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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1281/2453

第1281話:明確な予想

 ――――――――――二一五日目。


 ソロモコへ向けて帝国艦隊が進発する日。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。


「アリス、おっはよー」

「おはようぬ!」

「いらっしゃい」


 朝から本のダンジョンにやって来た。

 この世界のマスターである金髪碧眼の人形アリスが喜んでいる、ように見える。


「今日もコブタマンを狩りに来たの?」

「そうそう。お肉は小心者のごちそーであり、権力者のごちそーであり、卑怯者のごちそーだからね」

「オールウェイズ御馳走ね?」

「いつ何時でも誰にとってもごちそーだねえ」


 アハハと笑い合う。

 お肉こそ幸せの使者だから。


「アリスさんはどこからエネルギーを得ているのですか?」


 おお、さすがクララ。

 あたしも知りたかったことだ。

 人形が御飯食べるはずもなし、じゃあ活動するためのパワーがどこからもたらされているのかは気になる。

 アリスを作ったであろう異世界から自動で供給されている、とゆーことではないんじゃないか?

 

「私は本の世界からエネルギーを得ていますのよ」

「本がたくさんある図書館みたいなところならいいのかな? それともここじゃないとダメ?」

「おそらくはここでないと……」

「そーかー」


 デス爺の予想では、亜空間中から魔力が集まる位置にある本の世界は、長期間放っておくとものに埋もれて潰れてしまうのではということだった。

 おそらくアリスの活動エネルギーも、集まる魔力を基にしているんだな。

 うまい仕組みだ。


 ……赤眼族監視という役目を終えたと思われる『アトラスの冒険者』の組織が今後どうなるか?

 解体されるんじゃないかっていう、明確な予想がある。

 いや、だってあたしが加入するまでは基本赤字運営だったみたいだしな?

 目的果たされたら続けないでしょ、普通。


 『アトラスの冒険者』がなくなったって、ヴィルとの連携転移でお肉を狩りに来るのは確か。

 でも何らかの原因であたしが来られなくなると、本の世界は壊れちゃうなあ。

 最悪本の世界が壊れてもアリスを救えりゃいいか。

 対策は必要だ。


「本の世界は『永久鉱山』だって、以前アリスは言ってたじゃん?」

「ええ、そうね」

「『永久鉱山』は魔力大循環仮説における、魔力の放出場だって聞いたんだけど?」

「あなたが言うのは狭義の『永久鉱山』の概念ね。広義では一定以上の内部リソースが補充される場のことを指すのよ」

「ふーん?」


 つまり本の世界は広義の『永久鉱山』ではあるけれども、あたし達の世界の魔力大循環には関わっていないということだな。

 まーあたしみたいな冒険者の立場から言うと、取っても取り尽くさないということ自体が大事だ。

 狭義だろうが広義だろうが構わないわけだが。


「広義の『永久鉱山』でいいんだけどさ。ここと塔の村以外のどこかに、『永久鉱山』はないかな? アリス知らない?」

「知りませんわ」

「アリスが知らないくらいじゃ、他にはないのかー」

「残念でやすねえ」


 アトムもそう思うか。

 あれば開発するけどなー。


「でも理論上はあるはずよ」

「えっ?」


 曖昧なことを言わないアリスがこう言うからには、他にも『永久鉱山』は存在する?

 発見されてないだけなのか?

 クララが言う。


「おそらく魔境で吸収する魔力量に比べて、塔の村で放出される魔力量が少ないということなのだと思います。魔力大循環仮説が真であれば、吸収量と放出量は釣り合っていないといけませんから」

「なるほど?」


 アリスも頷いた、ように見えた。

 アリスの知識から導かれる結論も同じなのか。

 そしておそらく魔力大循環仮説は本当なのだ。


「姐御、魔王島のブラックデモンズドラゴンのいたところ、あそこは『永久鉱山』かもしれやせんぜ」

「大いにあり得るね」


 ソル君は魔力の噴き出し口がどうのと言っていた。

 魔王島は魔力濃度の高い場所であるが、魔境のような魔力を吸入する場所じゃないらしい。


「ディープシーにあるのかもしれないね」

「そうだねえ」


 陸地より海の面積の方がうんと大きいしな。

 海の底にある可能性だって大いにある。


「ま、いいか。『永久鉱山』の条件を満たそうがそうでなかろうが、魔力濃度の高いところなら素材も魔物も多いでしょ」

「儲かるぬ!」

「儲かることが重要だ!」

 

 現在素材の需要と供給は割とバランス取れてるっぽい。

 採取のことばかり考えてると売却価格が下落しそうだ。

 需要の方も考えないと。


「やっぱ人口だなー。需要と供給を両方大きくすれば……」

「大儲けだぬ!」

「大儲け万歳だ!」


 戦争反対。

 人口減らしてビンボーになる戦争は商売の敵だ。


「目先の危機は、帝国のソロモコ遠征ですね」

「危機ではないけどね。放っとくとえらいことになっちゃうから気をつけないと。アリス、帝国艦隊は今日進発なんだっけ?」

「ええ。三日後に目的地ソロモコに到着予定。帝国軍のスケジュールとしては、即日占領、降伏させて即撤退。後日交渉ね」

「交渉ったってどうするつもりなんだろ? 言葉通じないぞ?」


 交渉できなきゃ、皆殺しにして場所だけキープするつもりだったんだろうか?

 まさかそんな残虐な行為に、市民や軍の支持が得られるとも思えんが。


「あたしが追い返すから関係ないけどな」

「ユー様はソロモコをどうしたいんですか?」

「あんまり積極的に関わりたいとは思わないんだよね。あそこは魔王のナワバリみたいな側面があるじゃん? 余計なことしたくないな」


 放っといても幸せな地なのだ。

 ドーラにはこうしたいこうなりたいっていう欲求があるけど、ソロモコは現在の状態で満足している。

 外力でかき回すのは余計なお世話って気がする。


「ソロモコにあるものであたし達が取り入れた方がいいものは取り入れてさ。あとは時々おにくびみらーって友好を深めるのがいいと思う」

「あっしも同感でやすぜ。帝国軍が即撤退するのは、ラグランドへの備えで?」

「うーん、元々長居する気はなかったろうけど?」


 言葉の通じないちっちゃな国で補給できるとは思ってないだろうしな。

 武力で脅して都合よく使うということか?

 どーしてソロモコが標的になったかとか、不明なことは多いけれども。


「さて、コブタ狩ってくるかな。アリス、愛してるぞ!」

「愛してるぬ!」

「まっ!」


 真っ赤な顔になる金髪人形。

 アリスも可愛いなあ。

 コブタマンのいるフロアへ。

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