表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1151/2453

第1151話:対決用の料理を持って

 ――――――――――一九九日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「おっはよー」

「おはようございます。精霊使い殿」


 今日は貴公子こてんぱんイベントの二日目、『知』のテーマでの対決だ。

 頼んでいた料理をイシュトバーンさん家に取りに来た、が?


「何でいるのよ? まだ寝てないとダメだぞ」


 何故か転送先にいるイシュトバーンさん。

 昨日頭ぶつけたところだろーが。

 安静にしてろ。


「ちょっと診てくれよ。一晩寝たら、ふらつかなくはなったんだ」

「……悪くない。けど正常な魔力の流れとは言えないな。この調子だと今日一日ゆっくり休めば、ほぼ正常だと思うよ」

「おう、そうか。明日で終わるんだろ? 飯食いに来いよ」


 今日と明日でリリーの縁談クラッシュイベントも終わりだ。

 話のネタもあるだろうし。


「じゃ、明日の夜来るね。今日の結果はあとでヴィルで知らせるよ」

「ん? 対決は午前中で終わるんだろ? 今日の午後は何かあるのか?」

「カラーズ内で各村が店出してる区域あるじゃん? あそこ今緩衝地帯って呼ばれてるんだけど、もうちょっとマシな名前をつけようってことになってさ。ひゃい子に頼もうかと思ってるの」

「ほお? あの名付け屋がどんな仕事を見せてくれるか楽しみだな」


 確かに。

 ひゃい子は見かけも言動もおかしい子だが、どんな華麗な名付けを披露してくれるだろうか?


「これ、料理な。数聞いてなかったから二〇個作っといたぜ」

「あ、そうだ。数言い忘れてた。ごめんね」


 カバーがかかっていて中は見えない。

 これはこれでよし。


「ありがとう。じゃ、行ってくる。イシュトバーンさんもお大事に」

「おう」


 転移の玉を起動し一旦帰宅する。


          ◇


 フイィィーンシュパパパッ。

 皇宮に着いた。


「おっはよー」

「やあ、精霊使い君。おはよう。手に持ってるそれが、対決用の料理?」

「そうそう。見せちゃいけないルールだから見せないけど、自信作だよ」


 イシュトバーンさんのところの料理人は腕がいいから。


「どうでもいいけど、あんたいつもここにいるねえ」

「その話題は今更じゃないか?」


 笑う土魔法使い近衛兵。

 今更か今更じゃないかってことじゃないわ。

 どーしてサボリが見逃されてるのかってことだわ。


「いや、君がここへ転移できるということは、目印みたいなものがあるんだろう? 君以外の存在がいきなり侵入してこないとも限らないから、見張ってるのさ」

「おお? 言われてみればその通りだ。やるねえ」


 『アトラスの冒険者』のビーコンの管理がどうなってるか知らんけど。

 考えてみりゃ土魔法使い近衛兵の言うようなことはあり得るなあ。


「目印のことビーコンっていうんだ。確かにあたし以外の誰かが転送先にするケースもないとは言えないわ。でももしそーゆーことがあっても、『アトラスの冒険者』に関係してる人のはずだから、話せばわかるはずだよ」

「ああ、参考にするよ」

「他の侵入者があるかもしれないっていう理屈は自分で考えたの?」

「もちろんだ。サボるためには頭を働かせないといけない」

「やっぱサボるためだったかー」


 笑いながら正門脇詰め所へ。


「おっはよー」

「来たかユーラシア」


 ウルピウス殿下とリリーと黒服、それと既にメルヒオールさんが来ていた。


「どんな料理なのだ?」

「いや、あたしもお任せで作ってもらって、まだ見てないから知らないの。想像はできるけど」

「ふむ、楽しみであるの」

「ルールで見せられないからあとでね」


 あ、来た。


「「「ユーラシアさん!」」」

「朝から仕事熱心だねえ」


 新聞記者トリオでした。

 大広場へしゅっぱーつ。


「昨日のイベントの評判どうだったかな? 新聞売れた?」

「「「売れました!」」」

「よかったねえ。あたしももっと新聞が売れるようになって欲しいからさ」


 リリーの絡んだ注目度の高いイベントで、あたし自身の知名度を上げておきたいって思惑もあるけど。

 首をかしげる記者トリオ。


「協力していただけるのは嬉しいですが、どうしてなのです?」

「新聞記事が面白くて読みたい人が増えれば、ドーラから輸出してる『文字を覚えるための札取りゲーム』が売れるじゃん」

「なるほど!」

「本も重要な輸出品として考えてるんだ」

「フィフィリア嬢の細腕繁盛記ですか?」


 そんなタイトルではなかったけれども。


「フィフィのドーラ西域行体験記も売りたい本の一つだね」

「他にもあると?」

「『輝かしき勇者の冒険』って本があるじゃん?』

「大ベストセラーですね。字の読める子供のための定番です」

「ああ、『輝かしき勇者の冒険』のような児童文学を考えているということですか?」


 子供をターゲットにした本を視野に入れてるのは事実だが。


「んーちょっとニュアンスが違うかな。あの本だと、ドラゴンがすげえ強くて悪い魔物に書かれてるんだよ。ドラゴンみたいな魔物がたくさん住んでるドーラはおっかない場所だと思われちゃう。ひっじょーに迷惑なので、あの本を駆逐したい」

「ええ? どうやってです?」

「『精霊使いユーラシアのサーガ』をヒットさせるんだ。面白い本が勝つ! 打倒『輝かしき勇者の冒険』のために、あたしは伝説を作っていかなきゃいけないんだよね」


 ウ殿下とメルヒオールさんが大笑いしてやがるけど、あたしは大マジだぞ?


「ま、とりあえず識字率上げるところから始めないとね。お互い努力しようじゃないか」

「「「はい!」」」


 帝国本土はドーラよりも識字率が低いらしい。

 人口の多い帝国の識字率が上がれば、あたしも仕掛けようがある。


「ところで今日、審査員って誰が務めるのかな? 記者さん達聞いてない?」

「いえ、何も。運営から聞き出そうとしても、何も教えてくれませんね」

「ひょっとするとまだ決まっていないのかもしれません」


 観客から無作為に選ぶとかか。

 盛り上がるかもな。

 しかし必ずしも運営が中立とは限らないんだよなー。

 審査員と接触するのは禁止でも、運営と接触するのは禁止じゃないってロジックがないではないし。


「波乱要素だねえ」

「む、そうか?」

「リリーはお気楽だなー」


 自分に関わってることなんだから、もうちょい真剣に考えりゃいいのに。

 まーでも疑り深いリリーなんて似合ってないわ。

 何はともあれ、大広場に無事到着。

 ……あたしを突き飛ばして料理を台無しにする、なんて気配はなかったな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ