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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1137話:対戦の様子がアバウトに決定

 フイィィーンシュパパパッ。


「こんにちはー」

「やあ、精霊使い君。お帰り」


 皇宮に新聞記者トリオを送りにやって来た。

 この土魔法使い近衛兵はいつでも転送先近くにいるなあ。

 仕事熱心とゆーかサボリ熱心とゆーか。


「ドーラはどうだったんだい?」

「見たことのない材料、飲んだことのないお茶。まさに異国でした。雰囲気は帝国内の田舎とそう変わらないんですけれどもね」

「魅力的な国でしたね。魚人の支配領域にも連れていってもらったんです」

「ルキウス様が水を得た魚のように活動していらっしゃいまして。ドーラのことを熱心に調査されているのだなあと思いました」

「明日の新聞が楽しみだな」

「「「お任せください!」」」


 和気あいあい。

 まー商人さん達が一緒だったから、魔物すら見せなかったもんな。

 ドーラを宣伝できてプリンスルキウスの活躍を知ってもらえれば、今日は合格でいいんじゃないの?


「ただなー。喋っちゃいけないことまで大分喋っちゃった気がするよ。新聞が発禁になっても乙女の口が軽いせいにしないでね?」

「「「わかってます!」」」


 アハハと笑い合う。


「基本的にはドーラの産物の紹介でさ。プリンスルキウスと誼を結びに来た商人さん達を、あちこち案内してたんだ。記者さん達も同行してたの」

「ドーラいいところでしたねえ」

「あ、ごめんよ。今日はいいところしか見せてない。厳しい村もあるんだ」


 もう一度記者トリオをドーラに呼ぶ機会があったら、貧しい西域の集落や移民開拓地、聖火教の礼拝堂周りを見てもらってもいいかもな。

 ……それだけじゃ新聞売れる記事にならないだろうから、記者トリオが魔物に追いかけ回される展開を演出してやってもいいニヤニヤ。


「充実した記事になりそうなのかい?」

「それはもう」

「本当に明日の新聞が楽しみだなあ」

「フィフィリア様が冒険者になっているというのは、かなり意外でしたね」

「えっ? フィフィリア嬢が? 追放令嬢の?」


 あっ、記者トリオがこっち見てやがる。

 フィフィ冒険者になるの巻はかなり端折ったからな。

 もう少し聞きたいのか。

 悪知恵の働くこと。


「フィフィは追放令嬢って言われてるのか」

「目立つ令嬢ですからね。全然姿を見せなかったので、ドーラ行きと知れたのはそれだけで記事ネタになるのですが」

「ネタにもっと肉付けしろって? しょうがないなー。あたしもお肉大好きだから、気持ちがわからなくはないよ」

「もったいつけないで聞かせてくれよ」


 あんまり長引かせるのもお約束違反か。

 サボリ君に話した範囲と記者トリオが知ってる範囲がズレてるから話しづらいな。


「大雑把に行くよ? フィフィの性格はドーラでは許されんから、ちょっと丸める目的で強歩三日の道のりを歩かせて苦労させました。魔物に襲われたら冒険者になりたいと言いました」

「えっ? 何故?」

「経済的事情だね。収入が最低限の帝国債しかないみたいだから」


 相当怖い目に遭ってるのに、すぐに冒険者やるって切り替える感覚と根性は結構すごい。


「いや、ステータス的には、フィフィが冒険者に向いてるなんてことは全然ないんだよ。でも生活費どうすんだって話になった時、私も冒険者になれば稼げるのですね? なんて言い出してさ」


 執事達にやらせるんじゃなくて自分でやるっていうのも、貴族令嬢にない発想なんじゃないだろうか?


「ムリなものはムリでしょう?」

「普通ならね。ただフィフィ付きの執事さんがレベル二桁あってある程度剣を使えるし、下男の子が『頑強』っていう前衛向けの固有能力持ちなんだ。フィフィが後衛で魔法を使いこなせれば十分冒険者として通用する」

「魔法って……」

「ドーラでは攻撃魔法も回復魔法も売ってるの。能力よりも精神的に強くてめげないっていうかがめつく儲けようとする姿勢というか。メンタルが模範的冒険者なんだわ」

「査定の仕方が特異的だなあ」

「かもしれんけど」


 マッドオーロックスに散々追いかけ回された後すぐに、共闘してもらえばなんてのたまうごっつい神経も、そんじょそこらの令嬢にはないと思うぞ?


「今後楽しみだよ」

「続報を期待してますよ」


 詰め所に到着。


「こんにちはー」

「おお、ユーラシア。待ちかねたぞ!」


 リリーと黒服、ウルピウス殿下もいる。


「言っておかねばならぬことがあるのだ」

「うん、聞かせて」

「ワイバーンの卵はあるか?」

「そう来たかー。ごめんよ、今日は魔境行かなかった」

「残念だの」


 マジで残念そうだな。

 眉毛下がってるじゃねーか。

 ウ殿下が言う。


「リリーのパートナー候補との対戦についてだが、明後日が『力』、三日後が『知』、四日後が『技』の勝負となった」

「ははあ、毎日テーマが違うんだ? 同じ勝負にすると見物人もつまらないからだね?」

「それぞれ得意とする分野も異なるからな。『力』がヘルムート、『知』がピット、『技』がライナーだ」


 大貴族の子弟であるヘルムート君やライナー君は剣術なり体術なりの心得が当然あるだろうけど、商人後継ぎのピット君が武勇勝負じゃ公平じゃないもんな。

 しかし?


「『力』と『技』は何となくどういう勝負になるかわかるけど、『知』って言われても困っちゃうぞ?」


 本の速読勝負になったら絶対寝ちゃうし。


「勝負内容については、イベント初日に決めることになる」

「てことは初日の『力』については考える時間なし、即興だね?」

「そうだの」

「何時から?」

「三日間とも朝一〇時からだぞ」

「あと聞いておかなきゃいけない重要なことといえば……お昼御飯出る?」


 笑いどころじゃないんだが。

 新聞記者が確認する。


「明後日から三日間にわたって帝都中央大広場で対戦。初日が『力』の勝負でお相手がアーベントロート公爵家ヘルムート様、二日目が『知』の勝負で老舗『ケーニッヒバウム』のピット様、三日目が『技』の勝負でツムシュテーク伯爵家ライナー様で間違いないですね?」

「うむ」

「明日は皇宮に来られないと思うんだ。これ決定でいいんだよね?」

「決定だぞ。もし変更があったらユーラシアに配慮するから問題ない」

「楽しい予定が入ると嬉しいなー」

「度胸がありますねえ」

「お昼御飯支給だしなー」


 アハハと笑い合う。


「じゃ、明後日九時頃来るね」

「うむ、待っておるぞ」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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