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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1385/2453

第1385話:ガルちゃんについて伝えておく

 ――――――――――二二七日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「やあ、おはよう。チャーミングなユーラシアさん」

「おっはよー、ポロックさん」

「おはようぬ!」


 朝からギルドにやって来た。

 何となくヴィルをぎゅっとしてやる。


「今日は早いね?」

「帝国で用があるんだけど、その前にダンと待ち合わせなんだ。昨日のガルちゃんの素性について」


 ポロックさんの表情が引き締まる。


「わけありの悪魔なのかい?」

「わけありの子なんだよ。ドーラやギルドに危害を及ぼすとかではないから、心配はいらないけど」

「ふうん? どの程度の事情がある子なんだい?」

「世界の平和に関わるくらいかな」


 ポロックさんがえっ? てな顔してるけど、決して大げさではないんだわ。

 ガルちゃんがヤバい子ってわけじゃないけど、現在のポジションがね。


「おっぱいさんとダンには詳しめに話しとくから、ポロックさんも聞いといてくれる?」

「わかった」


 あ、ダン来た。


「待たせたか?」

「乙女が花である時間は短いというのに、大分ムダにしちゃった。可哀そうなあたし」

「そうでもないぬ!」

「ハハッ。食堂行くか」

「いや、おっぱいさんからギルドの職員には伝えて欲しいから」

「オーケー、依頼受付所だな」


 おっぱいさんは大変な美人だけど、人を恐れ入らせるオーラがある。

 依頼受付所はいつも大体あんまり人がいないのだ。

 話がしやすい。

 ギルドの内部へ。


「サクラさん、おっはよー」

「おはようぬ!」

「おはようございます」


 ぺこりと頭を下げるおっぱいさん。

 揺れる。

 ダンがいいもの見たみたいな顔しているが、すぐさま頭を寄せて内緒話モード発動。


「今日はすぐ本題に入るんだな?」

「帝国で用があるんだ」

「ああ、ナバルさん連れていくんだったか?」


 そうそう。

 杖の納品の前にタムポートの港行くけど。


「昨日のガルちゃん、今の帝国主席執政官閣下付きの悪魔なんだ」

「「!」」


 驚く二人。


「……主席執政官とは、第二皇子だな? ドーラに艦隊を寄越した」

「うん。ドミティウス殿下で閣下。閣下は前話した通り、『魔魅』の固有能力持ちで悪魔を引き寄せる。元々バアルが閣下付きだったけど、あたしがバアル捕まえてから後釜に座ったのがガルちゃん」

「あんたどこでそれを知った?」

「帝国本土の聖火教徒と宮廷魔道士長から。だけど最終的には閣下にガルちゃんを紹介してもらったんだ」

「え? どういうことだ?」


 わかるまい。


「ソロモコ遠征失敗の件であたしが邪魔したからだって、閣下すげえ不機嫌でさあ。こんなことでドーラが白い目で見られても困るから、魔王とソロモコの関係から全部話すじゃん? でも……」

「証拠を出せ、と言われると難しいですよね」

「ユーラシアはいつもホラ吹いてるからな」

「おいこら、あたしを警醒の女神みたいに」

「ここぞとばかりに難しい言葉を使うんじゃねえよ!」


 アハハ、こーゆーやり取りが好き。


「仕方ないから大悪魔バアルに説明してもらって」

「「えっ?」」

「バアルは閣下の下に二〇年以上いたんだって。バアルがウソ吐かないことは当然知ってるから、信じてもらえた」

「……バアルに会わせたってことは、当然第二皇子はドーラ独立の経緯について、現場にいてもわからねえことまで知ってるんだな?」

「そりゃ知ってるでしょ。バアルがあたしを憎んで色々やってきた時は、まだ閣下の側にいたんだし」


 だからあたしが飛空艇落としたことも知ってたんだろうし。


「じゃあ第二皇子とは腹を割って話してるんだな?」

「まあ。次期皇帝レースであたしはプリンス推しだぞ、閣下は危なっかしいから減点だとは言ってある」

「全部じゃねえか! 何だそれ! どうなってんだ!」

「ユーラシアさんはドミティウス皇子に警戒されてはいないのですか?」

「警戒してるかもしれないけど、だからといってあたしのやることが変わるわけじゃないじゃん? ヤマタノオロチにしてもラグランド蜂起にしても、あたしが介入しなきゃ被害大きくなるんだから。使った方がお得くらいには思ってるでしょ」

「第二皇子の道具じゃねえか!」

「とゆー言い方もできるかもね。でも逆にあたしを激おこにさせることは想像したくないだろうから、大概言うこと聞いてくれると思う」

「「……」」


 あれ、黙っちゃったな。


「さて、本題行きまーす」

「今までのは前フリなのかよ!」

「本題はガルちゃんの扱いについてだよ。ガルちゃんはソロモコと魔王の関係知ってて、帝国艦隊をソロモコに向かわせようとするくらいお茶目な子ではある。ただその程度の悪魔なんだ」

「人魔大戦一歩手前じゃねえか!」

「たまたま自分が遭遇したシチュエーションを利用しただけだよ。悪感情好きの悪魔だったら誰でもやるって。バアルみたいに何年もかけてドーラ戦を画策するほど根性のある子じゃない。しかも御飯食べさせて可愛いって言ってやると、満足して他に悪さしない可能性がある」

「……ドミティウス皇子のそばにいると都合がいい、ということですね?」


 こっくり。

 そゆこと。


「ガルちゃんが見聞きしたことは閣下に筒抜け。もちろんガルちゃんが閣下付きであることは内緒だから、ガルちゃんの素性を詮索されると閣下に警戒されちゃう。ガルちゃんが閣下に追い出されて別の悪魔が閣下付きになると迷惑なんだよね」

「面倒な悪魔が第二皇子付きになるより、あのわんちゃん悪魔の方がマシってことか」

「ガルちゃんは扱いやすい。帝都在住で御飯を食べる珍しい悪魔だから、あたしが面白がって構ってる、くらいの情報を流しといてくれる? ギルドの職員とマウさんには全部知っててもらっていいよ。でもそれ以外の人にガルちゃんがしつこくされそうなら、さりげなくガードしてやって欲しい」

「わかったぜ」「わかりました」「わかったぬ!」


 よーし、これでよさそう。


「ガルちゃんは冒険者活動はもちろん、魔物倒したこともほとんどないだろうからさ。親切にしてやるとデレてくると思うんだ」

「そうか?」

「多分ね」


 ダンは高レベルだし、おっぱいさんには色々勝てないと思ってるだろうから。

 内緒話モードを解除する。


「とゆーことでーす。よろしくお願いしまーす。じゃ、あたし帰るね」

「おう、またな」

「さようなら」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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