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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1272話:サイナスさんの矮小な存在感

「サイナスさん、こんばんはー」

『ああ、こんばんは』


 夕食後に毎晩恒例のヴィル通信だ。


「この時間にサイナスさんと話すと眠くなるよーに、習慣付けられたような気がする」

『重要なのは時間だろう? オレの存在は関係ない』

「そーだ。サイナスさんはちっぽけな存在だった」


 サイナスさんの矮小な存在感はともかく。


「輸送隊の帰りは明日だよね?」

『予定通りならな』

「嫌だなあ。ムリヤリ変なフラグ立てようとしないでよ」


 となれば明後日以降はアレクが使えるから。


「次の輸送隊はアレク出なんだっけ?」

『休みのはずだ』

「じゃ、明後日からの三日間の内のどこかでアレクの力を借りたいな」

『スクロール紙関係だな? 伝えておこう。しかし……』


 声を落とすサイナスさん。

 シリアスな雰囲気が伝わってくると、エンターテインメントな雰囲気で反撃したくなるなあ。


『もうじきソロモコで楽しいイベントなんだろう?』

「うん。明後日お肉パーティーの予定。おにくびみらー!」

『そうでなくて侵略の方』

「帝国艦隊による侵略を楽しいイベントに勘定するとは、サイナスさんもなかなかやるね」


 まーあたしもわかっちゃいるが。

 予定通りに進行する喜劇だってことは。

 役者のアドリブがどこまで利くかってことだけだ。


「明後日艦隊が出発するでしょ? 寄り道しなきゃその三日後か四日後にソロモコまで来るんじゃないかな」

『予定を変更してラグランドへ艦隊を派遣する可能性は?』

「ないと思う。第二皇子も『計画に変更はない』って言ってたし」


 要するに政権の力と軍威を示したいのだ。

 急に行き先変更するなんて無様なマネは見せられないだろう。

 それこそ帝国政府が慌ててるように見えちゃう。

 既にラグランドで蜂起が起きてるなら話は別だが。


「どうすればよりエンターテインメント方向にシフトさせられるかな?」

『どうせ考えてもいないトラブルが紛れ込んでくるんだろう?』

「この件は結果が大事だから、不確定要素は割り込んで欲しくないんだ」


 サイナスさんは、あたしがエンターテインメントなら何でも来いだと思ってるらしい。

 さほど間違いでもないけれども。


「ソロモコについてどう捌くかは、あたしの中では既定路線になっちゃってるんだ。もういいから、新鮮味のあるハプニングが起きて欲しいとゆーか」

『贅沢だなあ』


 エンタメについては目が肥えてるからね。


「今日もガータン行ってきたんだ」

『話が飛んだな。山賊退治についてだな?』

「うん。まず一つ。三〇人くらいの集落と話がついた」

『えっ? 数十人規模の山賊の集落がいくつかあるのか?』

「総勢少なくとも二、三〇〇人だろうって言ってた」

『カラーズくらいの人口の領内に二、三〇〇人の不逞の輩がいる? 徒党を組まれたら大変じゃないか』

「だよねえ。あたしも話聞いてビックリした」


 逆によくそんなんが放置されてたなと思うが、討伐するには本格的な軍の作戦が必要。

 積荷を奪われるくらいで帝国に対して反抗してるわけではないから、それぞれの領主が対処しろってことなんだろうな。

 そして裕福な領でないと山賊を撲滅することはできない。

 警備の行き届いた領からは逃げ出して、いい加減な領に住み着くってことなんじゃないかな?


『単に山賊を始末したってことではないのか?』

「できれば領民に組み入れたいんだよね」

『ユーラシアは人口に拘るよな』

「だって生産でも消費でも人口大事なんだもん。お金儲けに人口問題は避けて通れない」

『戦争も嫌いだし』

「聖女と崇められる心清らかなあたしが戦争嫌いなのは当然として」


 いや、マジで。

 だから戦争で人口減らそうとするのは賛同できないのだ。


「帝国って、成人年齢の一五歳以上で市民権を持っている人から徴税される仕組みなんだって。でも山賊なんかビンボーに決まってるから、いきなり市民権与えても税金払えるわけないじゃん?」

『もっともな理屈だな』

「それでガータンの領主ヘルムート君が『ガータン仮住民登録証』ってのを考えたの。領内で通用する、税を免除し、許可を得れば未開発地域の開拓が可能ってやつ」

『税金払わないでいい分、市民権より得じゃないか?』

「あたしも真っ当な領民との差別化どうすんのかなーって思ってたんだけど、領内の指定された業者としか売買できないっていう取り引き制限をかけるんだ」

『……ははあ。一応領民扱いされるのは領内だけ。商売にも制限ありか。発展する集落の住民にとっては、税金払ってでも市民権を得た方がメリットが大きくなるな』

「統治者側にとっては、山賊に交易を邪魔されなくなることがメッチャお得」


 たとえ人頭税を徴収できない仮住民登録者が増えちゃったとしても、領内の生産力は上がる。

 交易で儲けりゃいい。


『画期的な仕組みじゃないか。よく山賊が信じたな?』

「ダンテの究極魔法見せて集落吹っ飛ばすぞ、ドラゴンのエサにするぞーって言ったら大体信じてくれるよ」

『聖女(?)の説得力がえぐい』


 何だその(?)は。

 余計なものつけるな。


「ベンジャミンさんっていう、やらかし男爵時代からガータンを任されてた人がいるんだ。山賊が何とかなって交易が活発になれば問題なさそう。時々見に行くつもりだけどね」

『うむ。今日はそれだけかい?』

「皇宮行ってきた。今第二皇子にくっついてる悪魔は誰なのって聞きに」

『ええ? 誰が知ってるんだ?』

「聖火教徒のリモネスさんか、帝都の悪魔を監視してる宮廷魔道士長さんなら知ってると思ったんだ。案の定だった」

『機密じゃなくて普通に教えてもらえるんだな?』

「言われてみると不思議だな。何でだろ? あたしが可愛いから?」


 悪魔についてはあたしに任せとくのが一番解決早かろうしな。


「ガルムっていう、狼頭の子だって。ヴィルとバアルによると、言葉巧みでゲスなやつだそーな。ちょっと嫌なタイプかもしれない」

『君、バアルだって面白い子扱いしてるじゃないか。そのガルムもエンタメの毒牙にかけるんだろう?』

「構い甲斐のある子だといいなあ」


 会ってみないとわからん。

 楽しみが増えたと思えばいいか。


「サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 明日はギルドだ。

 チトー君の困りごとって何だろ?

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