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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1350話:ホルガーが裏切った?

『御主人! ドミティウスだぬ!』

『やあ、ユーラシア君か』

「そうそう、麗しの美少女冒険者ユーラシアだよ」


 ラグランドからの帰宅後、ヴィルに施政館の主席執政官の第二皇子に連絡を取ってもらった。

 ヴィルはとてもいい子。


「ラグランド行ってたんだ。今いいかな? 特別状況に変化があったわけじゃないけど」

『植民地大臣が悪魔にビックリしているがちょうどいい。こっちもラグランドについての報告が来たところなんだ。大臣に聞かせても構わないね?』

「もちろん」


 第二皇子は面白がってるんだろうな。

 あるいは悪魔をも利用して情報を得るというパフォーマンスを、閣僚に見せたいのかもしれない。


「明日決行であることは変わらないけど、首都ウォルビスでの蜂起はデモに毛が生えたほどの規模になりそうだって」

『そうか、助かるな』

「ラグランド人側の首脳は蜂起を抑える方に回ってるんだ。どんだけ帝国に要求飲ませるかの勝負だぞーって言い聞かせてあるからね」


 民衆がのぼせて制御できなくなる可能性がないではないが、食料の不安は誰もが抱えているはず。

 ラグランドは情報の伝達が特徴的に発達している社会なのだ。

 畑を守れという号令は、絶対的な足枷になるに違いない。


『施政館に寄せられた報告を聞かせよう。近日中にラグランドで反乱の可能性極めて高しとある。艦隊を至急派遣しろとの要請もな』

「うん、予定通りだね」

『それからホルガーが裏切ったという情報があるんだ』

「えっ?」


 ホルガーってラグランド総督?

 帝国を裏切った?


『ユーラシア君は聞いてないかい?』

「知らないな。総督がラグランドに同情的だとは聞いたよ」

『ホルガーには会ったかい?』

「ごめんね、まだ会えてないんだ。とゆーか蜂起が起きてない段階でラグランド総督に会うのも、出来レースみたいでおかしいじゃん?」

『おかしなところを気にするんだね。ほぼ出来レースだろう?』


 閣下の認識はそーかもしれんけど、ラグランド市民に知れて不審がられると事態をコントロールできなくなるじゃないか。

 あたしは思い通りにならないことが嫌い。


「自分が帝国とラグランドの間に立つからことを荒立ててくれるなと、総督が言ってたとは聞いた。だからあたしは本当に総督がラグランドに同情的なケースA、閣下の意を汲んで事態をまとめようとしているケースB、自分に被害が及ばないよう適当こいてるケースCを想定してたんだけど」

『ホルガーは硬骨漢だ。A寄りのBだろうな』


 ふむ、ラグランド総督は閣下の信頼厚い人か。

 やっぱラグランドって重要な植民地なんだなあ。


『ホルガーが裏切ったなんておかしいと思ったんだ。情報感謝するよ』

「正確なことがわかり次第、また連絡するね」

『ああ、ありがとう。しかしこんな報告が上がってくるってことは……』

「状況の見えてないおバカなやつがいるねえ」

『まったくだ』


 おそらく総督ホルガーさんの近辺に、対ラグランド強硬派がいるのだ。

 総督の対話姿勢を軟弱と見て更迭を狙ったか?


「ラグランド一つ取っても、いろんな思いが交錯するんだなあ。勉強になるわ」

『迷惑な話だ』

「そお? あたしは知らん人の思惑なんか知ったこっちゃないな。自分のいいようにやっちゃう。知ってる人の思惑はチラッと参考にするけど」

『ハハハ。ユーラシア君は世界で一番自由かもしれないね』


 自由に動けるのはありがたいことだ。

 やりたいようにやる。


「確認しとくね。帝国の混乱はあたしとドーラの損失になるし、ラグランドの人が死んでも寝覚めが悪いんで、人死にが出ないよう手早く片付ける方向で動くよ。いいかな?」


 『アトラスの冒険者』のクエストとしても、穏便な解決が望まれているんだろうから。


『わかった。しかし予の答えがどうであろうと、ユーラシア君は自分の思った通りに動くんだろう?』

「完全に読まれてるわ。閣下はやるなあ。でも話くらいは聞くから、何かあったら教えてよ」

『わかった。ラグランドについてはよろしく頼むよ』

「オーケー任せて。じゃあまたね」

『ちょっと待ってくれ』


 ん? 何ぞ?


『ツェーザル中将が君とゆっくり話をしてみたいそうだ』

「中将が? ……中将ならたっぷり御飯を食べさせてくれそうだね」

『ハハハ。明日までは遠征後の休暇期間だ。連絡取ってみるといいかもしれないよ』

「閣下ありがとう! ガルちゃん連れてこ」

『またの連絡を待ってるよ』

「さいなら。ヴィル、ありがとうね。中将がどこにいるか探せる?」

『パワーが強いから探せるぬよ。ちょっと待つぬ』


 軍人は階級が上がるほどレベルが高い傾向にある気がする。

 ツェーザル中将はレベル五〇近かった。

 大将とかはもっと高レベルなのかな?


『御主人! ツェーザル中将だぬ!』

『ガハハ、ユーラシアか?』

「そうそう。世界のアイドル兼世界のヒロインことあたしだよ。今主席執政官閣下にラグランドのことで連絡してたら、中将があたしに御飯をたっぷり食べさせてくれるようだって話が出たんだけど」

『まあそういうことだ。今日明日のどちらかで来れんか?』


 明日はラグランド蜂起の日だ。

 どんな急用が飛び込んでくるかわからんしな?


「じゃ、今日の夜行くよ。焼いて塩かけると美味しいお肉をゴッソリ持ってく」

『楽しみにしておるぞ! 何人になるのだ?』

「あたしとうちの精霊の子三人とヴィル、それとガルちゃんも連れていっていいかな?」

『おう、わかったぞ。こちらは俺の家族がいるが、構わんな?』

「全然大丈夫だよ。でもごめんね。精霊は普通の人と喋んないんだ」

『ほう、うちのボウズどもの勉強になるな』

「息子さんがいるんだ?」

『二人な』


 中将に似てでっかい息子さんかしらん?

 夕御飯の予定はバッチリとして……。


「ところで中将はあたしに何の用だったろ?」

『用というほどの用はないな。ただこの数日、様々なことがあり過ぎた。考えを整理するためにしばし付き合えということだ。最近夜の寝付きが悪くてな』

「そりゃ一大事だね。わかった、相談に乗るよ」


 寝付きが悪いとは何て不幸な。

 健康と美容は睡眠からだもんな。

 心から同情するよ。


「じゃ、中将あとでね」

『おう、待ってるぞ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 よーし、いいだろう。

 お昼御飯の時間だな。

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