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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1155話:JYパーク

「灰の民のショップで降ろしてくれる?」

「はい」


 『フライ』を操るクララに指示を出す。

 クララは家にいたが、アトムとダンテは海岸に行ってるって。

 午前中はうちの子達三人で灰の民の村へ行き、ハヤテとともに図書室にいた。

 で、昼に帰ってきたそうだ。


 昨日も午後は家にいたな。

 一日中図書室はアトムとダンテが飽きちゃうのかもしれない。

 あたしも一日中図書室なんて耐えられんわ。


「あ、サイナスさんがいる」


 緩衝地帯、灰の民のショップの近くにフワッと着地する。


「ひゃい子、大丈夫だった?」

「ひゃい! 大丈夫! すごい!」


 飛行魔法を気に入ってくれたようだ。

 コーフンしておられる。

 ひゃい子は高速飛行アトラクションに耐性のある子だった。


「ユーラシア」

「サイナスさん、こんにちはー。美少女精霊使いと従者三名華麗に参上!」

「そういうのいいから。その子が?」

「サイナスさんは知ってるでしょ。クララだよ」

「違うって。そっちの」

「ヴィルだぬよ?」


 アハハ、怒んない怒んない。

 どーしても掛け合いをしたくなっちゃうだけなのだ。


「帝都裏町の名付け屋ひゃい子だよ」

「ひゃい子? 帝国では変わった名が流行っているんだな」

「ひゃっ?」

「あ、本名は別にあったはずだけど忘れちゃった」

「ビッケだぬよ?」

「ビッケだった。ヴィル偉い! ぎゅー」

「ふおおおおおおおおお?」


 サイナスさんが苦笑する。


「どうしても掛け合いが前に出るなあ」

「容姿端麗、抱腹絶倒、焼肉定食があたしを構成する三要素なんだよね。紹介遅れたけど、ドーラ東の集落群の族長の一人サイナスさんだよ」

「ドーラはいかがですか?」

「ひゃっ?」

「あがり症で赤面症で人見知りなのがひゃい子を構成する三要素なんだ。会話はマネージャー兼通訳のあたしを通して」

「何だそれ? まあいいや、族長達を集めよう」


 またおかしなの連れてきてっていう考えはありありとわかるけど、全身簀巻きみたいに赤い布で覆われてることに関しては何も言わないのな?

 族長クラスはひゃい子に対してどういう感想を抱くだろう?

 ちょっと楽しみ。


          ◇


「「「「「「……」」」」」」


 各村族長クラスがひゃい子を見つめる目。

 あれは知ってる。

 珍獣を見る目だ。

 一番愉快そうな顔をしている黄の民族長フェイさんが言う。


「その御仁が?」

「帝都が誇る名付け屋ひゃい子だよ」


 胡散臭そーだと思ってる空気が充満しているが、こういうのはひゃい子平気なのな?

 いつもそう思われてるからだろうか。

 謎の抵抗力だわ。

 最年長の白の民ルカ族長が提案する。


「さ、では精霊使い殿の推薦ということもあります。早速この緩衝地帯に対する名称候補を提案していただいてはいかがですかな?」


 黒の民族長クロードさんなんか明らかに不服そうだけど、他に代案もないんだろう。

 熱量に差こそあれ、全員が頷く。


「じゃ、ひゃい子よろしく」

「ひゃい。ビッケいきます!」


 次第に増していくひゃい子の集中力と緊張感に瞠目するディオ君とカグツチさん。


「希望に満ち、賑わうこの場所のお名前は……『純粋な友好の広場』略して『JYパーク』!」

「純粋な……友好の……」

「JYパークか、語呂もいいではないか」

「ピッタリです!」


 さすがひゃい子。

 皆の視線がいっぺんに好意的になったぞ?

 ルカさんが総括する。


「では正式名称『純粋な友好の広場』、通称『JYパーク』で決定してよろしいですかな?」

「「「「「「異議なし!」」」」」」


 おおお?

 えらくスムーズに決まった。


「ひゃい子殿、ありがとうございました」

「ひゃっ?」

「ひゃい子はシャイだから、謝意さえ示してくれればいいんだよ。これお礼」


 透輝玉を三つ渡す。


「また魔宝玉? こんなに?」

「うん、ドーラだと売値が安くなっちゃうから、帝国に帰ってから売るといいよ。また名付け頼むことあったらよろしくね」

「ありがとお!」


 ドーラでの売値五〇〇〇ゴールドくらいの魔宝玉をたくさん手に入れられりゃいいんだが、あたしの伝説ロードはそこまで親切な舗装がされてないんだよな。

 まーいーや。

 用は終わった。

 族長達に別れを告げる。


「まだちょっと時間あるな。ひゃい子はグロちゃんと面識はあるんだよね?」

「グロちゃん?」

「帝都裏町の呪術師グロチウス。魔物除けの札を作るのが得意な」

「『スカルラバー』?」

「そーいやひゃい子に『スカルラバー』って名前をつけてもらったって言ってたな。挨拶していこうか」

「ひゃい!」


 黒の民のショップへ。

 一人の店員が話しかけてくる。


「……ビッケじゃないか」

「ひゃっ?」


 初見だと驚くだろうけど。

 いや、初見じゃなくても誰が誰やら見分けのつかん黒フードを、皆して被ってるのを見りゃ警戒したくなるけれども。


「グロちゃんだったか。何かいっつも店員やってるみたいだね。気のせいかな?」

「俺が社交的だからという理由で、頼まれることが多いのだ」

「社交的? グロちゃんが?」

「俺も社交的なんて、ドーラに来て初めて言われるようになった」


 まったく黒の民の連中はしょうがないな。


「ビッケは何しにドーラへ?」

「ここの緩衝地帯に名前つけようって話になってさ。ひゃい子に頼んだんだ。各村族長クラス立会いの下、『純粋な友好の広場』略称『JYパーク』と決定しました!」

「ほお、JYパークか」

「なかなか響きがいいな」


 沸き立つ黒の民にひゃい子も嬉しそう。

 グロちゃんが言う。


「色々あってな。俺はもうメルエルには戻れないが、ドーラで楽しくやっているとカラザ達に伝えてくれ」

「皇妃様呪殺未遂事件についてなら、実行犯グロちゃんの名前入りで新聞に載ったから、カラザ達も知ってるぞ?」

「予想外の事態!」

「新聞記者とも仲良くしときたいからね。相変わらず黒幕はわかんないけど、ドーラに手を伸ばすとは考えられん。グロちゃんの身はまあ安全」


 第一皇子が亡くなったということもあり、もっと前の出来事である皇妃様呪殺未遂事件はもう風化しつつある話題だ。

 黒幕にしてみれば今更事件を蒸し返されたくないだろうしな。

 とち狂ってグロちゃんを始末する方針にしたとしても、黒フードでわかりゃしないわ。


「グロちゃんの元気なところをひゃい子に見せたかっただけなんだ。あたし達は帰るね」

「うむ、ではまた」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し一旦帰宅する。

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