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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1124話:こら、心を読むのやめろ

 フイィィーンシュパパパッ。


「オニオンさんこんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん」


 隙間時間を利用して魔境にやって来た、勤労精神旺盛なあたし。

 今日は皇宮でリリーと待ち合わせなのだが、どうせ午後にならないと起きてこないだろうから。

 あたしの単独行動が多くなってきている現在、魔境探索はうちの子達とコミュニケーションを取る重要な機会でもある。


「近頃は何か刺激的な出来事はありますか?」

「おお、オニオンさんも聞き方が雑になってきたね」


 そーだ、せっかくだから。


「じゃーん。大悪魔登場!」

「ハッハッハッ、吾を崇めるがよい!」


 ナップザックからバアルの籠を取り出した。

 バアルにも相談してみよ。


「最近おっぱいさんから毛色の変わったクエストもらったんだ。『雪の精霊』っていう」

「『雪の精霊』?」

「うん。生まれたばかりの精霊が罠に捕まってて抜け出せなくなってたから助けた。そこまではいいんだけどさ、クエスト完了にならないんだよね」

「変ですね? となると精霊トラブルは導入でしかなくて……」

「より愉快なトラブルが吾が主を待ち受けるのである」

「現地がゼムリヤってとこなんだ」


 やっぱ二人とも何かあるという見解か。

 どんなことが考えられるだろう?

 オニオンさんは『アトラスの冒険者』のギルド正職員としての意見があるだろうし、バアルはゼムリヤのことを知ってるかもしれない。


 オニオンさんとバアルが首をかしげる。


「ゼムリヤ……確かカル帝国の北端でしたか?」

「そうそう、地図でいうとここ。帝国本土から北に突き出た半島みたいになってるところ」

「リリエンクローン辺境侯爵家の封地であるな。代々の領主が有能であり、付け入る隙がなかったである」

「こら、付け入る隙とかゆーな。バアルらしくて面白いけれども」

「変ですね?」


 ふむ?


「オニオンさんはどこが変だと思う?」

「精霊関係のワンテーマクエストだったらわかるんですよ。手すきのユーラシアさんに手早く片付けてもらってという意図が見えますから。しかし長引くとなると、皇宮やソロモコの件にも影響が出かねないでしょう?」

「あたしも漠然と変だなって思ったんだ。オニオンさんがそうまとめてくれるとスッキリするなあ」


 モヤモヤしてた理由が可視化した。

 皇宮クエストであたしが人脈を築くことは、今後のドーラにとって重要なことだと思う。

 ましてや一つ間違えると人魔大戦になりかねないソロモコクエストの重要性は言わずもがな。

 おっぱいさんは当然わかってるはずだし、じゃあ精霊のオンリーで終わらないクエストをくれたのは何故だろう?


「これ、依頼受付所で直接もらった石板クエストなんだ。その時ソル君達もいたんだけど、わざわざいなくなってから出してきたの。だから初めからチラッとおかしいなと思ってたんだ」

「サクラさんはある程度、内容を理解していたのでしょう。おそらく総合的に鑑みて、ユーラシアさんに回すクエストと判断したのだと」

「精霊案件ってだけじゃなくて、笑える方向に転がるってことだな?」


 どんな風にだ?

 バアルがおもむろに言う。


「皇宮の事情が絡むのではないか?」

「どゆこと?」

「ゼムリヤは、今は付け入る隙があるのである」

「……後継者に関することで?」

「正解である。辺境侯爵家の現在の当主メルヒオールには、皇妃カレンシーしか子がないである」


 やはりバアルも後継者がウィークポイントと見るか。

 皇室の人間関係を考えると、ゼムリヤの辺境侯爵家が絡んでくるから。

 皇宮クエストを円滑に進めるために、『雪の精霊』のクエストをこなしておけということらしい。


「ちなみに辺境侯爵家の後継者って、順当に行くと誰になるの?」

「血統の面からは当代の弟妹の子のいずれかであろうか。皆凡庸であるぞ。吾も名を覚えられないほどである」

「うーん。ゼムリヤって難しいエリアなんだよね」

「地政学的にということですか?」

「地図を見ればねえ。凡人じゃ治まんないと思う」

「そうした含みがあって、ユーラシアさんに介入しろというクエスト?」

「ええ? 穿ち過ぎじゃないかな?」


 想像だけで広げた話で、何の根拠もないぞ?

 おっぱいさんも単に精霊案件だからってだけで振ってくれて、長引くと思ってなかったのかもしれないし。


「で、バアルは何でこれが皇宮の事情に絡むと見るのかな?」

「皇妃カレンシーにはフロリアヌス、ウルピウス、リリアルカシアロクサーヌの三人の子がいるであろう?」

「三人の内の誰かが辺境侯爵家を継ぐこともあり得るのか」

「能力から妥当だと考えるである」


 オニオンさんが眉を顰める。


「難しいと思われます」

「うん、その心は?」

「順当ならば辺境侯爵となれる可能性の高い、弟妹の子達が黙ってはいないでしょう?」

「わかるわかる」

「皇子皇女が臣籍降下する例もなくはないです。その場合は公爵とするのが通例でしょう。しかし公爵に格上げして継ぐとなれば、必然性なり功績なりがありませんと」

「むーん、難しいな?」

「冗長であり非合理である。優れた存在が統治するべきなのである」

「ごもっとも」


 悪魔の方がまともなこと言ってるってどういうことよ?


「いや、これまだどうなるかわかんないクエストなんだよ」


 コユキの方で何かあるから、クエスト完了にならないという可能性もあるしな?


「精霊案件として継続する事象がある未来を否定できぬではあるが、それ以上に辺境侯爵家が関係せぬなどとは考えられぬである。何故なら吾が主のクエストであるからである」

「すげえアバウトな理由きたな?」

「御主人だからだぬ!」


 あれ、ヴィルまで賛同してるぞ?

 オニオンさんもうちの子達も盛んに首を縦にコクコクしてるし。

 全員あたしが華麗にトラブルを解決するって認識なのな?


「トラブルホイホイという認識なのである」

「こら、心を読むのやめろ」


 あたしがあまりにも素直だから、プリティフェイスに出ちゃうんだろうか?


「プリティフェイスに出ちゃうんだぬ!」

「こら、心を読むのやめろ」


 大笑い。

 フラグが立ってしまった。

 どうやら皇宮と辺境侯爵家にもう少し深く関わることになりそう。


「ま、いいや。稼いでくるね」

「行ってくるぬ!」

「行ってらっしゃいませ」


 ユーラシア隊及びふよふよいい子出撃。

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