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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1383話:可愛いわんこ悪魔ちゃん

「お店引けちゃったな。不用品売却は今度でいいか」

「そのナップザック便利だな」


 バアルのお宝で手に入れた、ほぼ無限にものが入るナップザックだ。

 確かにすげえ便利だよ。

 自動修復が付いてて擦り切れたりしないことにも最近気付いた。

 今となってはあたしの世界征服計画うそに欠かせない、重要なアイテムだからね。


「ねえ、ダン。あたしのいない時にガルちゃんがギルドに来たら、皆に紹介してやってよ。あたしの知り合いの悪魔だって」

「おう、いいぜ」

「ダンはこう見えてギルドで一番顔が広いんだ。ダンが請け負ってくれれば安心だよ」

「ハンサムなダン。ありがとう存じます!」

「おせじはいいんだぞ?」

「おせじじゃねえよなあ。あんたも可愛いぜ」

「ありがとう。照れる」

「ユーラシアじゃねえよ!」

「照れるぬ!」

「ヴィルでもねえ!」


 アハハ、いつもの楽しい掛け合いだ。

 笑いながら食堂へ。

 ダンが意味ありげにこっちを見てくる。

 ガルちゃんのこと教えろって? ガルちゃんいると都合が悪いんだって。明日聞かせろ? じゃあ朝一ギルドで、とのやり取りをアイコンタクトで行う。


「飯食ってくんだろ?」

「もちろん。ガルちゃんにもギルドの御飯はおいしいということを教えてやりたいんだ」

「ありがとう存じます!」

「マウ爺いるじゃねえか」

「あたし注文してこよ」

「俺の分も頼むぜ」

「ん」


 カウンターへ。


「大将、この子ガルちゃん。時々食べに来るだろうからよろしくね」

「おっ? わんこ悪魔ちゃんかい? 可愛いねえ」

「よろしくお願いいたします!」

「鶏の香草炙り焼きを定食で六つ、サラダと揚げポテトの盛り合わせ大皿で、それと柿の葉茶六つ」

「あいよっ!」


 ガルちゃんわんこ言われても喜んでるじゃん

 あたしがわんちゃん言った時怒ったのは、バカにされたと思ったからだろうか?

 悪魔って面白いなあ。


 マウ爺とダンの待つテーブルへ。


「こんばんはー。ガルムことガルちゃんでーす。マウさんは現役最年長の『アトラスの冒険者』だよ」

「あらまあ。よろしくお願いいたします」

「うむ。よろしくな」


 事情を話せって目で見られても、言えないんだとゆーのに。

 ダンには詳しく話しておくつもりだから、あとで聞いてよ。


「帝都で知り合ったんだ。ガルちゃんは御飯食べる子だけど、悪魔が入れる食堂ってあんまりないから、ギルドを教えとこうと思って」

「ここは高位魔族だからといって、皆さん嫌悪しないのね?」

「ヴィルがしょっちゅう遊びに来てるからな」

「あっ、ヴィルのナワバリだったの?」

「いや、ナワバリとか考えなくてもいいよ」

「いいんだぬよ?」


 ガルちゃん恐縮してるけど、ガルちゃんのナワバリの施政館にもヴィル行かせることあるしな。


「ギルドは多くの冒険者が集まる場所だからね。一人の悪魔のナワバリで他の子が入れないとちょっと迷惑かな。中立地帯だと思って」

「わかりましたわ」


 マウ爺が言う。


「食べる、となると、活動するのに負力は必要ないのか?」

「あ、どうなんだろ?」


 ガルちゃんも首捻ってるがな。


「どうでしょう? 今まであまり食べられる機会がなかったものですから」


 食べるだけで満足できるなら、あえて悪さをして悪感情を得ようとする必然性はなくなるはず。

 ガルちゃんが主席執政官閣下に悪影響を及ぼすことはなくなるんじゃないか、とゆー推論が当たってるといいな。

 とゆーかギルドに入り浸ってれば皆に可愛い可愛い言ってもらえるだろうから、十分な気もするな?


「あんたはどうせまた面白いクエスト抱えてるんだろう? そういう顔だ」

「あたしの顔はエンターテインメントじゃないわ」


 ただのプリティな顔だわ。

 ダンはガルちゃんのこと聞くのは明日に回して、あたしからネタを拾おうとしてるらしい。


「あたし今、ラグランドのクエストにかかってるんだ」

「「ラグランド?」」

「帝国の植民地で一番人口多いって話だったかな。熱い気候のところだよ。反帝国の蜂起が起きたから、帝国とラグランドの間に入って落ち着かせろって役割」

「嬢は相変わらず大変なクエストを振られているの」

「言うほど大変じゃないんだよ。失敗したところで、あたしもドーラも損しないクエストだから。気楽に取りかかって旅行気分だよ」

「お気楽に関わられちゃ、ラグランドも災難だな」

「何だとお! エンターテインメントは正義だぞ?」


 今んとこ双方から感謝されてるけどな。

 双方から報酬をもらえるかは結果次第だが。

 ダンが何かを感じたようだ。


「本当にドーラには関係ないクエストなのか?」


 ダンは案外鋭いんだよなあ

 実は丸っきり関係ないことはない。


「帝国は艦隊を派遣せずに、話し合いで収めようとしているんだ。で、帝国側の正使は子供の皇子で、実質在ドーラ大使のプリンスルキウスが担う。あたしが転移で連れてきゃいいだろって言われた」

「ハハッ、キリキリ働けってことだな?」

「プリンスが使い減りしちゃうわ。プリンスが婚約したことは知ってるんだっけ?」

「む、新聞で読んだ」

「プリンスは大使を解任、帝都で次席執政官に復職する。で、在ドーラ大使は、今ラグランド総督やってるホルガーさんって人になる」

「蜂起を抑えられない程度のやつか?」

「いや、ホルガーさんだから今まで重税かけてても無事ラグランドが治まってたってくらいの、有能な人だよ。多分ラグランド統治は新体制になるから、そのまま留任ってわけにいかないんでしょ。ドーラに回してくれるって」

「嬢は随分と事情に通じておるのじゃな?」

「帝国施政館に出入りできるようになったんだよ。色々内情を聞かせてもらえるの」


 呆れてるけど。

 いい機会だから聞いとくか。


「ガルちゃん。悪魔って聖火教徒に目の仇にされてるじゃん? 帝国で聖火教の扱い良くないのって、悪魔が関係してるの?」

「関係ないと思うわ。聖火教が煩わしいのは事実ですけれど、からかい甲斐はあるし」


 バアルと同じ見解だな。


「じゃやっぱり汎神教のせい?」

「と、思うわ。ムー教会のせいじゃないかしら」

「ミスティ大祭司の懸念か?」

「うん。帝国で聖火教徒が嫌がられたら、どんどんドーラで移民受け入れればいいわけだけど」


 帝国を追い出される聖火教徒を引き取る状況は、ドーラにとってありがたい気がする。


「御飯来たっ! いただきます!」

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