政館からは褒美をもらえるの」

「つまりあとで褒美をもらいに施政館へ行くのかい?」

「そゆこと」


 何をくれるか、割と楽しみだ。

 何故なら主席執政官閣下は他人の思考の裏をかこうとするから。


「しかし、外国行きのクエストはあまり聞かないけどねい」

「あたしはここのところ、外国行きの『地図の石板』をもらうことが多くなってるんだよ」

「意外だねい」

「ラグランドクエストの次に出た一番最近のやつはガリア行きだね。出現した巨人を退治しろってクエストだったんだ」

「巨人か。アンタなら問題ないねい」

「褒美にピュアセイント勲章っていうのもらったの。今のあたしはガリア認定の聖女なんだよ。嬉しくて」

「ハハハ。よかったねい」


 ガリアの王様は大したもんだ。

 すぐにあたしの意図を察してピュアセイント勲章を作っちゃうんだもんな。

 バアルが評価するだけある。


「ばっちゃんに聞きたいことがあったんだ」

「今日の目的かい?」

「目的みたいなものかな。大したことじゃないんだけど」

「もったいぶらないで聞かせな。何についてだい?」

「聖女繋がりなんだけどさ。帝都で誰にでも無償で回復魔法を施してる修道女がいて、その子も聖女って呼ばれてるの」

「ふん?」

「『灯火』っていう固有能力持ちなんだ。『灯火』ってどんなやつ?」


 眉を上げ、驚いたような顔をするマルーさん。


「『灯火』かい。久しぶりに耳にしたね」

「ばっちゃんが久しぶりって言うほどの固有能力か。人を惹きつけるって聞いた。やっぱヤバい能力なんだ?」

「古代の偉大な覇王や宗教指導者が持っていたというねい。しかし、現実に『灯火』を持っている人の話は聞いたことがない」


 超々レア能力のようだ。


「もちろんあたしも実際に会ったことはない。一種のカリスマを発揮する能力なんだろう。が、古代の偉大な覇王や宗教指導者の例しか知られていないということは、レベルが低いと影響がないということじゃないかねい」

「まずったかなー。レベル上げしちゃったんだよね」

「どうして?」

「いや、その子マジックポイントが尽きると、魔法の葉を食べてまで奉仕しようとするんだよ。おかしくない?」

「……地獄の不味さの魔法の葉を? 本当かい? 狂気の沙汰だね」

「最大マジックポイントが増えれば問題は解決すると思ったんだ。手っ取り早いのはレベル上げじゃん? 『灯火』持ちだってことは事後に知ったの」

「ふん……」


 首をかしげるマルーさん。


「ちょっと何が起きるか、予想できないねい」

「もう一度見に行かなきゃならんなー。面倒なことになったぞ?」

「アンタが仲良くしてやればいいんじゃないかい?」

「仲良くしてやる? どゆこと?」

「一人で崇拝される立場にいると、勘違いしたり利用されてしまったりしそうだろう?」

「つまりアイドルデュオ・セイントツーとして活動すれば、ファンからもらう貢物も半分こにできるって作戦だね?」

「アンタがついてりゃ、悪い影響を排除できるだろうってことだよ!」

「セイントツーも捨てがたいぬ!」


 爆笑、ヴィルいい子。

 何だかんだ言ってもマルーさんはあたしを信頼してくれているようだ。


「どうせまた会うことになるだろうから注意しとく」

「それがいいねい」

「ところでどうでもいいことだけど、『強奪』を使う機会があったんだ」

「「えっ!」」


 これは驚くだろ。

 『強奪』使って固有能力盗むと恨まれるのが定番らしいからな。


「でもアンタ、持ち固有能力が変わってないじゃないか」

「あ、ばっちゃんが驚いたのはそこか。相手も『強奪』の持ち主で、能力の使い合いになったんだ。正確に言うと、相手があたしの『ゴールデンラッキー』を抜き取ろうとしてて、あたしが向こうの『強奪』を奪ったってこと」

「大丈夫なのかい?」

「うん、特に問題ないんだ」


 セウェルス第三皇子も、自分のしようとしていた固有能力を盗むという行為がいかに皇帝に相応しくないか、理解しているだろうから。

 あたしはべつに抵抗ないけど。

 必要性の問題だわ。


「さてと、ボチボチ行くかな。ばっちゃんニルエ、また今度ね」

「バイバイぬ!」

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