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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1422/2453

第1422話:転送先が?

「ただいまー」

「ただいまぬ!」

「お帰りなさい」


 セレシアさんの店から帝都の『ケーニッヒバウム』へ、服の新デザインを運んだ。

 やっぱり販売好調だって。

 特有の斬新で機能的なデザインが、特に平民富裕層にウケてるみたい。

 貴族の令嬢も興味はあるようなんだけど、反応はもう一つとのこと。

 貴族は少々考え方が保守的だからなんじゃないか、という考察だ。

 なるほどなあ。

 ま、スタートダッシュに成功したことで注目を浴びるだろうから、まずオーケーだ。


 明日帝都へ行くので、デザインはその時運んでもよかった。

 ライナー君がどういう用かわからんからな。

 時間は余裕を持つのが吉だろう。


「さーて、ボチボチガリア行こうか」

「今から行くと、ランチをイートできるプランね?」

「その通り! ガリア料理楽しみだよね。魚が美味いと予想した」


 でも大規模な放牧も行われてる気配だった。

 お肉もあり得るな。

 魚とお肉コンビで一向に構わんわけだが。


「姐御、転送魔法陣に変化がありやすぜ」

「そお? 昨日のガリア行きのやつだよね?」

「へい」


 予想の範囲内ではある。

 大至急の魔物退治は終わったのだから、少なくとも名前は変わると思ってた。

 大体毎回転送先が会議室じゃ困るわ。

 常に注目を浴びてしまうわ。

 いや、注目を浴びること自体は一向に困らんな?


 我が家の東区画、転送魔法陣の並ぶエリアの、二四番目の魔法陣の上に立つ。

 魔法陣の輝きが強くなり、フイィィーンという音を発し始めると同時に、頭の中に事務的な声が響く。


『ガリア・セットに転送いたします。よろしいですか?』

「セット?」

『セットです』

「あれやこれやとエンジョイできちゃう寸法かな?」

『心ゆくまでエンジョイできちゃう寸法です』

「転送はちょっと待ってね」


 魔法陣から外に出る。


「セットだってよ。どゆこと?」

「そりゃ『ドリフターズギルド・セット』の時と同様に、複数のクエストをこなせってことでやしょう?」

「ギルドセットはわかるよ? あの時のクエストはギルドの運営や冒険者の助けになることだったもん。でもガリアのクエストを複数こなして嬉しいことあるかな?」


 帝国~ラグランド~ドーラのトライアングルと帝国の海外植民地で大きな経済圏を作れればなと、最近うっすら思っていた。

 元々ドーラも帝国の植民地だったし、抵抗のない自然な考え方だろ。

 でもガリアはさすがに遠過ぎる。

 とはいえ帝国一強になるより、ガリアとその周辺の小国群、またその他の国々も巻き込んで大きな商圏を作った方が、無用な争いも減らせるかもな?


「石板クエストの分配は、サクラさんの考えが大きいのでしょう?」

「ボスはワールドワイドに活躍しろってことね」

「世界中に美少女精霊使いの恩恵を浴びせろって?」


 おっぱいさんは最近積極的に海外のクエストをあたしに振ってくれている。

 ダンテの言う通りなのかもな。

 やはりあたしは世界のヒロインになるべく生まれついたということか。

 少なくともおっぱいさんはそう考えてくれているらしい。


「セットになるほどいくつかクエストまとめてるのに、昨日巨人倒しただけじゃクエスト完了にならないんだな?」

「姐御、謝礼をもらうまでがクエストでやすぜ?」

「おおう、冒険者らしいグッドなセリフだね。行こうか」

「「「了解!」」」「了解ぬ!」


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 『ガリア・セット』の転送先にやって来た、が?


「どこだ、ここは?」

「見てくるぬか?」

「いや、いいよ」


 ガリアのどこかには違いない。

 今いるここは森の中だが、すぐ近くにデカい宮殿がある。

 とゆーか同じ敷地内だな。

 普通に考えりゃあの宮殿に行ってみりゃいい。


「昨日『フライ』で飛び出したところは、あんな建物じゃなかったよねえ?」

「町の中心のようなところでしたよ。今日のこの建物は王宮のようです」

「昨日の会議室は政治の場ではないでやすか?」

「行政府や施政館みたいな? そーかも」

「ガードマンが来たね」

「ほんとだ」


 二人の警備員? 近衛兵? が駆け寄ってきた。

 ちょうどよかったわ。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「何者だ!」

「ドーラの美少女精霊使いユーラシアだよ。王様に呼ばれてるから来たんだ」


 納得したような表情になる二人。

 ふむ、昨日の巨人退治のことは伝わってるみたいだな。

 ならば連れてるメンツとレベルから考えりゃ判断もできるだろ。


「昨日、霜の巨人を倒した少女だな? 『アトラスの冒険者』だと聞いている」

「いや、驚くほど高いレベルだな。そちらが精霊か?」

「そうそう、うちの子達だよ。こっちのふよふよ飛んでる子は悪魔ね」

「「悪魔?」」

「よろしくだぬ!」

「精霊は普通の人とは喋んないけどごめんね。うちのヴィルは悪魔とは言っても、好感情好きのいい子だから悪さはしないよ」

「う、うむ」


 色々思うところはあるんだろうけど、受け入れてください。


「昨日は議会政堂にいきなり現れて、飛行魔法で飛び去り、あっという間に霜の巨人を退治して戻ってきたと聞いた」

「議会政堂って、昨日会議してたところだね? 王宮とは別にあるのかな? あっという間は大袈裟だよ。巨人のところに到着するまででも三〇分くらいかかったもん」

「ん? 君達は昨日とは別のところにやって来たということになるな?」

「うん。『アトラスの冒険者』の理屈はあたしにもよくわかんないんだけど、イベントが終わると転送魔法陣の行先が変わっちゃうことがあるの」


 頷く警備兵達。


「ほう。しかし陛下は君達の事情は知らぬであろうから、議会政堂でお待ちになっている」

「えーと、ここは王宮だよね?」

「うむ。地理がわからぬのだな?」

「ガリアの地理は世界地図で見るくらいしかわかんないや。議会政堂は近いのかな?」

「近いぞ。同じ首都ヴァロマ市内だ」

「首都の名前はヴァロマと。よし、あたしの賢い頭にインプットした」

「王宮からは歩けば一時間くらいだな。小官が案内しよう」

「一時間は付き合っとれんわ!」


 ガリアの人の距離感覚はおかしい気がする。

 いや、おかしいのは時間感覚の方か?

 のんびりし過ぎだわ。

 昼御飯を食べ損なってしまうわ。

 人生の一大事だわ。


「飛行魔法で飛んでくから、案内よろしく。クララ」

「はい、フライ!」

「うおお?」

「しっかり場所教えてね」


 びゅーんと議会政堂へ。

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