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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1279話:パワーカードに魅せられて

「すごくいろんな種類があるんですねえ!」


 マーク青年がパワーカードに興味を示したので、コルム兄の店に連れてきたのだ。

 落ち窪み気味の目がキラッキラしとるがな。

 どーゆーわけか男の子は皆パワーカードが大好きだけど、マーク青年は魔法の研究者的な視点なのかな?


「ふむふむ。体内の魔力で起動して具現化ですか。魔法の装備品の自動修復機能とは全く異なる発想の劣化防止ですねえ」

「おおう、腐っても宮廷魔道士視点だなあ」

「ユーラシア、腐ってもは失礼だろう」


 腐ってはいなかったか。

 宮廷魔道士期待の新星だった。

 でもコルム兄だって、商売相手が腐っとろーが壊れとろーが構わないんでしょ?

 儲けるチャンスだって顔しとるわ。


「いかがでしょう? いくつかお買い上げになりますか? 一部例外がありますが、ほぼ一枚一五〇〇ゴールドですよ」

「一五〇〇ゴールドって安いですよね。迷うなあ、全部欲しいですねえ」

「帝国は基本的に武器所持禁止なんでしょ?」

「いえ、宮廷魔道士は軍に従軍することがありますので、申請が許可されれば武器所持は可能なのです」

「マーク君は申請出してるの?」

「まだです」

「コルム兄、売るの待って」

「「ええっ?」」


 何であんたらはこんなところで声が揃うんだ。

 あったりまえだぞ。

 くだらないことでドーラが目をつけられたらどうする。

 ルールは守るんだよ。


「許可が出てから買えばいいじゃん。こっちだって不法行為に手を貸すつもりはないわ」

「ユーラシアはアバウトな割に厳格だよな」

「隙見せちゃいけないところはあるだろ」


 マーク青年が刃傷沙汰起こすなんて考えてないけど、仮にパワーカードを盗まれて事件が起きたらどうか?

 ブツの出所なんてドーラに決まってるんだから、こっちが疑われるだろーが。

 帝国とドーラの修好にヒビが入ったらどーする。

 どえらい迷惑だわ。


「ところでウシ子は最近こっちに来るでしょ?」

「ああ。パワーカードを一枚ずつ購入していくよ」

「一枚ずつか。コルム兄の指示なん?」

「効果を確認してから次を手に入れた方がいいよ、とはアドバイスしたけど」

「なかなか慎重派だな」


 ウシ子ならいっぺんに購入する資金もあるだろうに。

 マーク青年が言う。


「ザガムムはあの通りの悪魔だと見ましたが」

「うん。あんまり裏のない子だよ。おゼゼに細かくて欲望に忠実」

「ふむふむ」

「塔の村では『ザガムムのお守り』っていう、使うとウシ子が助けにくる冒険者用のアイテムを売ってるんだ。利益の一部がウシ子に支払われる契約になってるの」

「何と、そんな契約を結ぶことができるんですか」


 できるんだよ。

 割とウシ子はノリノリだった。


「ああ、ザガムムに会ってきたんだ?」

「というより、マーク君は悪魔の研究者なんだって。今日はウシ子に会いに来たんだよ。明日も違う悪魔に会ってくる予定なの」

「ははあ、だからユーラシアが連れてきたのか。参考になりましたか?」


 マーク青年が頷く。


「ええ、大いに」

「マーク君は悪魔のどんな研究してるの?」

「全般なんですけど、実際にデータが取れるのは、帝都在住の高位魔族の動向くらいなんですよ。帝都以外の悪魔の性格を知る機会なんて貴重です」

「明日会いに行くのは、ソロモコで魔王に尊敬の感情を送ってるフクロウの悪魔ゾラスだよ」

「尊敬の感情を集めるというのがよくわからないですね。どうしてそうなったのか知りたいのですが」


 コルム兄も聞きたそうですね。


「ソロモコって共通語であるコモンズが通じない国なんだよ。推測も交じってるんだけど、コモンズって元々悪魔や精霊の言語で、人間側が流用してるんだと思うんだ」

「するとつまりコモンズの通じないソロモコは?」

「過去悪魔や精霊と関わる機会がほぼなかったんだと思う」


 多分ね。

 ソロモコは人口も多くない幸せな島国だから、悪魔が好んで行くようなところじゃない。

 精霊はいるかもしれんけど、元々人間とは関わろうとしないし。

 コモンズについては謎が多いな。


「一方でソロモコにはフクロウに似た神がいて、夜を支配しているとする信仰があるんだよ。で、お使いとして昼にフクロウを寄越すんだって。フクちゃんは見かけが丸っきりフクロウだから……」

「お使いと間違われたと」

「だと思う。フクちゃんもまた要領のいい子なんだよね。自分が崇められるのを知って、尊敬の感情を集めて魔王島に送ることを思いついたんじゃないかな」


 フクちゃんがそういうことを始めたのも、比較的最近じゃないか?

 人間と争わないのは今の魔王に特有のことのようだから。


「ゾラスはソロモコの住民に自らを偽っているわけですか」

「うん。あたしも疑問に思ってフクちゃんに聞いたんだけど、丸く収まるならウソ吐くこと自体に特に抵抗はないって言ってた」

「ふうむ、悪魔も様々だ。ウソに抵抗のない者もいるとは」

「フクちゃんは悪魔の中でも複雑な方だと思うよ。というか考え方が人間的」


 魔王に対して絶対的に忠実ならば、帝国海軍がソロモコに攻めてくることを魔王に報告していたはずだ。

 魔王への報告をためらったのは、今の尊敬の感情を吸い上げるシステムを守ろうとするエゴの方が強かったからだろう。

 エゴと決めつけていいかもわからんけど。


「ソロモコの人が損してるわけじゃないじゃん? 悪魔だってエネルギーは欲しいんだから、尊敬の感情を吸い上げるシステムについてはいいかと思ってるんだ。魔王が暴れまわる世界線よりはよっぽどマシ」

「納得はできますね」

「あたしは『アトラスの冒険者』のクエストでソロモコに関わるようになったんだ。ソロモコの危機に現れる救世主ってことになってるの」

「あえて異議は唱えませんけれども」


 異議なんかないだろーが。


「ソロモコの人達が騙されて何の恩恵も受けてないのはフェアな取り引きじゃないから、救世主たるあたしに協力しろってフクちゃんには言ってあるんだ」

「ユーラシアさんがどの悪魔ともうまく付き合ってるのはわかりました」

「交渉の仕方が悪魔の理屈なんだが」

「バアルもあたしのこと悪魔的って言うんだよなー」


 小悪魔的な魅力があるってことだな。


「じゃ、今日は帰るね」

「後日必ずパワーカードは買いに来ますので!」

「お待ちしております」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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