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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1434話:スキルスクロール用の人材?

「こんにちはー。元気してる?」

「ユー姉!」「姐さん!」「ユーラシアさん!」


 クララと灰の民の村の図書室へやって来た。

 予定通り、アレクケスハヤテがいる。


「若き若人達よ。あんた達は仕事に勉強に熱心で偉いね」

「何なの、若き若人って」

「美しき美少女精霊使いの力がどうしても必要と聞いたよ」

「くどいな。いや、盾の魔法のスキルスクロールのことなんだけど」


 ペペさん作出の魔法『ファストシールド』だ。

 次回の出荷で最大一〇〇〇本帝国に輸出できれば、という話だった。


「一〇〇〇本完成しただ」

「完成? マジかよ。早くね?」

「作業台が二台になったしね。小遣い稼ぎに手伝ってくれる緑の民も出始めたんだ」

「協力者が増えるのはいいことだねえ」


 職人の手は足りているということだ。

 現在異世界に外注を出している水魔法『アクアクリエイト』や、デス爺他の個人が細々と作ってるスキルスクロールを一括生産できるようになる未来は遠くない。


「でもチェックの人員がボク一人じゃ、これ以上の増産が難しいんだ」

「今でも封じる過程がアレク待ちになってるんだ。姐さん、どうにかならないか?」

「今度の移民でエメリッヒさんっていう宮廷魔道士崩れの人が来るんだ。その人をチェック人員にしようと思ってる」

「さすがユーラシアさんだべ!」

「ハッハッハッ、さすがだぞー。でもごめん、この人パラキアスさんの紹介で、あたしは会ったことないんだ。元貴族らしいんだけど、ホームレスだったところを拾ったって言ってたから、多分文無し」


 アレクが怪訝な顔をする。


「元貴族で宮廷魔道士崩れで文無し? 相当ささくれてるんじゃ?」

「かもね。宮廷魔道士って戦いとか安全に関わること以外の研究には、あんまりおゼゼを出してもらえないらしいんだ。エメリッヒさんはそーゆーのが嫌で宮廷魔道士を辞めたんだって」

「ひょっとして突拍子もないアイデアを持ってるかもってこと?」

「帝国でどういう研究に予算出してもらえなかったかは興味あるね」

「姐さん、使えて儲かる発想かもしれないってことだな?」

「そうそう。ケスの紙飛行機みたいに、おゼゼになるのにも拘らず燻って埋もれてるのかもしれないじゃん? うまくおだてて儲けに繋げたい。というわけで五〇〇〇〇ゴールドあたしが出資しまーす」

「「「「えっ?」」」」


 あれ、あたしのやり方をよく知ってるクララまで驚いてるぞ?


「エメリッヒさんが来たら、これで身の立つようにしてやってよ」

「この金をそのまま渡すんじゃダメなのか?」

「元貴族がいきなりホームレスだぞ? 金遣いメチャクチャって可能性が高いと思うんだよね」

「さすがユーラシアさんだべ……」


 しかも宮廷魔道士だしな。

 きっと自分がどう生活していくかなんて、あんまり関心のない人だわ。

 クララが言う。


「ユー様のカンはエメリッヒさんのこと、すごく重要だって囁いてるんですよね?」

「そう思ってる」


 クララナイスアシスト。


「扱い方次第で成果が全然違っちゃう人材だぞ? 見る目を養うべき商人として大変面白いでしょ? あんた達の器量が試されるのだ」


 自然と背筋の伸びる三人。


「ユー姉がスクロールチェックだけの人員として考えてるわけじゃないのはわかった」

「できればアレクとエメリッヒさんには転移術を受け継いで欲しいね。魔道を利用した事業を起こしたいし、生活品も販売したい。後進の人材も育てたい」

「製塩事業や『光る石』スタンドみたいなものだね?」

「うん。自分達だけで手に余るようなら、他の人も巻き込みなさい」


 アレクケスハヤテが成長することが、ドーラの一番の利益だと思うけどね。

 でもこういうのはあたしのキャラじゃないから、笑いの取れる場面以外ではあえて言わないけれども。


「盾の魔法のスキルスクロール納品のことなんだけど」

「行政府には納品近日中になるよとは伝えてある。おゼゼ用意して待ってるはずだよ」

「姐さん、納品の日に来てくれ」

「しょうがないなー。次の輸送隊がカラーズ出発するのが四日後だっけ? じゃ、納品は五日後で間違いない?」

「トラブルがなければ、五日後の午前中の予定であることは間違いないね」

「了解、あたしも行く。もし緊急事態で行けない場合でも、行政府に納品日は言っとく」

「ペペさんへのお金の受け渡しはどうしたらいいかな?」

「あ、その件があったか」


 ギルドはレイノス西門から強歩二〇分くらいはある。

 東からだとかなり遠いし、大体アレクもケスもギルドの場所知らないだろうしな?


「いずれ考えなきゃいけないな。今回はあたしが届けておくよ」

「お願いするね」

「どうしてレイノスに『アトラスの冒険者』の支部がないだか?」

「不便だよなー」


 今までは必要なかったんだろう。

 運営予算が決まってて人員も増やせないみたいだし。

 ただ現在の『アトラスの冒険者』は、ドーラの治安を担っているという側面がある。

 またシバさんソル君ペペさんは十人会議のメンバーでもある。

 レイノスに出張所みたいなものがないってのは不便だな?

 代替組織作る際には、レイノスに支部ないし出張所は作るべきだろうか?

 でもいらんものを作ると、収益が悪化するんだよなー。


「ユー姉、悪いこと考えてるでしょ?」

「うーん、悪いこと……効率の悪いことかもしれない。ま、いいや。優先順位の低いことは後回しだ。今からはあたしのターン!」

「何?」「な、何だ?」「何だベ?」


 警戒するアレクケスハヤテ。

 何故だ?

 もっと大らかにあたしの提案を受け入れろ。


「赤眼族の集落行くんだ。アレクの力を借りたい。ケスもハヤテも勉強になるからついて来るといいよ」

「赤眼族の集落? 何の用?」

「すげえ効果の高い魔物除けがあるんだよね。その技術をノーマル人居住域にも導入したいの」

「最近黒の民が売り出してる魔物除けの札があるじゃないか。あれでは不足なの?」

「西域から南部まで道を通したいんだよね。柵で囲われてる中を魔物から守るんだったらあの魔物除けの札でいいかもしれないけど、道だともっと強力な魔物除けが必要なのかと思うんだ」


 クララがにこやかに言う。


「ムダにはならないですよ」

「ボクも興味はある」

「よーし、決まり! あの魔物除けの札を開発したグロちゃん呼んでくるから、外で待ってて!」

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