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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1432話:『灯火』の固有能力

「美少女精霊使いユーラシア参上!」

「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 聖女キャロを抱えたライナー君及びうちの子達とともに、帝都のユーラシア教会聖堂内に戻ってきた。

 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。

 あんたは可愛いのう。

 呆然としている修道士が呟く。


「急に現れた……神の奇跡?」

「違うとゆーのに」

「違うぬよ?」


 あたしを神と崇めるのは構わないけれども。

 大体ヴィルだって急に現れただろーが。


「これは転移だよ」

「転移?」

「そうそう、魔道の技術。あたしはヴィルのいるところならどこへでも移動できるの」

「そちらはひょっとして精霊ですか?」

「うん、うちの子達だよ。精霊は普通の人と喋んないけど、気にしないでね」

「いやあ、精霊や悪魔も出入りするとなれば、我が教会も箔がつきます!」

「そお?」


 妙なところで喜ばれたぞ?

 宗教って変なの。

 ユーラシア教会がおかしいのかな?

 ワクテカしてる新聞記者トリオが聞いてくる。


「ユーラシアさん、どういうことですか? 説明してくださいよ」

「単純なことだよ。キャロは奉仕のために『リフレッシュ』をガンガン使いたいけど、最大マジックポイントの制限でかなわなかったわけじゃん?」

「ええ。だから魔法の葉を常食して、足りないマジックポイントを補っていたわけです」

「常食してたのかよ」


 魔法の葉をいつも食べる発想はあり得ん。

 どんな地獄だ。


「『だから』のあとが違うんだなー。キャロのレベルを上げてきました」

「「「「えっ?」」」」


 思ったより驚くなあ。

 帝国では馴染みのない考え方だからか。


「レベルを上げれば最大マジックポイントが増える理屈だね」

「わかりますけど、レベルを上げるってどうやってです?」

「魔物を倒すと経験値を得られるんだよ。で、経験値は実際に戦わなくても、すぐ近くにいる人にも共闘扱いになって入るんだ。十二、三人が限度みたいだけど」

「つまり、魔物を倒しに行っていたと? キャロラインさん、意識がないじゃないですか」

「意識なんかあろうがなかろうが関係ないんだわ。魔物はうちのパーティーで倒すんだから。ライナー君がお姫様抱っこしたまま魔物退治だよ。なかなか格好良かったから、しっかり記事にしといてね」

「ええ? 信憑性がないじゃないですか」

「いや、本当なんだ。私が保証しよう」

「ライナー様が仰るのでしたら……」

「どーしてあたしの言うことは信憑性がないみたいな扱いなのだ。著しく納得いかないな」


 あたしにたくさん記事を寄越せと言うクセに、あんまり信用してなかったってことか?

 まったく失礼だな。


「もう三〇回くらいは『リフレッシュ』かけられるはずだから、マジックポイント切れ起こすことはないと思うよ。でも今日はゆっくり休ませてあげてね。寝ないとマジックポイントは回復しない」

「三〇回もですか? キャロラインさんのレベルいくつなんですか?」

「二二くらいだと思うけど、正確にはわかんない。ちょっと待ってね」


 ギルドカードを起動して、と。

 ぺた。


「二二だ。ピタリ賞でした。やったぜ、いいことありそう!」

「レベル二二って。出かけてから一時間くらいしか経ってないじゃありませんか」

「一人前の騎士のレベルですよね?」

「何年も修行したり訓練したりして、ようやく到達できるレベルでしょう?」

「まともにやってると時間かかるらしいね。でもあたしは効率を極めてるから」


 ライナー君が腕を組みつつ言う。


「私も驚いた。帝国本土では到底不可能なやり方だと思う。ドーラは魔物が多く、加えて魔物を倒す環境が整備されていると感じたよ」

「レベル上げしなくても豊かな生活を送れる帝国は羨ましいけどね。ドーラには初心者向けのダンジョンもあるんだよ。武器冒険者向き防具やスキルも販売してるから、冒険者向きではある。レベルも上げやすい」

「レベルが上がれば単純に強い。軍や騎士団でもレベルアップは推奨されているが、やはり魔物退治ほど効率よいレベルアップ法はないな」

「うーん、でも逆にドーラには軍や騎士団がないからな?」


 社会の違いだ。

 あたしは今となっては自由にやれるドーラ人でよかったと思う。

 でも『アトラスの冒険者』になれなかったら、常に魔物を警戒し、作物の出来に一喜一憂するだけの日々を送っていたかもしれない。

 帝国に生まれていたら商人になりたかったな。


「ところで記者さん達。明日までキャロを追いかけて記事にしてよ」

「構いませんが、何故です?」

「起きると自分に力が満ちていて、何度も魔法を唱えられるのに気付くじゃん? ずっと寝てて自分がレベル上がったなんて知らないわけだから、ああ女神ユーラシア様が私の願いをお聞き届けくださったのだわ、なんて勘違いするわけよ。そこでそーだ、あたしユーラシアのおかげだってのを知らしめてやりたい」

「趣味が悪いですねえ」

「いい趣味だぬよ?」


 アハハと笑い合う。

 ライナー君がしみじみと言う。


「ユーラシア君、ありがとう。これでキャロラインもムリすることなく奉仕することができるようになったろう」

「教会としてもまことにありがたいです!」

「まーユーラシア教会としては、聖女の評判が高まるほど信者を獲得できて嬉しいんでしょ?」

「ぶっちゃけその通りです」

「正直なのは好感持てるなあ」

「偽善じゃないですか」

「偽善で悪いことないじゃないの。助かる人だって多いんだから。何もしようとしない人より、偽善であっても行動する方がマシだと思うよ」


 頷く全員。

 これからもキャロの活動で救われる人は多いだろう。


「ところでキャロって何かの固有能力持ちなの? 単なる好奇心だから、内緒なら内緒でいいんだけど」


 どーもあたしは対象が気を失ってると、固有能力持ちかそうでないかわからないようだ。

 でも『リフレッシュ』習得者は、例外なく固有能力持ちって話だったしな?

 修道士が言う。


「『灯火』です。詳しくは知りませんが、人を惹きつけると聞きました」

「カリスマ性があるねえ」


 支配系の能力か。

 多分レアなやつ。

 ちょっと気になるな。

 安易にレベル上げしちゃいけない人だったかもしれんけど、まーいーや。


「じゃ、あたし達帰るね」

「ああ、また会おう」

「「「いずれまた!」」」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動して帰宅する。

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