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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1293話:スキルスクロール量産化の第一歩

 ラルフ君にはレベルの大切さを教えておかねば。


「デカダンスを倒せりゃ、ドラゴンも近いよ。あたし衝波属性のパワーカード作ってもらってデカダンスを簡単に倒せるようになった日、まだレベル三〇台だったんだ。でもその日の内に二〇くらいレベル上がってドラゴン倒せたしな?」

「デカダンスを倒せると近道ですか?」

「デカダンス狩ってりゃドラゴンなんかどうでもよくなってくるね」

「遠回りじゃないですか」

「ユーラシアちゃんは、デカダンスのレアドロップを踏み潰されそうになったからドラゴンを倒したって聞いたけど」

「あれ? 何故いつも寝ているペペさんが一番正確なことを知ってるんだろ?」


 アハハと笑い合う。

 うちのパーティーは、経験値倍増スキルと経験値五割増しのパワーカードを併用してたからレベルアップが早かった、ってことは確かにある。

 『実りある経験』と『ポンコツトーイ』、お世話になりました。

 でもデカダンスを簡単に狩れるようになれば、ドラゴンなんかすぐだわ。


「人形系を狙っていれば、楽々一〇くらいレベル上がるって。バランスのいいラルフ君のパーティーで全員のレベルが六〇超えてるなら、ノーマルドラゴンにはまず勝てるよ」

「私は人形系魔物を倒せなかったから……」

「ペペさんはいずれ、人形系倒せるスキル開発するんじゃないの? とゆーか誰でも簡単にデカダンスを倒せるスキルを作ってくれるとロマンだな」


 レベルアップが格段に容易になる。

 冒険者の革命って言ってもいい。

 ソル君に作った『衝波五月雨連撃』は、『スキルハッカー』じゃないと覚えられないかも知れない。

 でもペペさんなら汎用の対人形系スキルを作れる気がする。


「そお? 危なくない?」

「ドラゴン帯が主戦場になるからなー」

「いや、簡単に人形系を倒せるならありがたいですよ。対クレイジーパペットでも有効なわけですし」

「だったら作るね」

「マジかよ。気軽に言うなあ」


 ペペさんクオリティにはビックリだわ。


「難しくないの。『経穴砕き』の必ずダメージを与える効果と『勇者の旋律』のダメージ増幅効果を併せて効率良くするだけだから。でも汎用スキルだと、与ダメージをあまり大きくできないわ。クレイジーパペットは一撃、デカダンスは二撃になりそう」

「十分ですよ!」

「じゃあ明後日までに組み立てておくね」

「アレク。スクロール紙は余分あるよね?」

「……あるよ」

「ペペさんに一つ渡しといてあげて」

「わかった」


 明後日までに組み立てる発言で『え?』みたいな顔してたアレクの意識を引き戻す。

 今日はアレクが主役だからね?

 ペペさんが常識で測れないことは理解しなよ。


 さて、寄り合い所に到着だ。

 職人が挨拶してくれる。


「やあ、よく来たな。話は聞いてるぜ。新しい儲け話なんだろ?」

「そうそう。ここが作業場になるんだ?」

「紙と刷りの両方の共同作業になるからな。広さもあるだろ?」


 協力的で助かるなあ。


「ヒルデちゃん。つまんないかも知れないけど、次期族長として付き合ってね。緑の民の主要な産業に必ずなるから」

「はい、興味あります」


 ええ子や。

 若と姫が見てりゃ職人達のやる気も違うだろ。


「アレク、クララ。これ『スライムスキン』ね。ペペさんにも教えてあげてくれる?」

「了解。ペペさんこちらへどうぞ」

「これが黒妖石製の特殊な作業台になるよ。どこに設置すればいいかな?」

「ここへ」


 さて、土間を掘り返さないといけない。

 カッチカチやぞ。

 ガリガリガリと。


「うーん、やりにくい。あんまり力入れるとシャベルが折れちゃいそう」

「ええ? 何でそんな簡単に掘れるんだよ。おかしいだろ」

「何でって言われても。魅力という名のパワーかな」


 固いの表面だけだわ。

 下の方は柔らかい。

 わっせわっせと掘り進めて、うん、こんなもんだろ。


「ユー姉、台持ってきてよ」

「あ、そっちも終わった?」


 地中の魔力を取り入れるための、『スライムスキン』製の紐を作ってもらっていたのだ。

 ペペさんには思うところあったようだ。


「こうすれば魔力が逆流しないのねえ。参考になるわあ」

「元々はマルーさんの技術だけど、アレクも工夫してるんだよ」

「ユー姉が魔力の流れが見えるって言うから、よく流れるのを選抜してもらっただけですよ」


 ラルフ君やケスが不満気だ。


「自分達も手伝えたんですが」

「いやあ、ムリ。あれ魔道の心得がないと理解できないの。あたしも教えてもらって折ったけど、全然ダメだった」

「せめて掘る方だけでも……」

「掘るのはあたしだけで十分だって」


 『スライムスキン』紐作製と貼りつけの方が時間かかるからな。

 うむ、貼りつけも終わったようだ。


「じゃ、埋めるよー」


 『スライムスキン』紐をつけられた黒妖石の台を持ってきてと。

 紐を広げて場所決めする。


「ユー姉、魔力の流れはどう?」

「バッチリだよ。ありがとうね」


 勢いよく魔力が流れ込んでいるのがわかる。

 アレクはさすがだなー。


「土戻そう。手伝って」

「よし来た!」


 手持ち無沙汰そうにしていたラルフ君とケスの手を借りて土を埋め戻し、どんどんと踏み固める。

 さて、黒妖石に魔力が溜まるまで少し時間が必要だな。

 ペペさんが言う。


「盾の魔法のスクロールに書くケイオスワード文様を持ってきたわよ」

「ありがとう! 見せて」


 へー、こんななんだ。

 スキルスクロールって封を切ると文様消えちゃうから、どんな感じなのか知らなかったよ。


「盾の魔法、ですか」

「ラルフ君は知らなかったっけ? 輸出用魔法の第二弾だよ。もちろん冒険者にも有用な魔法だから、ギルドで販売してもらおうかって話してるけど」

「どんな効果ですか?」

「唱えた本人に先制でかかって、一ターン魔法も物理も効かなくなるの」

「それは回復魔法や治癒魔法もですか?」

「どうなんだろ?」

「外からの効果は何であろうとシャットアウトよ」


 発動中は回復魔法や治癒魔法もかからないってことか。

 ん? アレクどうした。


「……この構成だと衝撃は逃がせませんよね?」

「わかるんだ? 確かに盾ってイメージじゃなかったな。この魔法かけた人を蹴ったら壁まですっ飛んでったよ。でも痛くも痒くもないって」

「壁までって……」

「力加減がよくわからないんだよね。壁が壊れるから練習してくれって言われた」


 ペペさんが感心しているようだ。

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