表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1257/2453

第1257話:新男爵領ガータンへ行ってみる

 ――――――――――二一二日目。


「どう?」


 翌日、プリンスからの手紙を持たせたヴィルを、公爵領の中心都市パッフェルの宮殿に飛ばす。

 パウリーネさんの部屋わかるかな?

 レベル低いからパワーも小さいと思うんだけど。


『あっ、どの部屋かわかったぬ!』

「何でわかったの?」

『浮かれた負力が漏れ出てるぬ』

「ハハッ、納得だわ」


 実に頷ける理由だった。

 ヴィルは個々人の負力の違いを結構敏感に感じ取れるみたい。

 相手のパワーが弱くても、大体どこにいるかさえわかれば特定できるようだな。


「じゃ、窓をコンコンして入れてもらいなさい。浮かれた負力を吸い過ぎないようにね」

『はいだぬ!』


 パウリーネさんも毎日が楽しいんだろうな。

 パウリーネさんはどことなくおっとりしていて、あんまり帝都のリズムに馴染んでいないような気がした。

 フリードリヒ公爵が可愛がってて、あんまりパッフェルから出したがらないんじゃないかな?

 まー遠距離恋愛を楽しんでくださいニヤニヤ。


『パウリーネです。ユーラシアさんですか?』

「そうそう、ドーラの聖地母神ことあたし。おっはよー」


 うむ、声聞いただけで浮かれてるのわかるわ。


「今後はヴィルに手紙を仲介してもらおうと思ってるんだ。時々手紙のやり取りに行かせるからね」

『わかりました!』


 とゆーか、一々あたしが間に入るの面倒になった。

 ヴィルにやってもらお。


「ヘルムート君は昨日ガータンへ発ったのかな?」

『はい。アクシデントがあればこちらにも連絡があったはずですが、そのようなことは特になく』

「じゃあ向こうには問題なく到着してるってことだな。今日様子見てくるよ」

『弟をよろしくお願いいたします』

「またね。ヴィル、今度はガータンに飛んでくれる?」

『了解だぬ!』


 ガータンは領地全体の名前であり、中心となる町の名でもあるという。

 男爵領は一般に人口五万人以下だとゆーから、カラーズくらいの規模を想像している。

 ガータンとパッフェルの関係は、カラーズとレイノスの関係に近いんじゃないかな。

 ガータンまで馬車だと一日もかからず到着するそうなので、距離もカラーズ~レイノス間くらいだろうと思う。

 もっともパッフェルの人口はレイノスの一〇倍以上と、メッチャ大都市だとはわかってるけど。

 ガータンの経済を回すには、まず消費都市パッフェルに売り込むことを考えればいい。


『御主人、この辺りには大きめの町が一つしかないぬ。間違いないと思うぬ』

「目立たないところにビーコン置いてね」

『はいだぬ!』


 よしよし、ヴィルはいい子だね。

 新しい転移の玉を起動しガータンへ。


          ◇


「ザッツ、田舎!」


 ガータンに到着。

 ヴィルをぎゅっとしながら感じた第一印象がそれ。

 今まで帝国と言うと、帝都とかパッフェルみたいな都会のイメージがあったからかもしれない。

 道と畑と木と小屋しかない風景は田舎としか言いようがないわ。


 フィフィはこんなとこがやらかし父ちゃん男爵の領地だったのに、よくドーラをド田舎ド田舎言ってたもんだ。

 高飛車令嬢根性がそう言わせたのか、あるいはフィフィはほぼ帝都住みだったのかな?

 考えてみりゃ父ちゃん男爵も役人だったしな。


「町っていうか村だねえ」

「何が違うぬか?」

「人口が少なかったり農業メインだったりすると村かな」


 あたしの印象ではカトマスは町っぽい印象だ。

 人口がカラーズ以下ってわかってるから村で納得してるけど。


 しかしガータンには村の内外を分ける柵なり何なりがない。

 村域がわからないのは新鮮に感じるな。

 ドーラは魔物がいるから、集落には比較的しっかりした柵があるのだ。


「どの辺が村の中心かわからないな。飛んで探そうか?」

「はいだぬ!」


 ヴィルと一緒にびゅーんと飛んでいくと、大きな建物の近くに人が集まっているのが見える。

 あれだな。

 フワッと降り立つ。


「美少女精霊使いユーラシア参上!」

「ヴィル参上ぬ!」


 村人達ポカーンとしてるけど、ヘルムート君がにこやかに声をかけてくれる。


「来てくれたのか。皆の者、ドーラの冒険者ユーラシア殿と悪魔のヴィルだ」

「よろしくね」

「よろしくお願いしますぬ!」


 悪魔? って声が聞こえたけど、ぺこりと頭を下げるヴィルに皆が和んでる。

 偏見さえなければ、ヴィルがいい子なんてことは見りゃわかるのだ。

 今後ヴィルを連れてきても問題ないだろ。


「パスカル君も来てたんだ? 何故に?」

「兄上の補佐だ」


 補佐?

 パスカル君に何ができるんだろ?

 いや、『補佐』って名札をつけてこき使う作戦ってことかな?


 ヘルムート君が笑う。


「メルエルとパッフェル以外の地に行くことなどそうそうないのでな。どうしてもついて来ると言って聞かなかったのだ」

「物見遊山気分だったかー。いい身分だな。で、何か興味惹かれるものあった?」

「ない! あるわけがない!」


 パスカル君ったらえらい強い口調だな。

 ガータンに着いてからよほど退屈らしい。

 おもろいことがあるだろと思ってついて来たけれども、予想に反して何もないということか。


 もっともガータンは人口規模がカラーズ程度の田舎村だ。

 大したものがあるわけない。

 しかし……。


「笑えないね。本当に何もないんだとマジで困るんだが」

「「えっ?」」

「観光資源があれば人を呼べるからね。ま、ないものは仕方ない」


 パッと見発見できないのも仕方ない。

 細かく見ていけば何かあると思うよ。

 あたしはウルシ産業を見てみたい。


「ヘルムート君は顔役の人達とお話?」

「そうだな。ババドーン元男爵の旧臣諸君と顔合わせもしておきたいが」

「じゃ、あたしはパスカル君借りるよ」

「えっ?」

「デートだよデート。その辺一回りしてこよう」


 すげえ笑顔になるパスカル君。

 まあ天下の美少女たるあたしとデートするのが嬉しいのはわかる。

 でも単純過ぎやしませんかね?

 あんたも公爵の子なんだから、ちょっとは性根を叩き直したほうがいいぞ?


「じゃ、行こうか」

「うむ、どこへ行くんだ?」

「畑だね。農家の人達の話を聞きたいんだ。まだ時期が早いから畑仕事してる人も少ないかもしれないけど、一人や二人は捕まえられるんじゃないの?」

「美少女と一緒だと、どこへ行くのでも心が沸き立つな」

「パスカル君やるね。本当のことでも、言われ慣れてても嬉しいな」


 アハハと笑いながら出発。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ