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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1196話:ノブ君の発言権

「ごちそうさまっ! おいしかった!」

「ギルドの食堂は安くて量があるねい」

「大将の作ってくれるワイバーンの卵のフワフワ焼きはすげえおいしいんだよ。今度卵取ってきたら誘うから、ニルエも連れてきて食べない?」

「おお、そりゃいいねい!」


 さて、ボチボチ帰るかなっと。

 ダンとニルエがどうなってるかも楽しみだニヤニヤ。


「お姉ちゃん! 魔女の婆ちゃん!」

「あれ? 久しぶりだね」

「こんにちはぬ!」


 カトマスの最年少『アトラスの冒険者』ノブ君でした。

 ノブ君はいつも元気が良くて小気味いいなあ。


「今日は一人なの?」

「うん!」

「お昼食べた?」

「まだ!」

「奢ったげるから注文してきなさい」

「ありがとう!」


 ノブ君との会話は実にスムーズだなあ。

 ヴィルにツッコむ隙を与えない。

 戻ってきたノブ君にマルーさんが質問する。


「今レベルいくつなんだい?」

「一七!」

「ほう、立派な中級冒険者じゃないか。大したもんだ」

「レベル上がるの早いな。ところであんちゃんどうしてる?」

「家で寝てる!」

「聞くだけムダだったかー」


 カトマスで会ったフィフィのことが気になってたみたいだから、ひょっとしたら塔の村にでも行って冒険者してるかと思った。

 が、生来の怠けグセを屈服させることはできなかったようだ。

 さもありなん。

 超絶美少女のあたしが構ってやって『アトラスの冒険者』の復帰を果たせなかったのに、フィフィごときが理由で冒険者バリバリやるなんてことがあったら、それはそれで納得いかないわ。


 マルーさんが言う。


「ん? アンタはソロでレベル一七なのかい?」

「いや、同じくらいの時期にデビューした『アトラスの冒険者』達とパーティー組んでるんだよ。皆の石板クエストを順番にクリアしてるから、ボーナス経験値でレベルアップが早いんだと思う」

「ふん、うまいやり方だねい」

「『アトラスの冒険者』って、成人したばっかの子が選ばれること多いじゃん? なかなかパーティー組むのも難しいんだよ。ある程度までは『アトラスの冒険者』同士でパーティー組むのが正解なんじゃないかな」


 ギルドに来たばかりの冒険者のスタンダードな手法として、推奨してもいいんじゃないかと思う。

 ギルドには野良冒険者も来てるけど、ルーキーがそーゆー人達をリードするのはハードル高いわ。

 ただ一般の冒険者や希望者を楽しませてやるのも、『アトラスの冒険者』の仕事の気がするな?

 ある程度年齢の行ったベテランが構ってやりゃいいと思う。


「でも言い分が食い違うこともあるんだ」

「え?」


 後輩ズでも対立はあるのか。

 あたしは『精霊使い』でうちの子達がよく言うこと聞いてくれるし、自分のやりたいようにしたい。

 時々共闘するのはともかく、他の『アトラスの冒険者』とパーティー組んでいつも行動をともにするのは面倒だなあと感じてしまうが。


「御飯来た!」

「冷めない内に食べてしまいな」

「いただきます!」


          ◇


「ごちそうさま!」


 マルーさんもニコニコしながらノブ君を見てる。

 機嫌がいいんだろう。

 ヴィルも撫でられに行ってるのだ。


「それでボウズは何を考えてるんだい? 困ったことでもあるのかい?」

「あれ、ばっちゃんが親切なのは珍しいな。あとから料金を取る作戦?」

「違うよ! まったく失礼だねい!」


 アハハ、マルーさんもノブ君達の相談に乗ってやろうと考えたか。

 ノブ君はこれからの『アトラスの冒険者』の主力になりそうな子だもんな。

 あたしも興味があるのだ。

 後輩ズの中で意見が割れてるのって、どういう内容でだろう?

 珍しい歯切れの悪さでノブ君が話し出す。


「……ボス魔物がいるんだ」

「当然誰かのクエストでだよね?」


 頷くノブ君。


「安定して戦うためには『リカバー』が必要だ。でもボニーが反対してる。パワーカード七枚枠を埋めるのが先決だろうって」

「ははあ、なるほど」

「アンタ、事情がわかってそうだねい。もうちょっと解説しておくれよ」


 マルーさんに説明する。

 ボニーは貧しい自由開拓民集落クルクルの出身だ。

 獲得したおゼゼは均等に分けるべきだと思ってるだろう。

 集落の現状を考えると装備を整えて自分個人の力を高めたいし、余裕ができたら魔物除けの札だって欲しいに違いない。


「うん。ボニーは魔物除けの札も欲しいって言ってた」

「そーか。あの強化した魔物除けの札は西域の強い魔獣にも効くみたいだな」

「『リカバー』のスキルスクロールを使わせるなら……」

「後衛の『アシスタント』持ちのエオリアって子がいるんだ。当然その子に習得させることになるから、ボニーの意見とバッティングしちゃう」


 ノブ君が俯く。

 『リカバー』のお値段は高いしな。

 『リカバー』買うくらいなら、各メンバーのパワーカード装備を充実させた方がいいというボニーの考えもわかる。

 とゆーかボニーが正解じゃないの?


「ノブ君はどう思ってるの?」

「『リカバー』が欲しい」

「うん。そのわけは?」

「ボスを倒せばレベルが上がる。クエストクリアでまたレベルが上がる。『リカバー』はお金のある時しか買えない」

「いいね。今回はお姉ちゃんが助けてやろう」

「えっ?」

「ちょっとここで待ってなさい」


 転移の玉を起動して一旦帰宅する。


          ◇


「ただいまー。これあげる」

「あっ、魔物除けの札?」

「一〇〇枚ある。ボニーに渡して説得しなさい」

「お姉ちゃん、ありがとう!」


 転移の玉起動で姿を消すノブ君。

 実に理解が早いなあ。

 マルーさんが聞いてくる。


「無事解決するのかい?」

「解決するねえ」


 ボニーは魔物除けの札を得ることができて得。

 ヌヌスツインズは『リカバー』のスクロールをもらえて得。

 そしてノブ君は自分の意見を通すことができて得なのだ。


「装備を揃えた方がよくはなかったかい?」

「まあね。でもノブ君の言うことにも十分な理由があったからいいんだ」


 ボニーもレベルが欲しいのは一緒。

 余裕で納得させられるだろ。

 ノブ君はあのパーティーで一番年少だが、最もリーダーシップがある。

 将来はノブ君が引っ張っていくのがいいから、発言権を大きくしといてやるのだ。


「さすがだねい。全てアンタの思い通りってわけかい?」

「いやー計算外もあったね」

「何がだい?」

「魔物除けの札値上げしてんの。思ったより出費が多くなっちゃったわ」


 マルーさん笑い過ぎだろ。

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