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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1136話:新聞記者トリオに吹き込む

「ただいまー」

「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 プリンスルキウス及び商人さん新聞記者トリオとともに、行政府大使室に戻ってきた。

 そして飛びついてくるヴィル。

 よしよし。


「じゃ、あたし達は新聞記者さんを送って帰るね。ドーラの産物をよろしく」

「ああ、またね」


 ん? パラキアスさん、何?


「ユーラシア。知事室の方へ来てくれないか?」

「いいけど、記者さん達いても大丈夫?」

「どうせぶっちゃけてきたんだろう? ならば構わない。昼食を用意してある」

「やたっ! いただきます!」


          ◇


「ごちそうさまっ! 満足です!」

「魚のフライにかかっている白いタレは何ですか?」

「これまよねえずっていうんだ。酢と卵の黄身と食用油で作るの」

「へえ、おいしいですね」


 うむ、まよねえずは美味い万能調味料。

 腐らないような加工が可能なら売り出せるし、帝国に輸出もできるのになあ。

 感心している記者トリオに意地の悪い視線を向けるパラキアスさん。


「彼らはどこまで知ってるんだ?」

「ドーラ独立の裏側、第二皇子と悪魔バアルの繋がり、ソロモコと魔王についてまでは話したよ。金髪ブタ男爵の屋敷へココちゃん誘拐しに行った時、一緒について来た新聞記者が彼ら」

「「「誘拐じゃないですよ!」」」


 誘拐だろーが略取だろーが、些細な違いはどうでもいいのだ。

 話してないところを話しておく。


「第一皇子が亡くなりました。皇帝陛下は病に臥せっています。次の皇帝は誰ですかって問題は出てくるじゃん?」

「実に不謹慎ですねえ」

「あたしも不謹慎って意識はあるから、リリーの前ではこれ話さないことにしてるんだ」


 持っていったワイバーンの卵は皇帝陛下に食べてもらえただろうか?


「記者さん達に聞きたいな。次代の皇帝有力候補は誰って話になってるのかな?」

「皇位継承権一位のセウェルス様、主席執政官としての実力があるドミティウス様、皇位継承権二位で現在のカレンシー皇妃の長男であるフロリアヌス様が三強で、最近評価の高まっているルキウス様が加わってきた情勢です」


 うむ、完全に予想通り。


「ここで問題です。お葬式の前、有力候補の一人プリンスが小型船に乗って本土に帰還します。他の有力皇子はどうしたくなりますか?」

「ま、まさか?」

「そう、記者さん達の考えてる通り。目撃者のいない海の上で始末したくなるよね? この前の侍女誘拐事件の主犯、眠らせる能力者ノアはその刺客だよ。襲ってきたとこをとっ捕まえたの」

「「「!」」」


 驚愕する記者トリオ。


「そ、そんな……」

「ノアは妹ココちゃんを人質に取られてやらされてただけだけどね」

「いや、待ってください。ルキウス様が次期皇帝の有力候補と目されるようになったのは、帰国してお姿を見せてからのことですよ?」

「いいところに気付いたね。注目される以前からプリンスを警戒してたのは誰ですか? 実際のところ政治手腕を考えると、即位直後から問題なく帝国を統治できるのは、第二皇子と次席執政官だったプリンスルキウスの二択なんだよね」

「ドミティウス様がルキウス様を?」

「いや、もちろん証拠はないの」


 第二皇子の与党金髪ブタ男爵と何やら子爵はかなりクロに近いけれども。

 記者の一人が思いついたように言う。


「……刺客であるはずの眠らせる能力者が、何故ユーラシアさんと行動を?」

「ノアは実行犯だったかもしれないけど、妹ココちゃんを握られてたっていう酌量すべき事情があるじゃん。あたしは心が広いから、罪を憎んで人は憎まないぞ?」

「となると、あの時押し入った屋敷の所有者ハインリヒ男爵は? ドミティウス様に近いと考えられている方ですが」

「ちょっと事情がわかってきた? ヨーナスとかいう子爵と金髪ブタ男爵が第二皇子の派閥で、マリーベル商会を介して繋がってる。そのマリーベル商会がプリンスを害そうとした直接の主体と考えられるんだけど」

「マリーベル商会を寝返らせることに成功した。ヨーナス子爵とハインリヒ男爵も時間の問題だ」


 パラキアスさんがぶっ込んでキター!

 あたしに知らせたいことはそれか。

 記者トリオを丸め込めって?

 了解。

 でもドーラ政府がプリンスと組んでるとは言えないだろーが。

 話すことが限定されちゃうわ。

 無責任だなまったく。


「寝返らせる、とは?」

「もうマリーベル商会がプリンスルキウスの敵に回ることはなくなったってことだよ。ドーラ政府としてはさ、プリンスが暗殺されてその責任を問われたら困っちゃうじゃん? 吹けば飛ぶよーな小国なんだから、帝国に睨まれるわけにはいかない」

「理屈はわかります」

「考えられる危険は排除しておくってことだよ」


 今言えるのはここまでだぞ?

 あっ、まだパラキアスさんが悪い顔してる。


「ユーラシアは次の皇帝誰がいいとか、希望はあるのか?」


 だからストレートに振ってくるな!

 記者トリオの目がキラキラしてるだろーが。

 えっ? 昼食分は働け?

 あたし個人の考えなら話してもべつに構わないって?

 何て悪いやつなんだ。


「さっき名前の挙がった四人の皇子の内、あたしが会ったことあるのはプリンスルキウスだけだぞ? プリンスは人当たりいいし親切だから、皇帝になってくれたら嬉しいなとは思う」


 頷く記者トリオ。


「第三皇子は評判悪過ぎない? 常識で考えて支持のない人じゃ国が治まらんでしょ。ウルピウス殿下とリリーの同腹の兄ちゃんは、判断材料がないな。有能な人だとは聞いてる」


 大いに頷く記者トリオ。


「第二皇子は……まーでも戦争はよろしくないよ。ものすごいおゼゼ使うじゃん。ほぼ例外なく税金高くなっちゃうぞ?」

「そうですね」

「死んじゃった人は戻ってこない。その人が後の人生で残すはずだった財産、構想、子孫などなど全部パー」

「仰る通りです」

「戦争したがる皇帝は好きじゃないな」

「「「……」」」


 おいおい、マジな顔になってきたぞ?

 あんたらゴシップ紙の記者だろ。


「記者さん達もジャーナリストとして思うところあるかもしれないけど、筆が滑ると新聞廃刊になっちゃうかもしれないから注意ね」

「わかっております」


 ちょっと焚きつけてやった。

 悪いやつが悪そうな笑みを浮かべております。


「じゃ、あたし達は帰るね」

「ああ、御苦労様」

「記者さん達行こうか」


 転移の玉を起動して帰宅する。

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