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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1173話:褒美をもらえるらしい

 フイィィーンシュパパパッ。

 皇宮にとうちゃーく。


「おっはよー」

「やあ、精霊使い君。おはよう」


 ニコニコする土魔法使い近衛兵。

 何なの?


「御機嫌じゃん。皇宮で何かいいことあったの?」

「ということではなくてさ。君が倒したヤマタノオロチいたろう?」

「あっ、放ってきたのまずかった?」


 魔境では倒した魔物は放っておくのが基本なんだよな。

 亡骸が次の魔物を育てるサイクルがあるから。

 クー川の水引く時に現れた大物は邪魔だった。

 川に捨てちゃったが。


「数日後に焼くという話だよ。それまでは観光名所だな」

「えっ?」


 観光名所?

 どゆこと?


「神話級の魔物だろう? 超デカいって話じゃないか。見たがる人が多いんだな」

「帝都から強歩二日だよ? 遠いじゃん」

「どっちみち現地に軍の調査隊と魔道士、学者からなる団体を派遣しなきゃならなかったんだ。便乗して見物客を募るツアーが企画されて大人気。昨日第一陣が、今日第二陣が出発してる」

「マジかよ。商魂たくましいなー」


 帝国の抜け目ないところは見習わないといけない。


「被害に遭ったところ含めて、周辺集落にはお金が落ちる格好になるか。いいことだなー」

「おっと、お偉いさんみたいな視点だね」

「あたしはお偉いんだとゆーのに」

「ハハッ、今日はリリー様の?」

「うん。縁談デストロイイベントが終わったから、ドーラに戻ってくるのかなと思って、確認に来たんだ」


 いや、様子を見にね。

 朝はまだリリー寝てることわかってるけれども。


「昨日リリー様が騒いでおられたぞ? ユーラシアは何してるーって」

「そーだったか。悪いことしたな。昨日はリリーの爺ちゃんの辺境侯爵の依頼を片付けてたんだよ。ゼムリヤで魔物退治だったの」

「働き者だな」

「あんたとは大違いだよ」


 午後は皇宮に来られないこともなかったんだけどな。

 アハハと笑いながら近衛兵詰め所へ。


          ◇


 詰め所には近衛兵長さんとリモネスのおっちゃん、そして何故か既に新聞記者トリオがいた。

 朝も早よから御苦労さんだなあ。


「昨日の新聞は過去最高の発行部数でした!」

「ええ。増刷して昼にもう一度発売して」

「よかったねえ」


 ヤマタノオロチ退治が大ウケだったらしい。

 喜んでもらえりゃあたしも嬉しい。


「本当にありがとうございました!」

「記者さん達が勇気を持ってついて来たからいい記事が書けたんだよ」


 結果だけ書いた記事とは臨場感が違うだろ。

 あたしは牙回収要員が欲しかっただけだけど。


「ユーラシアさんに対する興味が、読者の間に湧き上がっているのですが」

「もっとネタを提供しろって? んー記事にするには弱いかもしれないけど、一昨日あれからリモネスのおっちゃんみたいな、ヤバい固有能力持ちに会ったんだよ」

「ほう、私のようなですか」


 リモネスさんも興味があるようだ。


「『ダウト』っていう、喋ってることがウソか本当かわかっちゃうってやつ。ちょっと事情があって、その人を誤魔化さなきゃいけなかったんだ」

「誤魔化すって、ウソが通用しないんでしょう?」

「おっぱいがないっていうコンプレックスを抱えてたからさ。他所事にかこつけて残酷な現実を突きつけてやったら、調子が悪くなって帰っちゃった」

「ひどいですねえ」


 アハハと笑っているところにウルピウス殿下登場。

 あれ、誰かを連れてるぞ?

 お役人さんっぽいな。

 文官? 事務員?


「おお、ようやく来たかユーラシア」

「こんにちはー。リリーは? もうこっちで用はないんでしょ? ドーラに戻りたいのかなーと思うんだけど」

「まだ寝ているな、しかし午後には帰りたいと言っていたぞ」

「了解でーす。じゃあ午後にまた来るよ」

「ユーラシアにドミティウス兄上から呼び出しがかかっているのだ」

「えっ?」


 ドミティウスって主席執政官の第二皇子?

 ようやく政治に絡む人に会えるようになったか。

 文官っぽい人が話し出す。


「私から説明させていただきます」

「お願いしまーす」

「ドーラの冒険者ユーラシア様においては二日前、神話級の魔物ヤマタノオロチを迅速に討伐していただき、人的被害ゼロという輝かしい結果を残されました」

「お得意様へのサービスだから、気にしなくていいんだぞ?」

「その大いなる功績に対して、帝国政府が報いたいということなのです。帝国施政館においでいただけないでしょうか」


 施政館って何? 政治の場?

 なるほど、ドーラで言う行政府だな?

 褒美としてあたしに何かくれるらしい。

 つまり美少女精霊使いのブームにあやかって、政権運営の助けにしたいという魂胆だろう。

 となればあたしを賞したという事実は、広く知られた方が政府にとっておいしいはず……。


「今ここに新聞記者さん達が来てるんだ。取材したいと思うから、施政館に連れてっていいかな?」

「「「「えっ?」」」」


 文官っぽい人と新聞記者トリオは面食らってるけど、近衛兵長さんリモネスさんウ殿下は、あたしがまた何か始めるぞって顔してる。


「ドミティウス主席執政官に許可もらってきてくれる?」

「は、はい」


 メッセンジャー文官が一旦去る。

 リモネスさんが面白そうに聞いてくる。


「精霊使い殿、これはいかなる企みですかな?」


 『サトリ』持ちのあんたはどうせわかってるだろ。


「いや、あたしに御褒美をくれることで、政権の人気取りに利用したいみたいじゃん? なら記者さん達連れて御褒美の記事が新聞に大きく載った方が、主席執政官にも都合がいいかなと思ったの」

「「「「「「なるほど」」」」」」

「っていう気を利かせたあたしに、予定よりいいものくれるかもしれないし」


 大笑い。

 あたしも主席執政官に会っておきたかった。

 話は聞いているものの、どんな人かわからんから。


 ……飛空艇を落としたのがあたしだと、バアルから聞いて把握してるはずだ。

 褒美が名目なら報復ではない。

 とりあえずあたしを味方にしておこうと考えたんだろう。

 可能性は低いものの、露骨にあたしを取り込もうとすることもあり得る。

 となるとプリンス推しのあたしにとって都合が悪い。

 新聞記者がいれば強引にくる心配はないだろ。


 割と余計なことまで知ってる記者トリオに釘を刺しておく。


「多分取材は認められるけど、聞くだけに徹してね。余計な質問して主席執政官の機嫌損ねるとえらいことになるぞ?」

「「「わかりました!」」」

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