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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1414/2453

第1414話:婚約成立

「美少女精霊使いユーラシアと、その他五名登場!」

「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子」


 プリンスルキウスリキニウスちゃんルーネ、そしてオードリーセグさんを連れて施政館にやって来た。

 飛びついてきたヴィルをぎゅっとしてやる。


「ルーネロッテ!」

「リキニウスちゃわん!」


 あれ、あっちでもこっちでもぎゅーが始まったぞ?

 ルーネが明らかに嫌そうな顔してるじゃないか。

 閣下も嫌われるからやめときゃいいのに。

 落ち着いたか?

 落ち着きましたね。


「兄上、講和の内容をまとめた書類です」

「うむ、ルキウス御苦労だった」

「暴漢に襲われたところを、ルキウス叔父様が助けてくださいました!」

「とても格好良かったです!」

「いやいや」

「ルキウス、感謝するぞ!」

「ルキウス殿すまぬ! して、その服は?」

「魔法食らってスーツ破れちゃったから、ラグランドの服着てるの」


 ざっくりした生地の涼しそうな服だ。

 夏だといいかもな。


「そちらがラグランドの?」

「オードリー王女と侍従のセグさんだよ。こちらルーネの父ちゃんのドミティウス主席執政官と、リキニウスちゃんの爺ちゃんのうっかり公爵」

「グレゴールだ!」

「あっ、本名が頭から抜けてた」


 大笑い。

 ヴィルが閣下のとこ行った。

 オードリーが挨拶する。


「初めまして。オードリーなのじゃ。お爺様のヒゲは大層立派じゃの」

「おお、わかるか王女殿!」

「ところでリキニウス殿との結婚を許してくれるかの?」

「もちろん構わんぞ! ……えっ、結婚?」


 何故承諾してから聞き返すのだ。

 本当にすっとこどっこいだなあ。

 プリンスが説明する。


「講和とは別の話なのですが、我が帝国からしかるべき婿をオードリー姫に、という要望が出ているのです」

「オードリーは見る目があるから、リキニウスちゃんがいいって言うんだよ」

「おお、そうであったか!」


 閣下が何かを計算するような面持ちで聞いてくる。


「……ラグランドの旧王家の事情は知らないんだ。何人の王族が残っているのかな?」

「オードリー様が古きラグランド王家の正統な血を引く唯一の王女でございます。ドミティウス閣下」

「ユーラシア君、どうだ?」

「そりゃ密かに隠れ住んでる王家の子孫はいるかもしれないけど、ラグランド指導者層が認知してるのはオードリー一人だよ。今でも王族は結構庶民から尊敬されてんの」

「いいだろう。オードリー王女に似つかわしい皇子を手配させていただく。最もいいのがリキニウスだが……」


 ふむ、閣下も婚姻でオードリーを抱き込み、ラグランド支配体制に組み込む方が簡単だと考えたらしい。

 お相手はリキニウスちゃんがベストだと。

 リキニウスちゃん以上に皇位継承権が高くて適当な皇子はいない。

 年回りがちょうどよく、実際にオードリーに気に入られている。

 リキニウスちゃんが次期皇帝レースから完全に外れる、という条件が重なれば当然だが……。


「嫌だ! リキニウスちゃんは渡さん!」

「おいこら、あんたさっきもちろん構わんって言ってたろーが」


 まったくうっかり公爵はすかぽんたんなんだから。

 面白過ぎる個性にも困ったもんだ。

 閣下とプリンスがこっち見てくる。

 リキニウスちゃんとオードリーが結ばれるのが最適だから説得しろって?

 了解。


「オードリーの何が不満なの。すごくいい子だぞ?」

「わかっておる。わしのヒゲを褒めてくれるほど見る目もあるしな」

「そうそう。ほとんどない長所をピンポイントで見つけるくらい見る目ある」

「コンスタンティヌスも逝き、リキニウスちゃんも去るとなれば、わしは何を楽しみに生きればよいのか……」

「ラグランドについて行けばいいじゃん」

「えっ?」


 その発想はなかった、みたいな顔だな。

 陛下が逝きって言ったことはスルーするけれども。

 マジで失言の多い人だこと。


「公爵位を息子さんに譲れば完全に公務から外れて、自由に動けるんじゃないの? 帝国はそゆことできないの?」

「もちろん可能だよ」


 あ、閣下がうるさいジジイを追い出せるみたいな悪い顔してる。


「ラグランドは帝国みたいな贅沢品はないよ。でものんびりしたいいところだよ。寝相が悪くて布団剥いじゃってもカゼ引かないほど気温が高いし」

「ユーラシアさんは、お爺様が寝相のせいで一冬に三回はカゼを引くことを御存じなのですか?」

「マジかよ」


 ビックリの事実だわ。

 でも帝国人にとってラグランドは、熱帯リゾートになり得る素敵な場所だと思うよ。

 異国情緒溢れてるし。

 うっかり公爵はいい意味で帝国人高位貴族らしくないから、ラグランド人の帝国人憎しに凝り固まった感情をほぐしてくれる可能性もある。


「ラグランドが自治権を得れば、リキニウス王とオードリー女王の共同統治って形になるんじゃないの?」

「リキニウス、王? お、王か。リキニウスちゃんが……」

「ラグランドについて行けば、曾孫も見れるじゃん」

「曾孫?」

「オードリーはじっちゃんを気に入ったみたいだから、曾孫ができたら抱かせてもらえるわ。リキニウスちゃんの嫁が意地悪な子だったら、そー簡単にいかないぞ? じっちゃん、女性に親切にされる自信ある?」

「わ、わかった。結婚を認める。わしもラグランドへ行く!」

「お爺様、歓迎するぞ!」

「説得が簡単過ぎて張り合いがない」


 ざっとこんなもんだわ。

 まー皆さんが喜んでるからいいけれども。


「ところでリキニウスちゃんのお母ちゃんの了解はいらないのかな?」


 忘れてたわけじゃないわ。

 状況がめんどくさくなるから、うっかり公爵の承諾を先に取りつけてしまえという戦略だわ。

 目標は各個撃破すべきなり。


「婿殿を亡くして気が晴れぬようなのだ。リキニウスちゃんの婚約が転機になってくれればいいと思う」

「うんうん。あっ、ラグランドに保養地作ればいいじゃん! 帝国から観光客呼んで儲けよう!」

「ユーラシア君はすぐ商売の考え方になるんだな」

「なるんだぬ!」


 笑い。

 一件落着だな。

 試しにリキニウスちゃんのお母ちゃんも連れて、ラグランドに遊びに行ってくればいいと思うよ。


「さて、昼食を用意させよう。皆食べていくんだろう?」

「もちろんいただきまーす。新聞記者さん達も呼んでいいかな?」

「ああ。せいぜい大きな記事にしてくれ」

「やたっ! ヴィル、新聞社に飛んでくれる?」

「はいだぬ!」

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