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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1309話:まさかのラグランドクエスト

 フイィィーンシュパパパッ。

 皇宮にやってきた。


「こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「やあ、精霊使い君。と、ルキウス様?」

「お役目御苦労」


 ハハッ、サボリ土魔法使い美少女番近衛兵慌ててやがる。

 考えてみりゃサボリ土魔法使い美少女番近衛兵って属性多いな?

 その割にあたし、こいつの名前知らんけれども。


「新聞記者トリオ来てない? プリンスルキウスと記者さん達を連れて、パッフェルのフリードリヒ公爵のとこ行くんだ。娘を予に寄越すのだ、さもなくばどうなるかわかっておろうな? っていう儀式を現場で見たいの」

「そんな儀式はないよ!」

「ええ? ちょっとは勤労少女のあたしに潤いをちょうだい」

「ルキウス様とパウリーネ嬢が婚約というところまでは、ついさっき新聞記者に聞いたが……」

「よし、もう記者トリオは来てるんだね。でも情報が正確に伝わってないなあ。報道機関としてあるまじきことだ」

「ともかく近衛兵詰め所へ」


          ◇


「こんにちはー」

「「「ユーラシアさん! ルキウス様!」」」


 詰め所に新聞記者はもとより、近衛兵長さんリモネスさんウルピウス殿下もいる。

 皆ニコニコだ。

 いい雰囲気だから、ヴィルがどこに行こうか迷ってるわ。


「兄上、御婚約おめでとうございます!」

「おめでとうございます!」

「いや、ありがとう」

「照れてるプリンスは案外可愛いな?」

「そういう感想いいから!」


 笑い。

 言うことは言っておかねば。


「ソロモコの件は今朝終わったんだ。双方に被害なし。艦隊にはお引き取りいただいた」

「ソロモコの件とは?」

「あっ、ウルピウス殿下は知らなかったんだっけ?」


 不思議そうなウ殿下を含め、皆に説明っと。


「結構な大事件ではないか!」

「結構な大事件だぞ?」

「何故ユーラシアは平然としておるのだ!」

「もー終わったことだもん。あたしは常に未来へ向かって生きるのだ」

「「「そのセリフいただきます!」」」

「え? ちょっと待った! ソロモコの件はまだ記事にしちゃダメだぞ?」

「「「ええっ!」」」

「当たり前だろーが。こーゆーことは政府の公式発表を待ってなさい」


 全く油断も隙もないんだから。

 記事にしていいこととダメなことの区別を、しっかり教育しておかなければならん。


「明日は大ネタがあるでしょ。思いっきり甘々の記事にしてやればいいじゃんニヤニヤ」

「諦めたらそこで原稿校了ですよ」

「何だそのセリフは」

「兄上の婚約についてだが、予もパッフェルへ連れていってくれぬか?」

「えっ?」


 ウ殿下をパッフェルに?

 今連れてけってことは、単にパウリーネさんに祝福の挨拶したいってことじゃなくて、公爵フリードリヒさんに会わせろってことみたいだな。

 何で? 関係なくない?


「ルキウス兄上は在ドーラ大使の任務があるし、公爵もそうそう帝都へ出て来られるシーズンではないだろう? であれば帝都で動ける者が必要ではないか」

「……なるほど、さすが殿下。一理あるね」


 ウ殿下はプリンスの母方の実家ドレッセル子爵家とも気軽に話せる間柄だそーな。

 確かに社交界や教会に報告したり、結婚式とか披露宴とかその他もろもろ。

 アーベントロート公爵家の帝都詰めの人員と皇宮で段取りを決めるなら、間に入れる皇族がいた方が捗りそう。

 ウ殿下がやる気になってるならベストだろうな。

 緊急に何かあれば、あたしと連絡取ってプリンスに伝えることもできるし。


「ウルピウス、頼めるかい?」

「兄上、任せてくれ!」

「じゃ、行こうか。ヴィル、パッフェルの宮殿に飛んでくれる?」

「了解だぬ!」


 いざ、パッフェルへ。


          ◇


「ただいまー」

「あれっ? 姐御早いお帰りでやすね」

「ゆっくりしてても仕方ないからね」


 記者トリオの取材が終わったところで、帝都に連れ帰った。

 いい記事になるかな?

 あたしも今日はお役御免だ。

 皇族貴族の婚約やその後の式典についてなんて知らんもん。

 大体ヴィルがソワソワして落ち着かないんだよ。

 また倒れられても困るんで、ラブ話もそこそこに戻ってきたの。


「ウ殿下もパッフェルについて来たんだよ」

「ゲセワなヤツね?」

「アハハ、そーかも」


 殊勝に手伝いを申し出ていたが、半分は興味本位だったっぽい。


「プリンスとウ殿下はパッフェル泊まりなんだよ。明日の午後迎えに行く」

「忙しいでやすねえ」

「暇よりいいけどね。クララはまだ帰ってないかな?」


 クララはアレク達のところへ、スキルスクロールの利益配分についてのあたしの意見を伝えに行ってもらってるのだ。

 魔法製作者であるペペさんの権益は守らないとな。

 細かいところはアレクケスハヤテが決めりゃいいんだが。


「リターンしてないね」

「迎えに行こうか。合流したら魔境ハイキングかな。時間あるし」

「姐御、新しい『地図の石板』を回収してきやしたぜ」

「ありがとう」


 ソロモコクエストが終わったから、新しい『地図の石板』来てるかと思ったら案の定だった。

 石板を受け取ると、お決まりのズズーンという音と振動が。

 今度はどこ行きの転送魔法陣が設置されたのだろうか?

 未だ見ぬクエストは、いつもながら心を高ぶらせる。

 乙女のハートにストライクなのだ。


「トゥモローにゴーね?」

「そーだね。午前中に行ってみよう」

「行先は確認しときやしょうぜ」


 至急クエストだと今から行かなきゃいけないしな。

 我が家の東区画へ。

 新たに設置された二三番目の転送魔法陣の上に立つ。

 フイィィーンというやや高い音が静かに鳴るとともに、事務的な声があたし達に告げる。


『ラグランドに転送いたします。よろしいですか?』

「おお? ラグランドだったかー」


 意外とゆーか意外ではないとゆーか。

 ラグランドが本格的にあたし達の伝説ロードの前に立ち塞がっちゃうのな。

 傍観者的に関わるだけかと思ってた。


「今は転送やめとく」


 魔法陣から出るとすぐにアトムが話しかけてくる。


「姐御、今から行ってみやしょうぜ」

「試しに? ……そうしよっか」


 かなり楽しみなのだ。

 ドーラより熱い気候であるラグランドには、変わった作物があるみたいだしな。

 一方蜂起関係で帝国と対立しかねない面倒さは、よーくわかってる。


 ……ラグランドは指導者層だけが反乱を企図してるんだろうか?

 それとも人民全体が激おこなのかな?

 現地の雰囲気を知るだけでも参考になる。


「クララ迎えに行くよ」

「「了解!」」

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