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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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1162/2453

第1162話:赤眼天使登場

 フイィィーンシュパパパッ。


「ユーちゃんいらっしゃい」


 メルヒオールさんを領地のゼムリヤに送ったあと、肉狩りしてからチュートリアルルームに来た。

 が?


「これお肉お土産だよ」

「あっ、ありがとう!」

「あなたがユーラシアさんですね? 『精霊使い』の固有能力持ちの」

「うん。正解でーす」


 薄い紫の髪にバエちゃんと同族であることを示す赤い瞳、あたしよりやや背の高い女性がいる。

 あたしに結構な興味を持ってるらしいな。

 誰だ?


「ところでどちらさん?」

「エンジェルと申します」

「天使? すげー名前だなと思ったけど、あたしのユーラシアも神様の名前だった。他人のこと言えないわ」


 アハハと笑い合う。


「ねえ、ユーちゃん。エンジェルさんはどういう人だと思う?」

「んー聖職者階級の人だね。シスター・テレサよりも位は上。『アトラスの冒険者』の関係者で、レアな固有能力持ち」


 驚く赤眼の天使。


「そこまでわかりますか?」

「わかっちゃうねえ」


 とゆーかチュートリアルルームは末端ではあるが、こちらの世界の冒険者と直接接触する場だ。

 異世界の存在とか『アトラスの冒険者』の運営の正体とかが秘密という建前である以上、チュートリアルルームの扱いは厳密であるべき。

 事実あたしも直接の上司であるシスター・テレサ以外の存在を、バエちゃんから聞いたことがない。

 そんなところへ突然現れた人物。

 シスター・テレサより年上だろうし、ならば上位者だって考えるのは理の当然。


「ユーちゃんはすごいカンと洞察力の持ち主なんですよ」

「では私が何のためにここへ来たかおわかりですか?」

「バエちゃんのボーナスの話じゃないことは想像できるけど」


 冗談めかして答えておく。

 おそらく見抜く系の、リモネスさんの『サトリ』並みにヤバい固有能力を持っているとあたしのカンが囁く。

 ここへ来た理由も仮説がないわけじゃないが?

 バエちゃんが唐突に言う。


「ユーちゃん以前に、もう一人の精霊使いの話をしてたじゃない? どんな人?」


 最悪の予想が当たる。

 エルの追っ手か。

 しかもこんな取扱い注意の固有能力持ちが。

 追い返したいが?


「冒険者だよ。あたしと同じで精霊を三人連れてる。ただその子がいるの遠隔地なんだよね。会うと話すけど、戦闘スタイルとか細かいことは知らない」


 微妙に頷く天使。

 やはり言外から何かを感じ取っている。

 仮にこの赤眼天使がリモネスさんと同じ『サトリ』を持ってるとするなら、ウソはバレる。

 どこまでこっちの思考を把握できるんだか知らんけど、当たり障りない情報を流しとけ。


「名前と特徴を教えていただけますか? 御存じの限りで結構ですので」

「名前はエルだよ。あたしと同じくらいの歳の女の子」

「エル、ですか」


 憮然とした表情になる天使。

 エルが偽名を名乗ってることは知らないようだ。

 そしてあたしの考えを読める能力ではないな。

 チャンス!


「一番の特徴と言えば、おっぱいのある女性を敵視することだね」


 エンタメ話で煙に巻こうと思ったのに、どうした天使。

 ギクッとしてるな?

 ……ははーん、御退場願おうじゃないか。


「あたしも初めて会った時敵扱いされたけど、おっぱいの大きさだけで敵味方決めると人類の半分が敵になるからやめときって言ったった」

「そ、それで?」

「エルの連れてる精霊の一人がすごく残酷な子なんだ。ここからその子との会話ね。『せめて『女性の半分が敵』ならばダメージも小さかったのに『人類の半分が敵』などと真実を語るから』『本当のことでしょ。あたしもある方じゃないと思うけど、その子にはないもん』『板であろうと絶壁であろうと大平原であろうとないものはなかろうと! デリケートな部分に触れてはならないのです。たとえ触れるものなどないとしても!』ってとこまで行った時、エルの呼吸が止まりそうになったから蘇生魔法かけた」


 大丈夫かな?

 赤眼天使も呼吸止まりそーですけど。


「おっぱいのない幼女をぎゅーさせてやると復活することが判明したんで、エルを弄る時にはうちの幼女悪魔ヴィルを特効薬として連れていくことにしてるんだ」

「そ、そうですか」

「エンジェルさんも体調悪そうだけど?」


 ヴィル呼ぼうか?


「いえ、お気になさらず」

「エルについて知りたいことあったら聞いとくよ?」

「無関係のようですので結構です。私はこれで失礼します」


 転移の玉の起動で姿が掻き消える。

 よし、計画通り。

 赤眼天使の情報を仕入れておかねば。


「何なの? あれ」

「シスター・エンジェルのウィークポイントをダイレクトに抉ったからだと思うわ」

「ダイレクトじゃないよ。シスターおっぱいありませんねなんて言ってないじゃん」


 アハハと笑い合う。


「シスター・エンジェルは『ダウト』の固有能力持ちなの」

「『ダウト』? どんなやつ?」

「喋ってることが本当かウソかわかるっていう」

「ふーん。あたしも大体わかるけどな?」

「ユーちゃんのはただのすごいカンじゃない」


 『閃き』だぞ?

 しかし『ダウト』か。

 やはりヤバい固有能力持ちだった。


「で、何事?」

「『精霊使い』の固有能力持ちが逃げ出したんだって」

「犯罪者か何かだったん?」


 しらばっくれたろ。

 もっともバエちゃんもあんまり詳しくなさそう。

 他人事っぽい。


「旧王族だと聞いたわ」

「赤眼族関係か。だからこっちにも調査に来たんだ?」


 エルは旧王族?


「絶対に逃げられないはずの場所に閉じ込めたのに消え失せたって。ユーちゃんどう思う?」

「普通に考えて内通者がいるに決まってるだろ。いや、逆の可能性もあるのか」

「逆?」

「赤眼族が天下取ってた時代って一〇〇年以上前なんでしょ? なのに閉じ込めておかなきゃいけないくらい恨まれてるなら、処刑するために連れ出されることもあり得るんじゃないの? つか何で今でも旧王族は目の敵にされてるのよ?」

「残虐な統治を行ったからだって……」

「今の政府を正当化するために誇張してる可能性も大いにあるぞ? まーそっちの世界の事情もあるんだろうけど」


 ふむ、エルの謎が深まったな。


「脱落冒険者の名簿もらいに来たんだった。できてるかな?」

「あっ、できてるわ」


 名簿を受け取る。

 やっぱりかなり大勢だな。


「ありがとう。必ず役立ててみせるよ。今日は帰るね」

「じゃあまたね」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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