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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1418話:ガルちゃんをイシュトバーンさん家に招待

 フイィィーンシュパパパッ。

 夕方だ、御飯だ。

 イシュトバーンさん家にやって来た。


「こんばんはー」

「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子! あれ、イシュトバーンさん?」


 転送先にイシュトバーンさんいるじゃん。

 待ってなくてもいいのに。


「ヴィルがちょうど今来たところなんだぜ」

「悪魔のガルちゃん紹介してもらった?」

「ああ」

「お招きありがとう存じます」


 ぺこりと頭を下げるガルちゃんに、好奇の目を向けるイシュトバーンさん。


「あんたも可愛いじゃねえか」

「照れる」

「精霊使いも可愛いけれども、悪魔の方な?」

「照れるぬ!」

「そういう芸かよ! ガルちゃんも可愛いってことだぜ」

「あらあら、ありがとう存じます」


 ヴィルも犬っぽいところがあるけれども、ガルちゃんは頭の見た目が丸っきり子犬だ。

 可愛い可愛い。

 イシュトバーンさんが言う。


「えらく物腰が丁寧じゃねえか」

「悪役令嬢っぽいよねえ?」

「悪役じゃないのですわっ!」


 あんた帝国艦隊にソロモコ襲わせようとしてたろーが。

 立派な悪役だぞ?

 ってか悪そのものだぞ?


「これお肉。お土産ね」

「おう、すまんな。厨房に下げてくれ」

「は」


 『ララバイ』の固有能力持ちノアに指示を出すイシュトバーンさん。

 ノアも警備員の仕事が馴染んできたなあ。


「土産話もたくさんあるんだろう? まあ上がってくれ」

「お邪魔しまーす」


 屋敷に通され、席に着く。

 軽くガルちゃんに説明しておく。


「イシュトバーンさんは引退商人なんだ。面白い話が好きで聞きたがるけど、政治にはあんまり関係ない人」

「そうですのね」

「早速面白い話を聞かせろ」

「どーしてイシュトバーンさんの言い方はえっちなんだろ?」

「男の魅力だぜ」

「魅力だったかー」


 アハハと笑い合う。


「ラグランドの蜂起は円満解決だよ。結果としてはラグランドの独立は認められないし、税金もそのままだけど、支援とか法律とかで帝国が譲った格好になった」

「結局ドーラには関係ねえのか?」

「条約の中に貿易自由化が盛り込まれたんだ。カカオをドーラも輸入できるよ」


 イシュトバーンさんとこに来てるスイーツ料理人は、ちょこれえとに詳しいだろうか?

 ドーラのスイーツ文化を発達させたいな。


「……結果だけだと当たり前過ぎてつまらねえな。どの辺に面白ポイントがあるんだ?」

「帝国の正使がリキニウス皇子だったの。亡くなったガレリウス第一皇子の長男」

「子供か?」

「九歳って言ってたな。このリキニウスちゃんは世が世なら皇太孫じゃん? 母方の爺ちゃんの公爵が、リキニウスちゃんを次の皇帝にしろってうるさいの。これを諦めさせる代わりに、格好のつくお役目をリキニウスちゃんに振ったって感じ」

「……ひょっとして次期皇帝を諦めさせるのは、あんたの役目だったのか?」

「あ、わかる?」


 イシュトバーンさんは鋭いな。


「まあ相手が大貴族じゃ、次の皇帝を狙う主席執政官の第二皇子殿下も対立できねえんだろ?」

「正解でーす」

「子供の補佐は誰だったんだ?」

「プリンスルキウスだったんだ。あたしが転移で連れてけば可能だろって」


 目を見張るイシュトバーンさん。


「……なるほど。ルキウス皇子殿下の手腕を利用するが、所詮補佐役の功績。失敗したら責任を押しつけるってことか。やるじゃねえか」

「うん、うまく使われちゃった」

「で、あんたはどうした? やられっぱなしじゃねえんだろう?」

「もう一人ルーネロッテ皇女っていう、主席執政官閣下の娘が同行してたの」

「つまり……」


 人質だな、って声を飲み込むイシュトバーンさん。

 大正解です。

 今から話すのは閣下に内緒だった内容も含まれるけれども、ちょっとしたイタズラなんでガルちゃんから漏れても構わん。

 むしろ閣下が知った時、どんな顔するか楽しみニヤニヤ。


「ルーネは冒険者をやってみたいんだって。閣下は何も言わないけど、明らかにルーネを溺愛してて危ないことなんかさせたくないんだよね。でも気付かないふりして大分冒険者熱を煽ってやった。今後困ると思うよ」

「ハハッ、想像すると面白いな」

「ルーネロッテが留守の間、ドミティウスはずっとソワソワしてたのですわ」

「ガルちゃん、あんまり閣下に関する話は外で言わない方がいいぞ? ここで話したことは他所へ漏れないから構わないけどね」

「そ、そうね」


 まーガルちゃんが閣下付きの高位魔族だってことは、イシュトバーンさんも知ってるわけだが。

 ただ口の軽い悪魔としてガルちゃんが閣下に嫌われて追い出されると、あたしも迷惑だから。


「あっ、御飯来た! いただきまーす!」


          ◇


「ごちそーさま! 大満足です!」

「大満足だぬ!」

「大満足ですわ!」

「今日のスイーツもおいしかったよ」


 ふかっ&ぱりっとした生地の中にクリームが入ってる。

 かぶりついて食べるのはいいな。


「シュークリームですの」

「帝都にはあるんだぜ。高価だけどな」

「へー。これはテイクアウトで人気出そう」


 卵と砂糖とミルクとバターが安定供給できれば、さほど高価にならない気がする。

 いやまあ今のドーラで安定供給が難しいとはわかってるけれども。

 今年の食フェスはスイーツでやりたいなあ。

 最低でも砂糖の価格がもっと下がんないとムリだろうか?


「これの上にチョコレートがかかってるやつはエクレアと言うんだ」

「それは無敵だねごくり」


 美味い×美味いはすげー美味いに決まってる。

 ぜひドーラでも作ろう。


「カカオを輸入できるのは確かなんだな?」

「うん。使者の船に途中まで父ちゃんの船がついて来てたんだ。ドーラ~ラグランドの航路を確立するつもりだと思う」

「ああ、オリオンなら目端が利くしな。間違いねえだろ」


 ラグランドとの貿易開始が楽しみではある。

 でもドーラからの輸出品が安定しないな。

 本当は穀物を輸出するのが、基本的に農業国のドーラにとっても、食糧供給に難があるラグランドにとってもベストだ。

 ただこっちも移民がたくさん来ちゃうしなあ。

 いや、『オーランファーム』みたいなレイノス近郊の農場で大増産して、輸出に回せばいいか?

 対ラグランド貿易が実現しそうになったら相談してみよ。


「ガルちゃんはスイーツも好きなの?」

「好きよ」

「お肉が好きって言ってたけど、何でも食べるじゃん」

「訂正するわ。美味しいものが好き」


 うむ、おいしいものは正義。

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