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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1340話:皆うちの子

「今日のお昼御飯で勘弁しとく」

「ハハハ、すぐに用意させよう」

「やたっ、閣下ありがとう!」


 よーし、問題解決の上、昼御飯をせしめることに成功したぞ!

 何もかも思い通りだ。

 実に気分がいいなあ。


 不意に執政官室のドアが開く。


「ドミティウス様、ユーラシア殿が御来館されているとのことで……」


 入ってきた封爵大臣が室内の様子を見て固まる。

 悪魔だらけだからか。


「ごめんね。うちの悪魔の子達がお邪魔してるの」

「よろしくである」

「よろしくだぬ!」

「よ、よろしくですの」


 ハハッ、ガルちゃんも乗っかってきた。


「今後も連絡や報告のためにうちの子達寄越すことあると思うけど、あんまり気にしないでね。特に悪さしないから」

「は、はい」


 これで今後執政官室にガルちゃんがいるのを見つかったとしても、怪しまれることないだろ。


「デニス、ユーラシア君に用があったか?」

「はい、ユーラシア殿の特級勇士勲章と騎士の徽章ができ上がってきたのです。遅ればせながらその授与を」

「おおう、言われてみると免状しかもらってなかったな」


 えーと勲章はペンダントと一緒だな。

 首にかけりゃいいか。


「よく似合っているである!」

「よく似合ってるぬ!」

「よく似合ってますわ!」


 あれ? あんた達、目がキラキラしてるやん。

 こーゆーの好きなのかな?

 考えてみりゃ勲章って認められなきゃもらえないものだからか。

 悪魔は勲章好きって一応覚えとこ。


「騎士の徽章ってのはどこにつければいいのかな?」

「ガハハ、本来は襟だぞ」

「左胸でもよろしいですよ」

「左胸? おっぱいの上? 下?」

「おっぱいがないである」

「おいこらバアル! 言っていいことと悪いことがあるだろ! 少しはあるわ!」


 大笑い。

 ようやく中将の緊張も解けたようだ。

 閣下がずっとピリピリしてたからな。


「では私はこれにて失礼いたします」

「ああ、デニス。すまないが執政官室に食事を用意するよう伝えてくれないか? ビュッフェ形式で」

「わかりました」

「ビュッフェ形式?」


 立食食べ放題ってことらしい。

 ありがたいな。

 あたしの胃袋の体積に対する挑戦と受け取った。

 たくさん食うたろ。


 退出する封爵大臣デニスさんを見ながら閣下が言う。


「さっきは……助かった」

「ん? 何のことだろ」

「デニスが入ってきた時のことだ。予が悪魔と親しいことが明るみに出ては、やはりよろしくないだろうから」

「だろーなーとは思ったよ。サービスね」

「中将は悪魔をどう思う?」

「ガハハ。これだけ悪魔に対してオープンなユーラシアを見てしまいますとな。正直拘るのはくだらぬことのように思えます」

「ハハッ」


 悪魔は皆面白いよ。

 ヴィルが閣下にくっついてる。


「ヴィルは閣下の側が好き?」

「いい匂いがするだぬよ?」

「ドミティウスの隣はあたしの場所ですわ。ヴィルはおどきなさい!」

「今のは悪女のセリフっぽくて面白かったな。じゃあヴィルはこっちおいで。肩車してやろうね」

「はいだぬ!」


 閣下の近くはガルちゃんのナワバリだろうからね。

 よしよし、ヴィルはいい子。


「ユーラシア君は知っているんだろう?」

「知ってる。バアルに聞いた」


 閣下が頷く。

 中将はわけわからんって顔してるが、おそらくは閣下が『魔魅』の固有能力持ちであることについてだ。

 ちっちゃい頃から悪魔につきまとわれてると、かなり思うところあるんだろうが。


「悪魔についてはまーいーじゃん。ラグランドについてだけど」

「うん。聞こう」


 どうやらまだあたしが中将に話したことも聞いてないようだ。

 とゆーか中将が来たばっかりの時にあたしが着いたのかな?

 手早く話す。


「二日後に蜂起、規模は小さくなることが予想されるか。ありがとう、助かる」

「あたしどうすりゃいいかな? 当事者じゃないからわかんないんだけど?」


 ぶん投げてみた。

 中将がお主調整者として関わる気満々であろうがって顔してる。

 いや、施政館の思惑を知っときたいじゃん?


「ソロモコ遠征の失敗が現政権にあることは隠しようもない。ラグランド蜂起の火の手が小さいとなれば、軍を送ることは忌避されるだろうな。おそらくは特別な権限を持たせた使者を急派することになる」

「ふーん。正使はセウェルス皇子殿下になるんだ?」


 驚きの表情を浮かべる閣下と中将。


「どうしてそう思う?」

「身分の高い人達の中で一番暇そーだから。セウェルス殿下に会ったことはないけど」


 以前メルヒオール辺境侯爵が、使者として送るならセウェルス皇子だろうと言っていた。

 あたしが考えても、皇族の中から選ぶんだったら一番妥当な人選だと思える。

 偉い人であるほど向こうの聞く姿勢が違うだろうし。

 性格が享楽的とは聞いたが、下にしっかりした人をつければいいだろ。


「やはりセウェルスか……。中将どう思う?」

「軍人の身でありながら差し出がましい発言をお許しください。状況からセウェルス様が最も妥当かと思います。受けていただけるかは別問題として、真っ先に打診するのは必須かと」

「受けないなんてことが許されるんだ? ちょっとビックリだったわ」

「セウェルスは驕慢なんだ」


 閣下が吐き捨てるように言う。


「皇位継承権一位の地位に胡坐をかいて、権利のみを主張するんだ。皇族としての義務を果たせと言いたい。ユーラシア君の考えとしては?」

「あたしは噂でしか知らんよ? けど市民の人気も大貴族の支持もないって聞いた。ロクに仕事もしてないんでしょ? 実際に隠された実力があったとしても、そんなやる気のない準備もしない人はダメだわ。次の皇帝には相応しくない」

「ユーラシアは迷いなく言うのだな」

「あたしは中将みたいに帝国の臣民じゃないからね」

「で、君はルキウスにつくのか」


 閣下も迷いなく言うなあ。


「一番大過なく治まると思うんだ」

「予ではダメか?」

「ダメではないよ。あたしの中では二番目。実務能力は一番だけど、今回のソロモコの件みたいな危なっかしいところがある分減点する」


 中将が呆れたような目で見てるけどいいんだよ。

 どうせ閣下にはズバズバ言ってくれる人がいないんだから。


「じゃ、とりあえずラグランド人側の首脳には、帝国から使者が来るんでことを大きくすんなって言っておけばいいかな?」

「よろしく頼むね」


 あ、来たかな?


「食事お持ちしました」

「いただきまーす!」

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