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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1415話:『魔物退治:大至急』

「ただいまー」

「お帰りなさい」

「ごめんね。あたし昼御飯食べてきちゃった」


 家に戻ってきたら、うちの子達が嬉しそう。

 可愛いやつらめ。


「姐御、どうでやした?」

「うん。襲撃でプリンスルキウスが魔法食らって背中少し切ったけど、危なかったシーンはそれくらいかな。オードリーがリキニウスちゃんの嫁になることになった」

「「「えっ?」」」


 意外というか意外じゃないというか。

 冷静に考えりゃありだと思うんだけど、展開が急なのはエンタメ要素だったね。


「どちらからのアプローチですか?」

「あれ? クララはそこが気になるのか。オードリーからだよ。リキニウスちゃんかプリンスルキウスがいいって言いだして。施政館に持ち帰ってうっかり公爵を説得して」

「説得は姐御の役割でやすかい?」

「よくわかるね」


 まあうっかり公爵を丸め込むのなんか、うっかり公爵を丸め込むくらい簡単だわ。

 アハハ、自分でも何言ってるかわからねえ。


「帝国は今までラグランド旧王家の人達を単なる庶民として扱ってたみたい。でもこれからはリキニウスちゃんとオードリーをトップに据えて統治する体制に、徐々に切り替えると思う」

「バット、ラグランドは帝国ヘイトね?」

「問題だよなー。でもかなりラグランド有利な講和条件になったんだ。リキニウスちゃんとオードリーが帝国とラグランドをしょっちゅう往復して、わだかまりを溶かしていけばいいと思うよ」


 時間はかかるだろうが仕方ない。

 オードリーとセグさんは、しばらく帝都のうっかり公爵邸でお世話になるとのことだった。

 仲良くやれるといいな。


「ラグランドクエストも終了のアナウンス出たし」

「おニューのストーンボードが出てるね?」

「拾いに行こうか」

「「「賛成!」」」


 皆で海岸へ。

 今でこそあたしん家のプライベートビーチみたいな扱いだが、移民が増えアルハーン平原の人口が多くなると、皆が来ちゃうんだろうな。

 ちょっと寂しい。


「少し大きくなってきやしたぜ」


 ゼムリヤでもらったシーアスパラガスのことだ。


「かなり寒い地域の植物なんですが、ドーラでも大丈夫そうですね」

「夏越せるかな?」

「問題ないと思います」


 クララ先生は植物のエキスパートなのでお任せだ。

 今年は試験栽培だが、来年以降は広げられるかな?

 栽培しようと考えるより、魔境クレソンみたいに放っといても育つ場所を探した方がいい気もする。


「さて、アイテム回収して帰ろうか」

「「「了解!」」」


 あった、新しい『地図の石板』だ。

 今度はどこ行きかなあ?

 ズズーンというお馴染みの地響き。

 今でも発給されるタイミングがわからんな、これ。

 ラグランドクエスト終了が家に帰ってくる時の転移だったから、まだ三〇分くらいしか経ってないのに。


「姐御、これからどうしやす?」

「ラグランドも一段落だから、夜イシュトバーンさんのところに御飯食べに行こうよ」

「ナイスアイデアね」

「午後は魔境行ってさ。お土産用のワイバーンの卵拾えるといいな」


 頷く全員。

 お肉はストックのやつを持っていけばいいか。

 帰ったらイシュトバーンさんに連絡取ろう。


          ◇


『おう、精霊使いだな?』

「そうそう、華麗にして可憐なあたし」


 海岸から帰宅後、ヴィルを介してイシュトバーンさんに連絡する。


「ラグランドのクエストがさっき終わったんだ。今晩御飯食べに行っていい?」

『おう、楽しみにしてるぜ』

「やたっ! うちの子じゃない悪魔を一人連れてくね」

『ほお? どんなやつだ?』

「ガルムっていう、狼頭の悪魔だよ。バアルの次に帝国の主席執政官閣下にくっついてる子。ソロモコが魔王と関係あること知ってて、帝国に攻めさせようとした」

『大悪党じゃねえか』


 でもないんだな。

 ガルちゃんは御飯を食べるという特徴以外は普通の子。


「いや、たまたま帝国が海外遠征を企図してて、その候補地にソロモコがあったから唆しただけだよ。悪魔だったら皆同じことするって」

『あんたは気にしねえのか。呆れたもんだ』

「バアルほど綿密に作戦を計画しようって子じゃないんだ」

『ああ、あんたはバアルも飼い馴らしてるくらいだもんな』

「閣下の側に悪魔が一人いるのが前提条件なら、ああいう扱いやすい子がいい」

『単純な悪魔なのか?』

「御飯食べる子なんだよ。腹が膨れて満足しちゃうと、悪いことして悪感情を得ようなんて考えないかもしれないの」

『なるほどな。帝国の暴走を押さえ、コントロールできるかもってことか?』

「そこまではどーだろ?」


 ガルちゃんとの付き合いが長いわけじゃないしな?

 まだ未知の部分が多いのだが。


「ガルちゃんとは仲良くしときたいんだ。悪魔が御飯食べるって難しいじゃん? ギルドで依頼請けておゼゼ稼いで、食堂で御飯食べること教えてあげた。ギルドはヴィルがしょっちゅう出入りしてるから、悪魔くらいでビビる人いないし」

『ハハッ、いいじゃねえか。あんたは悪魔にも親切だな』

「あたしは誰にでも親切なのに、どーもあんまり理解されないというか」


 まことに不可解な現象なのだ。

 あたしの半分は親切でできているとゆーのに。

 もう半分?

 自由に想像するといいよ。


「ガルちゃんいるところでの話は閣下に全部伝わるから、話題には注意ね」

『了解だぜ』

「じゃあとで……ん?」


 アトムが慌てて駆け込んできた。

 何事?


「姐御、大変でやす!」

「どーしたの? 焦った時は呼吸を整えるといいよ。さあ、息を吐いて~」

「それどころじゃねえんで!」

「話を聞こうじゃないか」


 マジで何があった?


「新しい転送魔法陣が『魔物退治:大至急』なんで!」


 おおう、大至急って初めてだな。

 内容が魔物退治ってだけで、場所すらわからん。

 しかしあたしに『地図の石板』を配ってもすぐに拾わないことが多いのは、おっぱいさんも把握してるはず。

 にも拘わらずあたしに回したってことは、レベルが必要なやつか?


『大至急かよ。おい、大丈夫か?』

「魔物退治なら大丈夫だと思うよ」

『ハハッ、精霊使いのパーティーは世界一だったな』


 そうそう、うちのパーティーは世界一。

 何故なら相手がボスでなければ、『雑魚は往ね』一発でけりをつけられるから。

 

「話のネタが増えちゃいそう。夜にはそっち行くよ」

『おう、わかった』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻っててね」

『了解だぬ!』

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