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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1144話:ラッキーのスターのアンダーに

「サイナスさん、こんばんはー」


 午後は魔境を満喫し、夕食後に毎晩恒例のヴィル通信だ。

 今日も充実した日だった。

 毎日が楽しい。


『ああ、こんばんは』

「今日は輸送隊出発の日なんだっけ?」

『今回はアレクもケスも出だよ』

「そーかー」


 残されたハヤテが寂しそうだな。

 明日は貴公子こてんぱんイベントの初日。

 あたしも帝都で単独行動になるから、うちの子達が灰の民の村へ遊びに行ってもいい。


『輸送隊がレイノスから帰ってくる頃には、スキルスクロール用の紙の試作品ができてるという話だ』

「よーし、そっちも楽しみ」

『そっちじゃない楽しみを聞かせてもらおうか』


 何だかんだであたしの冒険譚を待ち望んでいるサイナスさん。

 何故ならあたしはウルトラチャーミングビューティーだから。

 

「今日はゼムリヤ行ってきたんだ。『雪の精霊』クエストの続き」

『うん。エンターテインメントはどの辺だ?』

「おお、がっつくなあ。草食男子サイナスさんらしくもない。面白くないことでもあった?」

『……今のカラーズのオープン路線に対して、灰の民はどうも消極的だろう? 族長として引っ張っていく自信がない』


 思ったよりヘビーな悩みだったでござる。

 しかし内容についてはわかりみが深い。

 灰の民の消極性については、あたしも歯痒く感じる時がある。


「保守的だよねえ。精霊とともに生きる村だから、お金は暮らせるだけあればいいって言われたことある」

『一方でユーラシアやアレクが活躍しているだろう? 特に若い層には積極的に他の村やレイノスと関わることに賛成する者も多いんだ。村が二分しそうで怖い』

「別に民を割っても不都合ないぞ?」

『えっ?』


 呆けたような声を出すサイナスさん。


「サイナスさんはどこまで聞いてるかな? デス爺はドーラの人口が増えればカラーズがなくなると見ているんだ。で、精霊を引き受ける受け皿を作るために、塔の村を作ったんだってよ」

『も、もう少し詳しく』


 これは聞いてなかったか。

 灰の民の村を任せるサイナスさんには説明しておくべきだったんじゃないの?


「今後ドーラで最大の人口を抱えられるとすると、アルハーン平原しかないじゃん?」

『平地の広さと水利という観点なら当然だね』

「灰の民の村も例外じゃいられない。精霊が生きづらくなっちゃうのは必然ってこと。初めから移民の急増がハゲ頭の中にあったかはわかんないけど」

『うん、とすると?』

「じっちゃんは塔の村と農作物の取り引きを行う、現在の灰の民の村みたいなのを西域に作ろうとしているんだ。そのためには塔の村がかなりの規模になることが必要」

『……塔の村計画とは、精霊全部を引き受けるという含みがあったのか。資源の確保や西域物流の活発化だけではなく』

「じっちゃんは何も言わないからなあ。サイナスさんが知らないくらいだと、コモさんですら聞いてないのかも」


 デス爺は頭いいけど、あんまり他人と相談しない傾向にある。

 聞けば教えてくれるから、秘密主義ってわけじゃないんだが。


『君は何故このことについて知ってるんだ?』

「偶然なんだけど、何でわざわざ異世界からさらってきてまで、精霊使いエルを塔の村冒険者のエースに据えたかってのが問題になったことがあったんだ。その時に聞いた。塔の村の象徴的な存在にして、精霊の認知度や地位を上げたいってことみたい」

『おかしいじゃないか。ユーラシアは精霊使いなのに、どうして塔の村計画に絡まなかったんだろう?』

「あたしはじっちゃんの言うこと聞かないからだって」

『なるほど! さすがはデスさんだな』


 皆が皆そういう反応なんだが?

 全く解せぬ。


「そもそもじっちゃんは守旧派と精霊を最終的に西へ連れていく目論見だから、時間稼ぎができりゃいいくらいに思ってるんじゃないかな」

『ありがとう、大分気が楽になったよ』

「清く正しく美しい美少女の癒しの言葉は効くなあ」

『はいはい』


 軽く流されたぞ?

 つまり清流とゆーことだな。


『君の塔の村経済圏構想も、デスさんの考えに則ったものなのか?』

「あたしは『永久鉱山』のポテンシャルと西域街道の存在から、それがドーラにとって一番いいと思ったんだよ。直接の関係はないな。とゆーかじっちゃんと対立しない考え方だよね。人の数だけ考え方はあってもいいけど」

『すごく賢く思える』

「あたしはすごく賢いんだってば」


 塔の村がドーラの西の極として、亜人との交易を含めて機能するといいな。

 亜人との取引が普通になれば、精霊と共生する村があったって疑問に思う人いないだろ。


『さて、エンターテインメントの方を聞かせてもらおう』

「ゼムリヤで知り合った『精霊の友』の爺ちゃんいるじゃん? メルヒオール辺境侯爵っていう帝国一の大貴族だった。皇妃様の父ちゃんでリリーの爺ちゃん」

『……当たり前みたいにお偉いさんと顔見知りになるなあ』

「ラッキーのスターのアンダーに生まれついてるから」

『当たり前みたいにタメ口なんだろう?』

「うん。でもタメ口には止むに止まれぬ事情があるんだよ」

『どんな?』

「使い慣れない敬語使ったせいで、レベル一〇〇越えのパワーで舌噛んだりしたら大惨事になりそう」


 笑うな。

 深刻な問題なんだぞ。


「明日から貴公子公開処刑イベントじゃん? メルヒオールさんも見たいって言うから、迎えに行かないと」

『やはり可愛い孫娘の将来に関わることとなると、居ても立ってもいられないということか?』

「んー? 面白がってるだけなんじゃないかなあ?」


 メルヒオールさんは、どちらかというとリリーの縁談に前向きなんじゃないかと思う。

 でもイベントについては単なる興味本位だと思うぞ?


「じゃサイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、ちょっと待った。老婆心かもしれんが、君が辺境侯爵と知り合ったことは、早めにパラキアス氏に知らせておくべきだと思う』

「パラキアスさんに?」


 パラキアスさんの工作で打つ手が増えるかもということか。

 葉っぱ入りの紙もメルヒオールさんと近付くためだったしな。

 帝都からすれば遠隔地もいいところだし、まだ付き合いが深いわけじゃないが……。


「うん、そーする」

『じゃあ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『わかったぬ!』


 明日はメルヒオールさんを連れて皇宮だ。

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