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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1366話:南部街道の構想

 フイィィーンシュパパパッ。

 ウィリー君を伴ってギルドにやって来た。


「やあ、チャーミングなユーラシアさん。いらっしゃい」

「こんにちは、ポロックさん」

「こんにちはぬ!」

「そちらはどなたかな?」

「『マップ』持ちのウィリー君だよ」


 破顔するポロックさん。


「ああ、志半ばで脱落してしまった『アトラスの冒険者』の?」

「御存じなんですか?」


 驚くウィリー君。

 御存じなんですよ。


「ここってドリフターズギルドですか? 『アトラスの冒険者』のメンバーが集まるという?」

「よく知ってるね」

「チュートリアルルームで説明もらいましたから」


 シスター・テレサはギルドの説明をちゃんとしてたんじゃないか。

 バエちゃんは聞かなきゃ教えてくれなかったけど。


「二〇日ほど前だったかな。ユーラシアさんが有能な固有能力持ちの元『アトラスの冒険者』を活用したいと話していたのさ。ドーラの発展のためにね」

「ウィリー君は南部の人なんだよ。南部の知り合いいなかったから嬉しいんだ」


 さてと、ギルド内部へ。

 買い取り屋で不必要なアイテムを処分し、武器・防具屋でウィリー君用のパワーカードを購入する。

 『遊歩』のカードも普通に買えるようになったのは嬉しい。


「これは?」

「ユーラシアさんの使う、パワーカードという装備品ですよ」

「これが武器系で、こっちは攻撃射程が伸びるやつでしょ? ヒットポイント自動回復付きの防御用カードに、回復魔法と治癒魔法が使えるやつ。最後のこれは装備してると飛べる」

「飛べる?」

「今のウィリー君のレベルがあれば使えるよ」


 天井のないところで練習してください。


「ゆーらしあさん!」

「何だあんた達は可愛いな」


 ポーラとヴィルがぎゅーしとるわ。

 ウィリー君にポロックさんの娘だよと説明。


「ポーラは誰のところにいたの?」

「だんさんがいるのでつ」

「あ、ダンが来てるのか」


 食堂へ。

 飲み物を注文っと。


「こんにちはー。ダン一人?」

「ちょっと前までブローンとミラがいたんだぜ。そいつは?」

「幼女のポーラと幼女悪魔のヴィルだよ」

「そっちじゃねえよ!」

「こっちじゃないぬ!」


 アハハと笑い合う。

 わかっていてもやってしまうお約束。


「元『アトラスの冒険者』のウィリー君だよ。『マップ』の固有能力持ち」

「ああ、使える固有能力持ちを埋もれさせたらドーラの損害って言ってたやつの対象者か。俺はダンだ。よろしくな」

「こちらこそ」


 握手。

 すげえダンが先輩面してるけど、この二人同い年くらいじゃないかな?

 『アトラスの冒険者』になったのはウィリー君の方が早いし。

 ちょっと面白い。


「もうレベル上げ終わってんじゃねえか」

「いきなり魔境へ連行されるとは思わなくて」

「ハハハ。精霊使いの得意技なんだ。どうしてギルドへ連れてきたんだ?」

「ウィリー君は南部の人なんだ。話聞きたいと思わない?」

「南部? コショウを作ってる?」

「そうそう。南部の知り合いは初めてだから、色々教えてもらいたいの」


 首をかしげるダン。


「……南部の情報ってほとんど入って来ねえよな」

「でしょ? 他所と道が繋がってないせいかな。ウィリー君説明してよ」

「え? 何を?」


 最初から最後までだよ。

 基本的な地理的情報から何だかんだでホニャララ。


「南部って結構人住んでるんじゃねえか」

「集落が一〇以上もあるってことにビックリだよ。あたしの地図には三つしか載ってない」


 人口を抱えられるってことは、それだけの食料生産が可能ということだ。

 地図で見ると大して広い地区じゃないんだけどな?


「ひょっとして南部には魔物いないのかな?」

「ああ、たまに北の森から入ってくる時はあるけど」

「丸々耕地にすることが可能じゃねえか」

「いいとこだねえ」


 南部は半島になってるから、入り口さえ押さえときゃ魔物の脅威がないのか。

 えらい不便な場所なのに、ドーラ黎明期から集落が形成されてた理由がわかった。

 コショウでも砂糖でも、おゼゼになる商品作物を作り放題じゃねーか。

 南部は楽園だ。


「主食は何なんだ?」

「おお、ダンやるね。あたしも聞きたいことだった」

「ユーラシアは食うことばっかりじゃねえか」


 何だよ。

 農場の息子らしい質問だなと思ったのに、あたしの崇高な食への探求を貶めるとは。

 女神ユーラシアのバチが当たってしまえ。


「トウモロコシとイモだよ」

「ざっと見、果物も多い感じだったけど」

「多いよ。特に柑橘とバナナは多く栽培されている」


 柑橘は暖地が好きだもんなあ。

 ばななって知らんけど、暖かいところでしかできないやつかしらん?

 あとでクララに聞いてみよ。


「南部は果物が多かったのか。ビジネスチャンスだと、商売人ユーラシアの本能が叫ぶよ」

「運搬が難しいんだろ? だから高価なコショウしか取り引きされてないんだろうに」

「道を通せばいいじゃん」

「「えっ?」」


 海岸沿いをコソコソ通ることしかできないから南部は孤立し、あたし達は南部の豊かな実りをごく限定的にしか享受できないのだ。

 正すべし!


「道ってどこに?」

「地図見て。クルクルって自由開拓民集落あるでしょ? ここが一番近いから、クルクルで直角に西域街道と交わる感じにしたい」

「魔物はどうすんだよ」

「逆に考えようよ。問題は魔物だけじゃん。カラーズの黒の民の村で、よく効く魔物除けの札を販売してるんだ。西域の強い魔物にも効果あるみたいだから、応用できるんじゃないかな」

「一番魔物の多いところだろ? 集落と違って柵があるわけじゃねえんだ。札の効果が半端だと、通行人に被害が出るぞ」


 ダンは懐疑的だね?

 しかしもっともなことではある。

 強力魔物除けの実際の効果ってどれほどものなんだろ?


「バルバロスさんとボニーに強力魔物除けの札を渡して、試してもらってるんだ。今度様子聞いとくよ」

「結果次第だな」

「まーね」


 たとえ魔物除けの札の効力が足りなくても、赤眼族の魔除けならバッチリだ。

 でも碧長石の入手に当てがないんだよな?


「南部の街道の可能性か。ワクワクするなあ!」

「どこにどう道を通すかの段階になったらウィリー君の出番だぞ? 『マップ』の能力を存分に発揮してよ」

「ああ!」

「ダン、ごちそーさま」

「あっ! 奢るなんて言ってねえぞ!」

「言わなくても奢るんだぬ!」


 ハハッ、ナイスヴィル。

 転移の玉を起動し帰宅する。

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