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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1298話:ドワーフとアルアさん

 フイィィーンシュパパパッ。


「アルアさんこんにちはー」

「はいよ、アンタはいつも元気だね」


 塔の村コルム兄の店に寄ってから、アルアさんの工房へやって来た。

 無論ここでも輸出用パワーカードを納品してもらうためだ。


「おや、そちらは誰だい?」

「カラーズ白の民のケス。パワーカード使いだよ。カラーズ~レイノス間の輸送隊の一員で、非番の時は塔の村で冒険者したりしてるの」

「塔の村? ああ、デスさんの転移で行き来してるんだね」


 正確にはデス爺製の転移の玉でだけど。

 アルアさんの顔のしわが深くなる。


「ゆっくりしていくといいよ」

「ありがとうございます」

「アルアさんはコルム兄の師匠だよ。作業を見てるだけで面白いと思う」

「かかかっ。今日はどうしたんだい? 素材を売ってくれるかい?」

「お願いしまーす」


 しばらく来てなかったから素材が溜まってたよ。

 無限ナップザックの使い勝手が良過ぎる。

 交換ポイントは二四八二となる。

 ポイントが貯まってるのはわかってるけど、うちのパーティーくらいの冒険者ともなると、目先のカードでどうこうということはない(自慢)。


「何か交換していくかい?」

「いや、していかないでーす。交換レート表もらえるかな?」


 ハハッ。

 交換レート表をケスに見せたら、案の定食い入るように見てやがる。


「知らないカードが随分ある」

「限定一枚って書いてあるのあるじゃん? これらは製作するのにレア素材を必要とするパワーカードなんだ。コルム兄が通常販売してるのは、コモンの素材で作れるカードだけなんだよね」

「じゃあレア素材を持っていったら作ってくれるのか?」

「コルム兄が? 作ってくれると思う」


 こんなレア素材を持ってきたらこういうカードを作れますよ、って宣伝をコルム兄はしてないな。

 塔のダンジョンも魔境クラスの魔物が出てるんだから、強力なパワーカードが必要だと思う。

 他にもあたしが作ってくれって言ったことからレギュラー化した『風林火山』や、エルマのアイデアである『セイフティローブ』『風の杖』、最近整理した~フォースと~の護りのカードもどうなんだろ?

 こっちと交流はあるみたいだけど、コルム兄のところで販売してたかな?

 なくても言えば作ってくれるだろうけどな。


「ケス、この交換レート表をコルム兄のとこ持ってって交渉しておいでよ。このカードが欲しいんだけど何が必要だって。素材によって手に入れられるパワーカードのラインナップが増えるとなると、やる気になる人がいるかもしれない」

「わかった」


 塔の村の冒険者も頑張って欲しいからね。

 シュパパパッ。

 誰か来た。


「あっ、お姉さま。こんにちは」

「エルマ、こんにちはー。今日はケスも一緒なんだよ」

「エルマはドラゴンスレイヤーになったんだろう?」

「なったなった。あたし間近で見てたんだ。危なげない勝利だったよ」


 ん? エルマの表情が曇ったな。

 何故に?

 ケスが説明する。


「カラーズでもその話は広がってるんだ。でも何かの間違いじゃないかって思われてる」

「えっ?」


 いや、わからんでもないわ。

 エルマの固有能力はヤバめだけど、見た目はふつーの子だしな?

 とゆーか、元々みそっかすって話だったか?

 半年でえらく変わったもんだ。


「緑の民の村ではラルフさんが本物のドラゴンスレイヤーだとおっしゃってくださるのですが、他色の民はそうもいかず……。自己満足みたいなものですから、別にいいといえばいいのですけど」

「妹分が疑われるのはあたしが面白くないな」

「お姉さま……」


 エルマは職人としてパワーカードの需要を大きくしたいから、ドラゴンスレイヤーを目指した。

 偉業を疑問視されると、パワーカードの効果自体を色眼鏡で見られる懸念はあるが……。


「でも放っといていいよ」

「でしょうか?」

「うん。だって見る人が見ればエルマのレベルなんてわかるもん。輸送隊員でエルマの実力を疑ってる人はいないでしょ?」

「ああ」

「あたしやピンクマンだってエルマが頑張ったことは知ってるし。また新人輸送隊が入った時にはレベル上げ手伝ってよ。その時にエルマが魔境の魔物倒すとこ見せてやれば、実力も周知されるでしょ」


 頷くエルマ。

 大体エルマは職人が本業なんだから、魔物退治の依頼振られても迷惑だわ。

 パワーカードは装備品として普及しなくても、ガンガン売れる道があるし。

 ん? ケス何?


「おいらもドラゴン倒したい」

「ドラゴンはロマンなのかな。倒せばいいじゃん」


 ドラゴンって実入りが少ないのに、倒したがる人多いのは謎だな?


「強いんだろ?」

「あんた達のパーティーなら、全員がレベル六〇越えてアレクが全体回復魔法買って覚えれば、割と安全にやっつけられそう」


 逆にレベル六〇以下のパーティーでドラゴン倒そうと思わない方がいい。

 うちのパーティーが初めてドラゴン倒した時のレベルは五五だった。

 でも『あやかし鏡』と『暴虐海王』がなかったら勝てたかわからん。

 

「今月分の『ウォームプレート』と『クールプレート』取りに来たんだった」

「ああ、合わせて一五〇枚完成してるよ」

「ありがとう!」


 支払い支払いっと。


「来月分の注文入ったら、早めに知らせに来るね」

「頼んだよ」

「ところでアルアさん。今度ドワーフの集落に行きたいんだけど、何か注意することあるかな?」

「うん? どういうことだい?」


 アルアさんは故郷を飛び出してきてるからどうかと思ったけど、雰囲気見る限りタブーの話題じゃないな。

 大量の黒妖石の加工がどうのこうの。


「……とゆーわけ。アルアさんにはパワーカード製作をメインでお願いしたいから、黒妖石の加工は集落の方へ外注出したいんだ。ドワーフとも仲良くしたいし」


 アルアさんがやや首をかしげる。


「アタシも集落を離れて久しいから、最近のことはわからないよ」

「これはやっちゃダメみたいな風習があるなら教えて欲しいんだよね」

「土と岩の民は偏屈さね。アンタなら心配いらないと思うが、エルフの話題は出さない方が無難だね」

「支払いはどうかな? 亜人の間では魔宝玉が通貨みたいになってるらしいけど」

「ゴールドでも魔宝玉でも通用するよ」


 ふむ、やりやすい。


「アルアさんありがとう! また来るね」

「気をつけるんだよ」

「お姉さま、さようなら」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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