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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1182/2453

第1182話:アーベントロート公爵邸へ

 ――――――――――二〇三日目。


 フイィィーンシュパパパッ。

 皇宮に着いた。


「おっはよー」

「やあ、精霊使い君。おはよう」

「あんたは朝早くからいるなあ。働き者に見えてきた」


 この土魔法使い近衛兵は真面目なんだかサボリなんだか。

 まあ働き者というのはあり得んとわかってはいる。

 何故ならばタレ目エルフテラワロスと同じ臭いがするから。

 要領がいいように見えて、貧乏クジ引くタイプ。


「今日ももう、新聞記者達が詰め所に来てるんだ」

「早いなー。帝都の人は働き者だね。違うわ、あたしが今日も来ること知ってるんだったわ」


 急いで近衛兵詰め所へ。


          ◇


「おっはよー」

「「「ユーラシアさん!」」」


 うん、記者トリオと近衛兵長さん、ウルピウス殿下は大分親しくなったようだ。

 良きことかな。

 お土産のコブタ肉を休息中の近衛兵に渡す。


「まず報告から。リリーは無事ドーラの塔の村に到着。元気があり余ってるのか、昨日早速塔のダンジョンに入ってたよ」

「バイタリティありますねえ」

「昼まで寝てるから、変な時間にハッスルしてるんだよね」


 アハハと笑い合う。


「新男爵関係で。フィフィに打診してみたけど、やらないって」


 ウ殿下が言う。


「何故だ? 汚名を返上するいい機会だろうに」

「実力か実績で見返さなければ、笑い者なのは変えられないからって言ってたよ。領地のガータンってところも、相当経営が難しいみたいだね」

「難しいからユーラシアさんに振られたんじゃないですか?」

「何であたしに苦労させようとするんだ。七難八苦を与えてくれんでもいいわ」


 まあフィフィはドーラで楽しくやってるから。

 多分領主貴族よりも成果が見えやすい冒険者の方が、自分に合ってると感じてるんだよ。


 一方ガータンについて。

 話を聞く限りでは、山賊を何とかしないとどーにもならん気がした。

 山賊なんて一地方領が頑張って取り締まったところで、他の領に逃げるだけなんじゃないの?

 中央政府が根本的な対策を打ち出すか、さもなくば発想の転換が必要と見た。


「ということは、ヘルムート様にお伺いを立てる?」

「うん。今から公爵邸行ってくるんだけど、その前にアーベントロート公爵家について教えてくれる?」


 ウ殿下らが言う。


「開祖帝を支えた弟の血筋だ。三公爵家で最も古い。当代のフリードリヒ殿は紳士として知られ、若い頃は騎士として名を馳せていた。既に奥方は亡くされているが、三男一女を儲けている」

「アーベントロート公爵家は中央の政治に関わらない印象がありますね。騎士におなりになる方はおられますが、文官職に就いた方は記憶にないです」

「産業振興に力を注いでいるという話です。領都パッフェルは大変賑わっていて、帝都メルエルに次ぐ人口の大都市ですよ」

「ふーん。いかにもな大貴族様だねえ」


 リリエンクローン辺境侯爵家がカル帝国一の大貴族って聞いたけど、アーベントロート公爵家もなかなかみたい。

 地図見る限り領地こそ小さいが。

 そして公爵家って三つしかないんだな。


「公爵フリードリヒさんについて、注意することあるかな?」

「商売には熱心な方だぞ。帝都にいる際は、皇族貴族との社交よりも商人との会合を精力的に行っているそうだ。ユーラシアとは気が合うんじゃないか?」

「そお?」


 元騎士で商売熱心で温和な紳士ってのが、どーも結びついたイメージになりにくいんだけれども。

 まー見た目で判断しちゃダメってことだな?

 あたしのカンでも一クセある人だって気がしてるから、要注意なのだ。


「じゃ、公爵邸行ってくるね。これまだ打診の段階だから記者さん達連れていけないけど、オーケー出たらヘルムート君と施政館行くと思う。施政館は記者さん達いてもいいんじゃないかな。どうする?」


 打診の段階だからというより、プリンスとパウリーネさんの関係が進展していることをまだ感付かれたくないから、連れていかないんだけど。


「では、しばらくここで待たせてもらいます」

「ところで公爵のお屋敷ってどこ?」

「すぐそこだぞ」


 まさかのお隣でした。

 まさかでもないか、古い公爵家なら皇宮の近くのいい場所にお屋敷あるのも当然っちゃ当然だった。


「こんにちはー」


 公爵邸の門番に挨拶する。


「こんにちは。どなたかな?」

「ドーラの美少女冒険者ユーラシアだよ」


 怪訝な顔をする門番二人。

 美少女に対する敬意の感じられない視線だね。


「ドーラの冒険者ユーラシアというと、先日ヤマタノオロチを討伐したという?」

「そうそう」

「公衆の面前でヘルムート様に恥をかかせた?」

「ヘルムート君を水も滴るいい男にしたのはあたしが悪いんじゃないぞ? 企画したリリーに文句言ってよ」


 何なのジロジロ見て。

 そんなにあたしが魅力的かようっふん。


「年格好背格好は聞いていた通りだが……」

「うむ、君が話題の少女ユーラシアという証拠がない。何か身分を証明するものを持っているか?」

「身分を証明するもの?」


 ギルドカードしかないな。

 でも帝国人がギルカを知ってるとは思えないし。

 帝国人は身分証明する時どうするんだろ?

 市民権の証書みたいなものがあるのかな?


「うーん。あたしがヘルムート君を放り投げて噴水池に落としたってところまで聞いてる?」

「聞いた。誇張もあるんだろうが三ヒロも飛ばされたとか」

「誇張じゃないんだよ。ちょっと槍置いてくれる?」


 必殺人間お手玉!


「うわああああああ!」

「ぎやああああああ!」


「必ず愉快な声が出ちゃうのが難点だなあ。閑静な貴族邸宅街に似合わない」


 門番二人を降ろす。


「どうだろ? これ意外とバランスとるのが難しいんだ。多分あたしにしかできないから、証拠にならない?」

「何事だ!」


 あ、知った顔が出てきた。


「おーい、ヘルムート君!」

「ユーラシア殿?」

「ヘルムート君にとっていい話を持ってきたんだよ。中に入れてくれないかな? できれば公爵様にも聞いてもらった方がいいんだけど」

「うむ、しかし今の叫び声とこの有様は?」


 あ、門番ズ腰抜かしてる。


「あたしがあたしである証明が欲しいってことだったから、芸の肥やしになってもらったんだ」

「さっぱりわからぬ」

「まー門番さん達がしっかり仕事したってことだよ。次からはこのプリティフェイスを覚えといてね。にこっ」


 何だその恐怖の表情は。

 解せぬ?

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