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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1241話:飛空艇の夢の跡

『予だ。ユーラシア君だね?』

「うん。美少女の代名詞ことあたしだよ。通信だと可愛いところ見せられないけどごめんね」


 カカシのレベル上げを終え魔境から帰ったあと、クララ達が昼御飯の用意をしてくれている間に、行政府のプリンスルキウスと連絡を取る。

 ちなみにレベル上げしたカカシは、手の届く範囲が広がったって大喜びしていた。

 カカシの手とゆーのは、よくわからんけれども。


『どうしたかな?』

「予定では公爵一行が今日にも領都パッフェルに到着するはずなんだ。明日パッフェルへ行くから、パウリーネさん宛ての手紙あったらヴィルに持たせといてくれる?」

『おお、すまないね』


 ハハッ、喜んでやがる。


「輸出用にしようかと思ってる魔法の第二弾ができたんだよ」

『どんなものだい? 楽しみだね』

「一ターンだけ相手のどんな攻撃もダメージ通らなくするっていう盾の魔法だよ。消費マジックポイントはごく少なくて、先制で効果が出るって」

『ほう? 兵士用で使えるのはもちろんのこと、淑女のたしなみとして、という売り込み方もできそうだね』

「そーゆーのは考えてなかったな」


 暴漢除けまで行かなくても、無礼な振舞いをビシッと撥ねつけるのにはいいかもしれない。

 プリンスは商売が上手いなあ。


「盾の魔法はまだあたしも効果確認してないんだ。低レベルの人が使ってどうかを知りたいんで、今度アドルフに覚えさせてみよう」

『うむ。明日パッフェルのあとに行政府へ来るかい?』

「パッフェルで何があるかわからないから、絶対って約束はできないな。けど行くつもりでいる」

『わかった。トラブルが予定に入っているということだね?』


 あれ? おかしな解釈の仕方になったぞ?

 あたしはトラブルの女神ではないんだが。


「ドーラのスキルスクロール生産量の限界とゆー問題もあってさ。盾の魔法はまだ量産化の目処が立ってないんだ。もし商人さんが来ても紹介だけに留めて、注文取るのは待ってくれる? ちなみにドーラでの小売価格は三〇〇〇ゴールドに設定した」

『了解だ。ではパウリーネへの手紙をよろしく』

「じゃあヴィル、プリンスの手紙をこっちに持ってきてね」

『わかったぬ!』


 さてと、腹が減っては戦はできぬ。

 昼御飯だ。


          ◇


「どう?」

『大丈夫だぬ! 誰もいないぬ』


 元聖火教徒の村のあった、カル帝国テンケン山岳地帯をヴィルにチェックしてもらっているのだ。

 コッカーを狩って食べたいのだが、ダメならコブタ肉だよとイシュトバーンさんには連絡してある。


「飛空艇の残骸ってどうなってる?」

『そのままぬよ?』

「ふーん。もう調査しないのかな?」


 飛空艇自体が機密なら、放っといちゃまずい気もするけど。

 いや、重要な部分は終わったたものの、調査完了というわけではないといったところか。

 いずれ解体なり焼却処分なりするんだろうが、まだその段階にないんだと見た。

 じゃあまた調査隊は来るな。

 やはりしょっちゅうコッカーを狩りに行くわけにはいかない。


『渓谷との境の部分が封鎖してあるぬ。『反乱軍居住跡地。立ち入りを禁ず』と書いてあるぬよ?』

「立ち入り禁止か。そう堂々と挑戦されちゃ受けて立たざるを得ないね。飛空艇の近くにビーコン置いてくれる?」

『わかったぬ!』


 新しい転移の玉を起動し山岳地帯へ。


          ◇


「本当だ。まんまやん」


 飛空艇の残骸のことだ。

 ちょっとは変化があるかと思ったけど、年末から特に見た目が変わったようには見えない。

 罠が仕掛けてあるわけでもないな。


「燃やしていかなかったんでやすね」

「とゆーか、爆発炎上した割には原形が残ってるんだよね。燃えにくい木を使ってるのかもしれない」


 頷くうちの子達。


「よし、本日の目的コッカーには関係ないけど、軽く内部を調べていこうか。ヴィルは外で注意すべきことがあったら教えてくれる? 特に調査隊が登ってくるようだったら早めに」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」


 『遊歩』でフワリと飛んで、甲板側から侵入する。

 すぐダンテが何かに気付いたようだ。


「ウインドスライダーがナッシングね」

「わざわざ回収していくとこみると、あれも結構な機密だったのかな?」


 ほとんどの乗組員はウインドスライダーを使って脱出したはずだ。

 多くの意見が使用感として寄せられ、あの脱出用滑空機も進歩するんだろう。

 内部へ足を運ぶ。

 さほど変わりはなさそうだな。

 細かいとこ覚えちゃいないけど、回収されたものはなさそうだ。

 問題の機関室へ。


「ふーむ、残ってるのって動力炉だよね?」

「そうですね」

「魔力炉の方だけ回収していったのか。両方ともメタメタに壊しちゃってたけどな」


 魔力炉は回収する価値があるけれども、動力炉にはなかった。

 素直に判断すると、魔力炉の研究データは欲しいけど、動力炉は既に確立されてる技術ってことかな。


「まーいずれは動力炉も回収されそうだけど、魔力炉ほど重要性は高くないと」

「飛ぶだけの船ならいつでも作れることになりますね」

「やっぱすげえぜ、帝国は」

「ミリタリーパワーがヤバいね」

「それなー」


 民生用の魔力炉だけ研究してりゃいいのに。

 軍事でもって成立した国にとって、兵力を削減するなんてことは考えられんのだろうな。

 迷惑なことだ。


「よし、見物は終わりかな。渓谷へコッカー狩りに行こうか」

「「「了解!」」」


 機関室の大穴から外に出るとヴィルが飛びついてくる。

 可愛いやつめ。


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子。何か変わったことあった?」

「池に沈めた爆弾がないぬよ?」

「えっ?」


 池に急行、確かにもう使わないからと池に捨てた爆弾が回収されている。

 ヴィルよく気付いたな。


「やられたなー。あの爆弾、湿気ても再利用できるのか。全部使っちゃうべきだった」


 まだかなり数あったぞ?

 運ぶの大変だったろうにな。


「爆薬の成分を研究されるのを嫌ったのかもしれませんね」

「なるほど、そのセンもあるか」


 さすがクララ。

 いずれにしても貴重なものだったらしい。

 動力炉よりは重要だと判断されてるわけだからな。

 お土産としてドーラに持ち帰った爆弾を誰か研究してくれるといいが、その手の人いなさそうだもんな。

 まだまだドーラには人材が足りない。


「お待ちかねのコッカータイムでーす! 肉狩りに出陣だ!」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」

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