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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1373話:ハプニングコレクター

『ユーラシアか。面白いことか?』

「どこぞの誰ぞみたいな物言いだな」


 帰宅後、ヴィルを通じてゼムリヤのメルヒオール辺境侯爵に連絡を取っている。

 以前メルヒオールさんにもラグランドについての意見を聞いたから、一応報告しとこうかと思ったのだ。

 唐突にエンタメを要求されるところからすると正解だったみたい。


「あんまり面白いことではないんだけど、以前話したラグランドの件で。昨日蜂起だったんだ。経過が聞きたいかと思って」

『ラグランドか。興味はあるな。ソロモコについては滞りなく?』

「あ、ソロモコもまだゼムリヤまで情報届いてなかったか。うん、問題なく艦隊にはお帰りいただいた。ドミティウス主席執政官閣下にもソロモコのヤバさを知ってもらったから、魔王と揉める未来は消えたよ」


 めでたしめでたし。

 あたし偉い。


「ラグランドは今んとこ蜂起って言うほどの規模じゃないんだ。デモに毛が生えた程度」

『となれば施政館はやはり艦隊を派遣できない?』

「うん。特使を派遣して、話し合いで決着つけたいみたい」

『妥当だな。使者はセウェルス殿か?』

「ドミティウス主席執政官閣下もそのつもりだったよ。でも第三皇子精神的に不安定でさあ。とても使者が務まらないから、第三皇子が使者ってことはなくなった」

『ふむ……』


 同時に第三皇子が次期皇帝のセンもなくなったことは伝わったろ。


『となれば使者は、高級文官か年長の皇族の中から任じられるのか?』

「いや、それがリキニウス殿下なの」

『リキニウス殿下? ……というとガレリウス殿の息子の?』

「そうそう」

『子供だろう?』


 ちょっと意図を計りかねるよな。


「リ殿下って世が世なら皇帝じゃん?」

『正妻の子である第一皇子ガレリウス殿の息子だからな』

「簡単に言うとリ殿下の爺ちゃんのすっとこどっこいな公爵が、リキニウスちゃんを皇帝にしろーって騒いでんの」

『ハハッ、グレゴール殿の独走か。面白いな』


 マジで面白かった。


「主席執政官閣下としては何バカなこと言ってんだって感じじゃん? 自分が皇帝になりたいんだし」

『そもそもドミティウス殿が決めることでもないしな』

「でもすっとこどっこいさんを無下にすることもできないじゃん? 仮にも公爵なんだから。で、皇帝を諦めさせる代わりに、リ殿下に格好のつく役を振ったってことなんじゃないかなと思う」

『その理屈だと、次期皇帝を諦めさせるのが難題ではないか。ドミティウス殿はグレゴール殿にキツいことが言えないのだろう?』

「リキニウスちゃんの皇帝を諦めさせるのあたしの仕事だったわ。反逆者の思考だぞリキニウスちゃんに累が及ぶぞーって煽ったった」

『御苦労なことだな。ん? 何故ドーラ人のユーラシアが、帝国とラグランドの間の紛争の深いところまで関わっているのだ? 無関係だろう?』


 当然疑問に思うだろうが。


「何とあたしんとこにラグランドのクエストが出ちゃったのでした。どうやら帝国とラグランドの間に入って混乱を押さえ、両方から謝礼をせしめろってことみたい」

『『アトラスの冒険者』は実に愉快だな』

「本当だよ。わけがわかんない」


 人生はエンターテインメント。

 愉快ならオールオッケーなのだ。


『ラグランド蜂起の規模が小さいのも、ユーラシアが抑えてるのか?』

「とゆーかラグランド人側の首脳と話ができたんだ。食べ物足んなくて放っておかれるだけで飢えちゃうんだから、対話に持っていけーって」

『外務大臣か植民地大臣が副使になるんだな?』

「在ドーラ大使のプリンスルキウスが補佐なんだ。あたしが転移で連れていけば、一日くらいドーラ抜けてもいいだろうって」

『……曲芸じみた起用だな。なるほど、施政館はルキウス殿の手腕を有効活用したい。正使がリキニウス殿下なら、ルキウス殿の功績が薄まってしまう。失敗したら責任を押しつける、か。次期皇帝レースを見据えた完璧な策だ』


 そゆことだろうなあ。

 閣下は食えないやつなのだ。


「以上がラグランド情勢でした。また展開が楽しい方に転がったら連絡するね」

『ああ、ユーラシア』

「何だろ?」

『リリーを連れてこちらへ来られんか?』

「リリーとゼムリヤに? 面白そーだね」


 使者がラグランドに着くまでは、あたしは比較的時間取れそう。

 でもリリーの予定はわからんな?


「じっちゃんはいつ頃が暇?」

『一〇日くらいは毎日暇だ』

「じゃあリリーの都合のいい時に、予告なしでいきなりそっち行くことになると思う」

『うむ、待っているぞ』

「じゃねー。ヴィル、ありがとう。こっち戻ってくれる?」

『わかったぬ!』


 よし、連絡終わり。


「御苦労様です」

「ありがとう」


 クララが淹れてくれたハーブ茶を啜る。

 潤うなあ。


「これから魔境でやすか?」

「そーだ、魔境だ! 今日も随分働いたから、休み時間を要求する!」


 こんなに働いてるのにおゼゼにならないのだ。

 まったくどういうことだ。

 何かが間違っている。


 しかし魔境探索の何と素晴らしいことか。

 くさくさした気が晴れる上に、おゼゼまで稼げてしまう。

 ビバ魔境。


「サッドね。アンハッピーね」

「え? 何なの一体」


 どーしたダンテ。

 あんたはいつも飄々としてて、寂しいなんて言う子じゃないだろうが。


「最近ボスがあんまり遊んでくれないね」

「くぅーギャップで泣かせる作戦だな。ダンテやるじゃないか」


 考えてみればあたしの行動範囲が増えるにつれ、単独行動かあるいはヴィルとのみ、あちこち行くことが多くなっている。

 うちの子達とのふれあいが少なくなっているんだなあ。

 由々しき事態ではある。


「一段落したらゆっくり魔境を回りたいねえ。そろそろ新緑の時期だし」

「一段落しないね。ビコーズ、ボスだからね」

「ユー様だからです」

「姐御だからでやすぜ」

「御主人だからだぬ!」

「あんた達の認識はわかった。どうせあたしのこと、トラブルメーカーだと思ってるんでしょ?」

「ハプニングコレクターだと思ってるんだぬ!」

「お? おう」


 トラブルメーカーには物申したいけど、ハプニングコレクターには反論できないぞ?

 さすがに今以上に忙しくなると困るけどな。

 あたしに都合のいい世の中になればいいのに。

 何日かは時間ありそうだから、いろんなとこ行きたいな。


「よーし、魔境行くぞお!」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」

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