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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1197話:何だその乙女なセリフは

「ただいまー」

「ただいまぬ!」

「アンタ達の家じゃないねい」


 まあカトマスのマルーさん家に戻ってきたわけだが。


「いい感じじゃん?」

「本当にねい」


 ダンとニルエが打ち解けていて、とてもナイスな雰囲気なのだが。

 普通に相性いいじゃん。

 何でこの二人うまくいかないんだろ?


「おう。昼飯を御馳走になった」

「その前は何してたの?」

「村内を散歩していました」

「悔しそうな目を向けてくる男が何人もいたぜ」

「でしょ? 最近のニルエはモテるんだってよ」


 赤くなってら。

 ニルエ可愛いよニルエ。

 ダンが聞いてくる。


「あんた達は何してたんだ?」

「ギルド行ってたんだよ。脱落しちゃった『アトラスの冒険者』の名簿持って」

「ああ、さっきの話か。もう始動なのか?」

「脱落者の固有能力に関することは、ばっちゃんの意見も聞きたかったんだ」


 ニルエにも説明っと。


「落ちこぼれを出さずに真っ当なお仕事をということですね?」

「多分今はちゃんとした仕事には就いてるだろうけど、必ずしも自分の能力を生かしてるとは限らないじゃん?」

「おい、どんなやつを復活させようとしてるんだ?」

「いや、復活させようってんじゃないんだけど」


 あたしだって冒険者は兼業なのだ。

 皆さん仕事を持ってても、固有能力を生かした兼業副業結構じゃないか。

 大いにドーラの役に立ってもらいたい。

 ダンが首を捻る。


「『マップ』、『日和』、『外交官』、『福助』か。聞いたことのない固有能力ばかりだな」

「冒険者向きの能力の人を探してるわけじゃないんだよね」

「逆に冒険者向きのやつもいたってことか?」

「うん。名簿も見る? 前衛向きの固有能力なのに攻撃力低いとか、属性魔法使いも何人かいたけど、全員推定レベル一でしょ? 多分魔法覚える前に脱落したと思うんだ」

「えっ? 魔法系の固有能力持ってる人って、最初から魔法が使えるんじゃないんですか?」


 ニルエは昼寝イモムシの例しか知らなかったか。

 マルーさんが笑いながら説明する。


「固有能力の発現には強さがあるんだよ。強く発現している魔法系固有能力持ちならば、レベル一でも魔法を使える者はいる。でもそんなの魔法系固有能力持ち一〇人に一人もいないねい」

「へー、一〇人に一人もいないのか。最初から魔法使える人ってかなりレアなんだな」

「魔法系固有能力持ちでも、自分でわかってねえやつがほとんどなんだろ? ムダが多いぜ」


 ダンもシバさんに固有能力の強弱についての話を聞いたから、魔法の覚えの遅早については知ってるはずだ。

 懐かしいなあ、あの時ダンは自分が固有能力持ちと知って舞い上がってたわ。

 でもムダが多いって言うのには考えさせられる。

 固有能力はないならないでいいけど、持ってるならレベルを上げることで役に立つことも多いから。


 ニルエが不思議そうに言う。


「この『外交官』の方、他の方と比べるとレベルが高いようですが」

「うーん、気になっちゃうよねえ」


 名簿にある中で、チュートリアルルームの次のクエストをクリアしているのは一人だけ。

 しかもその『外交官』持ちは、さらに次のクエストもクリアしているのだ。

 推定レベルも五、六と記載されている。


「おかしいじゃねえか。普通三つ目のクエストって苦労しねえだろ? こいつはどうしてギルドまで来られなかったんだ?」

「わかんないねえ。よっぽど変なクエスト振られたのかもしれないし、ケガとか病気だったのかもしれないし」


 レイノス住みだから商家の子かも。

 家族の反対みたいな家庭の事情ということも考えられる。


「ダンの三つ目のクエストってどんなやつだったの? あたしはパワーカードの工房で、カード一枚獲得しろっていうのだったんだ」


 三つ目はバトルじゃない変なやつが回されることが多い。

 ニルエもダンのことを知りたいだろうから、サービスで話題を振ってやったニヤニヤ。


「採集だぜ。魔法の葉二〇枚持ってこいってな」

「あれ? あんたチュートリアルルームのあと、一日で三つクエスト終わらせてたじゃん。魔法の葉二〇枚って集めるの結構大変じゃなかった?」

「道具屋で買ってそのままサクラさんとこ持ってったからな」

「おおう、合理的だなあ」


 金銭的には当然損になる。

 でもあの時は戦争前だった。

 ギルドへ一刻も早く着いて、『オーランファーム』従業員を共闘でレベル上げするために、ギルドカードを得るのが先決だったからな。


「まー固有能力関係の話はほんのちょいでいいんだった。お二人さんはどうだったの?」

「アタシもぜひ聞きたいねい」


 見つめ合う二人。

 独自領域を展開するんじゃないよニヤニヤ。


「……ユーラシアが相性これ以上ないくらいピッタリっていう理由がわかったぜ」

「ええ、本当に」

「でしょ? あたしの見立てに狂いはないのだ」


 で、何で二人はうまくいかないのか?

 ぜひあたしが知りたいことなんだが?。


「……完璧過ぎるんだぜ」

「ニルエが? そんなわけあるか。ばっちゃんの孫だぞ? マイナスポイントが限りなく大きいわ」

「アタシの存在をマイナスポイントに換算するんでないよ!」

「換算するんだぬ!」


 大笑い。

 いや、しかしダンのコミュニケーション力は高い。

 マルーさん相手だって、クソババアを連呼しながら上手に付き合っていくに違いない。

 とゆーかマルーさんがダンを気に入ってるみたいだしな?

 となるとダンとニルエがうまくいかない理由がわからんのだが?

 完璧過ぎるとは?


「好み過ぎて、隙を見せられない気がするんです」

「好き過ぎて隙を?」

「好き隙なんだぬ!」


 よしよし。

 ヴィルをぎゅっとしてやる。

 あれ、ダンも頷いてるな。


「胸が苦しくなるんだぜ」

「ええ? 何だその乙女なセリフは。ギルドで広めるぞ?」


 どうやら相性って、ピッタリも度を越すとダメなもんらしい?

 全然知らなかったわ。

 おっぱいさんも完璧な女性だけど、合う男って少ないしな。

 似たような理屈なのかしらん?


「ふーん、勉強になったよ」


 マルーさんは残念そうだけど、こればっかりは仕方ない。

 時間が経てば解決する気もするがなあ?


「時々遊びに来ていいか?」

「もちろんです!」


 ダンはこういうとこうまい。

 『遊歩』を持ってるからすぐカトマスまで来られるしな。


「帰るよ。またね」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

 さて時間が空いたな?

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