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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1384話:今日のノリはミステリーっぽい

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 ギルドでの夕食のあと、毎晩恒例のヴィル通信だ。


「今日は互いに関係のないいくつかの事柄があったのだよ。サイナス君」

『今日のノリはミステリーっぽいな。新しい芸風かい?』

「おニューを模索したい気分だったね」

『ふむ、何か事件があったわけではなく?』

「残念ながら。事件だともっとミステリーっぽかったのにねえ」

『君の都合で事件が起きるわけじゃないからな?』

「事件は現場で起きるってゆーじゃん? 大体あたしは現場にいるから」


 逆だわ。

 事件が起きてる場所のことを現場って言うんだわ。

 事件が起きる前提になってるのは、あたしの主人公補正のせい。

 誰だ、トラブルメーカーだからなんて言ってるやつは。


「盾の魔法のスキルスクロールが一〇〇〇本完納できそうってことは、行政府に報告しといたからね」

『ああ、ハヤテに言っておこう』

「アレクとケスは輸送隊出の番なんだ?」

『そうだな。明朝出発だ』


 輸送隊が戻るまでの三日間、ハヤテが暇そーだな。


「今日はまず赤眼族の集落行ってきたんだ」

『肉を置きにか』

「お肉を置いてくるのも重要な目的の一つだったね。とゆーかお肉より重要なことって世の中にあるかな?」

『そういうのいいから』

「もう赤眼族の集落は飢えることなさそう。めでたし!」

『よかったじゃないか。本題は?』

「サイナスさんはわかってるなあ。赤眼族の魔除けはすごいんだよ。全然魔物寄らないの」

『確か、碧長石を使用するんだったか?』

「うん。言ったっけ?」


 サイナスさんはよく覚えてるなあ。


「いつか赤眼族の魔除けの術式の文様を、アレクや呪術師グロちゃんに見てもらいたいんだよね。クララが言うには、ケイオスワードであることには間違いないけど、装飾的で解読が難しいみたい」

『応用したいということか? 碧長石が手に入る当てはあるのかい?』

「いや、絶対に碧長石が必要なのか、それすらわかんないからさ」


 西域開発にも南部に道を通すのでも、強力な魔除けは必要だ。

 今の魔物除けの札が十分に有効なら必要はないが、万全の効力を期待するのは厳しい気もする。

 紙の札はお手軽だけど、石で作ったものの方が長持ちするということもある。


『何事も基礎研究は必要だものな』

「そうそう。あたしじゃない誰かの仕事」


 サイナスさんが苦笑してるのがありありとわかる。


「次に行ったのが聖火教の礼拝堂んとこの移民集落」

『肉を置きにか』

「お肉はどこまでも正義! とにかくめでたし!」

『で、本題は?』

「帝国で聖火教徒が虐められるのは悪魔のせいなのかって、ミスティさんに聞かれたんだよね」

『ほう?』

「バアルやガルちゃんによると、聖火教は鬱陶しいけど信徒が悪魔に向ける悪感情は嫌いじゃないんだって。悪魔が聖火教を虐めることは、悪感情を搾り取るっていう考えからあるかもしれないよ? けど聖火教に狙いを絞る意味がないじゃん」

『悪魔の理屈がひどいが、まあわからなくはないな。すると?』

「宗教の勢力争いなんじゃないかって。汎神教のどっかの教会の勢力拡大の煽りを食ってるのではって推測なんだけど」

『ユーラシア教会か?』

「ちがわい」


 ムー教会かもって話だったわ。


「でもあたしを崇める教会も、一度見てみたいって気はする」

『君と同名の女神を崇めてるんだからな?』

「あたしは現人神って言葉をちゃんと知ってる」

『楽しそうでいいなあ』


 楽しみっていろんなところにある。


「お昼はリリー連れて、リリーのじっちゃんとこ行ってたんだ」

『ゼムリヤの辺境侯爵か。喜んでいたろう?』

「うん。メルヒオールさん身内に甘いから」


 リリーがヴィルみたいに飛びついてたわ。


「メルヒオールさんはリリーの将来が心配みたいで」

『嫁ぎ先って意味でかい?』

「まあ。貴公子薙ぎ払いイベントでも、メルヒオールさんはいい話って言ってたよ」

『いい話を潰したユーラシアが恨まれるってことはないのか?』

「嫌なこと言うなあ。可愛い孫娘の意思を尊重したいだろうから。あーんどあたしは次期辺境侯爵ウルピウス殿下の嫁候補としてロックオンされてるし」

『嫁候補っというのは冗談じゃないんだな?』

「冗談じゃないんだよ。そーいやこの前フリードリヒ公爵が、ヘルムートの嫁に興味はないかって言ってきたぞ? ヘルムート君にはリリーがいるだろって断ったけど。そしたら今度は弟のパスカル君がオレの嫁はどうだって食いついてきたわ」

『今年に入ってモテモテじゃないか』

「あたしはいつもモテモテだってば」


 面白おかしい自由人であるあたしのことはいいのだ。

 周りの思惑は関係なしに、自分で自分の往く道を決められるんだから。


「やっぱ皇族とか貴族は、どこから嫁もらうか、どこへ嫁に行くかって重要じゃん? リリーなんか特別いい子だし、誰もが欲しいに決まってる」

『意外だな? ユーラシアは家と家の繋がりみたいなのは好きじゃないのかと思ってた』

「封建国家のパワーバランスくらいわかっとるわ。好き嫌いとは別の話だわ」

『ふむ、君の感覚は現実的だな』

「リリーがどこに嫁に行こうが、転移の玉でドーラに来て冒険者活動できればいいじゃん?」

『およそ皇族貴族らしくないんだが』

「リリーが今冒険者活動してることだって、全く皇女らしくないんだから勘弁してよ。社交に勤しもうが趣味に耽ろうが冒険者やろうが、気にしない寛大な旦那んとこに嫁に行けばいい」

『転移の玉をリリー皇女に、という発想か……』

「信頼できる人で長距離移動が必要な人には持っててもらっていいと思うよ。デス爺とも相談したい部分だね」


 『アトラスの冒険者』がなくなるのが確定したら、代替組織を作ることを理由にもっと大胆に動ける。

 代替組織もあたしに都合のいいように作らなきゃならんな。

 根回しはすませておかないといけない。


「明日、帝国からラグランド行きの使者が出るんだ。帝都外港のタムポートってところから船が出るから、見送りに行こうかと思って」

『さすがに何もないイベントだよな?』

「もう、余計なフラグ立てないでよ」


 うっかり公爵以外、大したことはなさそうだが。


「サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日はまずギルド。

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