第1421話:スイーツ食フェスの計画
――――――――――二三二日目。
「やー、今日はよく寝た。絶好調だ!」
「吾が主の睡眠時間は、毎日同じであろう?」
「いつも絶好調だぜ?」
「美少女精霊使いの黄金リズムだな」
アハハと笑い合う。
今日は凄草株分けの日だ。
畑番の精霊カカシ及び大悪魔バアルと雑談しながら話を進める。
「ユーちゃん昨日は大活躍だったんだろ?」
「あたしは基本いつも大活躍だね。昨日はガリアっていう北国に行けるようになったんだよ」
今後どう関わってくるかわからんけど、手っ取り早く権力者の王様と知り合えたのは大きい。
何するんでもやりやすいから。
また王様自身も覇気のある、結構やるやつだと思う。
「ただ寒い国だから、農作物ではあんまり参考にならなそうなんだよなー」
「ちっと残念だな」
「ねえバアル、ガリアはよく知ってる国?」
「うむ、カル帝国ほどではないが、大国であるゆえな」
「大国っていう認識なんだ?」
意外だな?
ガリアの面積は確かに広いけど、人口では帝国の何分の一って話だったのに。
もっとも帝国は世界最大の国だからな。
「北方の小国群の盟主的な存在なのである」
「北では重要な国ってことか。あたし世界のこと何にも知らないな」
「ユーちゃんはドーラのヒロインじゃねえか。世界について知らなくても仕方ねえだろ」
「でも世界のヒロインになりたいじゃん?」
「おお?」
「さすが吾が主である。スケールの大きいことは吾も好きである」
うむ、バアルはそーゆー子だ。
「バアルの知ってるガリアのことを教えてよ」
「ガリアの現王ピエルマルコは、なかなかにカリスマ性のある人物であるぞ」
「うん、あたしも思った」
「先王急死により王位を継いだのは、まだ十代だった四年前である。が、今では完全に国内を掌握しているである。付け入る隙がないである」
「実にバアルらしいコメントだなあ。王位に就いた時から家来衆の支持は厚かったんだ?」
「跡継ぎで揉めたということはなかったであるから」
跡継ぎで揉めそーな帝国は、バアル的には付け入る隙があるんだろうな。
ガリアの王様はリーダーシップのある人だと感じた。
帝国でいうとウルピウス殿下に雰囲気が似てる。
しかしバアルの言い方からすると、国内を完全に掌握していても、国外はそうでもないのか?
北方の盟主としての地位が揺らいでいる?
「揺らぐ、というのが正しいかはわからぬ。北方の小国群の事情も一様ではないゆえ。数から言えば、ガリアと親密な国とそうでない国はほぼ半々である」
「ふむふむ、参考になるなあ。北の国々もかなり面白そうっていう気配は感じたよ」
「首突っ込む気満々じゃねえか」
「乙女は揉めそうな気配が大好きと相場が決まってるんだって」
ウッソだあという目で見てくるカカシとバアル。
いや、カカシに目はないけれども。
「よーし、作業終了! 御飯食べてこ」
◇
フイィィーンシュパパパッ。
「おっはよー」
「おはようぬ!」
「精霊使いじゃないか。どうしたんだ?」
ヴィルとイシュトバーンさん家に来たら、意外そうな美少女番警備員のノア。
昨日来たとこだしな。
すぐ飛んでくるイシュトバーンさん。
「おう、どうした」
「セレシアさんところの服屋で、帝都で売る分の新しいデザインができたみたいなんだ。取りに行って帝都の店に運ぶの」
「そうか。オレも連れてけ」
「別にいいけど」
ノアを含めた四人で出発。
「ユーラシアさん、イシュトバーンさん!」
「密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」
「すげえ敏感だな。ビックリするわ」
新聞記者ズでした。
美少女探知機でも持ってるんだろうか?
「面白い話題をお願いします」
「ぞろっぺいなフリだな。昨日プリンスが帝国~ラグランド間の和平交渉に臨んだことは知ってるんだっけ?」
「はい。ユーラシアさんも参加したんですよね?」
「しかし、記事の反響としてはもう一つでして……」
うなだれる新聞記者ズ。
うーん、まあ世界情勢に興味がある美少女って多くないだろうからな。
美少女関係なかったわ。
反響がはかばかしくないのは仕方ない。
ドーラ人の関心を引こうとするなら……。
「その交渉の中で、ラグランドの貿易自由化が認められたんだ」
「はあ、貿易自由化ですか」
「今まで帝国にしか入らなかったラグランドの物産が、今後はドーラにも入るようになるってことだよ。具体的な例としてはカカオってものがある」
「カカオとは何ですか?」
「ちょこれえとっていう、すんごいおいしいスイーツの材料だよ。今ちょこれえとは帝国でしか食べられないみたいなんだよね。大変けしからんので、これをドーラでも普通に食べられるようにしたいの」
「あっ、今年の食フェスに関連する話ですか?」
「いや、輸入カカオは高いだろうから、簡単にフェスには使えないだろうし。てかそもそも皆食フェスやりたがってるのかな?」
おおう、新聞記者ズが身を乗り出してくるぞ?
「読者と飲食店の反応は、ともに上々です!」
「今年こそは参加したいとの声が多いです!」
「世の中お祭り好きが多いなー。あたしも大好きだったわ」
イシュトバーンさんが言う。
「やりゃいいじゃねえか。スイーツで。カカオはムリでも寒天は使える。柿、栗、サツマイモが使える秋なら、結構な賑わいになると思うぜ」
「じゃ、やろうか。ヨハンさんにそう言っとくよ。イシュトバーンさん、簡易スイーツのレシピ集夏までに出せる?」
「おう、ちょいとメモをまとめりゃすぐだぜ。ヘリオスと相談して、安価に売り出せばいいな?」
「うん。絵多めでわかりやすくなるようにお願い。レベルの低いフェスになるとつまんないからさ。参考書くらいは手に入るようにしとかないと。ちなみにスイーツレシピ集も輸出するつもりで」
新聞記者ズ嬉しそうだなー。
ちょこれえとが普及する前にスイーツの下地を作っとくことは悪くないだろ。
というかドーラでは砂糖の増産が必須だ。
スイーツブームで需要を作っておいて、帝国に輸出できるようにしたい。
「今日、ユーラシアさんはどうされるんですか?」
「セレシアさんの店行くんだ。帝都で販売委託してる服の追加デザインを届けるの。詳しい話聞いてないんだけど、向こうでも売り上げ好調なんじゃないかなあ」
「景気のいい話ですね。私達もお供します」
セレシアさんの店へゴー。




