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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1273話:公爵に連絡

 ――――――――――二一四日目。


「イチゴはマジでおいしそうだよねえ。確認するけど、今年もう食べられるんだよね?」

「おう。二ヶ月後を楽しみにしてくれよ」


 今日は凄草株分けの日。

 朝からカカシ及びバアルと話しながらの作業だ。

 あんまり食べる機会がないけど、柑橘とは違うキイチゴのピュアな酸味は好きなのだ。

 草のイチゴはどんなもんなのか、興味は尽きない。


「カカシはレベルアップしてパワーアップしたであるか?」

「鳥を追っ払えるようになったぜ」

「そーなん?」


 カカシの案山子機能が向上したらしい。

 元々虫には強いカカシだったから、鳥を追えるのは強い。

 特にこれから果物の栽培に力を入れようとしているところだもんな。


「手の届く範囲が増えたから、畑の面積を縦横倍にしてもイケるぜ」

「面積だと四倍になるじゃん。どうしようかな?」


 うちで消費する野菜は十分だ。

 柵を打ち直すのも面倒だし、庭を広げるつもりはないんだが。


「……腐葉土は敷地外にして、その分畑を広げようか。敷地外でも実験的に何か作って、管理をお願いするかもしれない」

「オイラに任せときな!」

「カカシかっくいー!」


 頼りになるなあ。

 ますます食生活が充実しちゃうよ。

 せっかくだから、あんまりドーラで食べられていないものの導入を考えながら作付けするのがいいな。


「悪魔って御飯食べないよね。何で?」


 同じように実体を持たない存在でも、精霊は食べるもんな。

 他にエネルギーを得られる手段があれば、食べなくてもいいみたいだけど。


「普通は負力を得られれば十分であるからして、人間の食物は食べないである、が」

「が?」

「絶対に食べないというわけではないである。ゲテモノ食いの高位魔族もいるであるぞ」

「ふーん?」


 実際に食べることは悪魔にとってゲテモノ食い扱いなのか。

 ともかく悪魔も絶対に食べないことはないらしい。

 じゃあリタみたいな神霊も食べるんだろうか?

 いや、リタは仮の実体を持たなくて透けてるもんな?

 おかしなところで謎ができてしまった。


「さて、今日の作業は終わり。朝御飯だ!」


          ◇


『なるほど。これがユーラシア君の悪魔通信か』


 少し時間が早いかと思ったが、フリードリヒ公爵とヴィルで連絡を取ってみた。

 楽しんでもらってる様子が伝わってくるよ。


『パウリーネに聞いてはいたが、大変面白い』

「ごめんね。時間早くなかったかな?」

『いや、問題ないよ。僕に知らせたいことがあるんだろう? さあ』


 待ち構えてたみたいだな。

 イシュトバーンさんと同じ、面白話ウェルカムの匂いがする。


「まず一つ。主席執政官閣下の側にいる悪魔のこと」

『正体がわかったかい?』

「リモネスさんとドルゴス宮廷魔道士長に聞いたら、ガルムっていう子だって」

『悪魔ガルムか。知らないな』

「頭がオオカミで、昔から帝都にいるらしいんだけど、情報はあまりないって言われた」

『ふむ?』

「うちの子達は言葉巧みでゲスなやつって言ってる。でも悪魔は基本的に他所の子のことを良く言わないから、割り引いて考える必要があると思うよ。ヴィルによると、表立って大きな事件を起こしたことはなさそう。バアルによると、ドミティウス第二皇子殿下付きだった時、最も遭遇したのがガルムだったって。今のとこわかってるのがそれだけ。参考になる?」

『ごく普通の悪魔のようだね。ありがとう。ガルムという悪魔がドミティウス様に影響を与えてるということは覚えておく』


 うん、又聞きの情報はそれくらいで考えとくのが無難。


「実際に会うと、印象違うからねえ」

『ユーラシア君も元々バアルについては知っていて、その後に捕らえたんだろう? どう印象が違ったか知りたいな』


 変なところに興味持つなあ。

 最初の印象と言えば……。


「ドーラ近海には魚人の王国があるんだ。バアルの名前を最初に聞いたのは、一〇〇年くらい前にその魚人の王国の内乱に介入して、事態を長引かせたっていう歴史で」

『ははん? バアルは昔から戦争好きなんだね?』

「スケールの大きいことが好きみたい。ドーラ独立のあと、リモネスさん他の聖火教徒から、去年の年末に帝国がドーラを攻めようとした件に絡んでたのを知ったんだ。ヴィルもバアルのことをすごい嫌なやつって言ってたし、当時は明確に敵だと思ってたんだよ」

『実際に会ってみての感想は?』

「思ったほど悪い子じゃなかったな。プライド高いからウソ吐かないし」

『ん? 高位魔族はウソを吐かないものなのだろう?』

「いや、そうでもないよ。ウソが嫌いなことは共通みたいだけど、結構個人差があるの。丸く収まるならウソ吐いても構わないっていう、人間っぽい考え方の子もいる」

『悪魔の事情も色々なんだね。知らなかったよ』


 悪魔にはあんまり関わらない方がいいかもよ。

 あたしは好きで関わってるけれども。


「二つ目。昨日と一昨日、ガータン行ってきたんだ。フリードリヒさんところにはどれくらい話届いてる?』

『無事到着した、というところまでだな』


 パッフェルとガータンとの距離を考えればそんなもんだろ。


「やらかし男爵の旧臣のベンジャミンさんって人、家来にしたんだ」

『ガータンの総責任者だったベンジャミン・ホープ氏だな? よくヘルムートの下に参じてくれたものだ。僕を恨んでいるかと思っていたが』

「すげえ怒ってたぞ? 公爵が交易を認めてくれてたらガータンの民が困窮することはないのだーって」

『様子が想像できるな。ユーラシア君が説得してくれたのかい? どうやって?』

「普通に。ババドーン男爵個人に含むところはあったかもしれないけど、公爵は商売人だから、魅力的な産物があって山賊が何とかなれば交易してくれたはずだって」

『ユーラシア君の言う通りだな』

「山賊の集落も一ヶ所は話が通ったんだ。優遇されることが広まれば、徐々に他の山賊もなびいてくると思う。山賊事情は交易にも関わるでしょ? だからあとで詳しい報告が行くと思う」

『そうか』


 やや声のトーンが下がる。


『ありがとう。助かった』

「いいのいいの。あたしもガータンで欲しい石が見つかって、くれるってことになったから嬉しいんだ」

『ハハッ、これからもよろしくね』

「フリードリヒさん、じゃあね。ヴィル、ありがとう。ギルド行っててくれる?」

『わかったぬ!』

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