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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1108話:ワイバーンの卵たくさん拾っちゃうデー

 ――――――――――一九三日目。


 フイィィーンシュパパパッ。


「オニオンさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「いらっしゃいませ、ユーラシアさん」


 朝も早よから魔境に通うウルトラチャーミングビューティーなあたし。

 こーゆー感心なところがあるから、神様もあたしを贔屓せざるを得ないんだろう。

 まあやりたいことはたくさんあるんだが、今日はプリンスルキウスを連れて海の王国へ行く日。

 肉狩りに行くまでの空き時間にできることとなれば限られているのだ。


「プリンスはもうドーラに帰ってきたんだよ。昨日迎えに行ったんだ」

「帝都でルキウス皇子はどうだったですか?」

「バッチリ。ハイレベル『威厳』が効きまくりだったんじゃないかな。大人気で、謁見を求める人が行列みたいな感じだったみたい」

「ほう、ならばルキウス皇子を後押しする計画は順調ですね」

「そーだね。商人達と面会する時間がなくて、ドーラで会うみたいなんだ」

「えっ? しかしドーラには……」


 うむ、オニオンさんも輸出品目が足りないことはわかってるからな。

 来た商人達をどう納得させるかがカギになる。

 サイナスさんのアイデアを活用すべし。


「で、今日プリンスと海の王国行ってくるの」

「なるほど、海の産物も輸出にということですか」

「そうそう。もちろん海の王国も帝国への輸出を見据えて準備してたなんてことはないから、間に合わせくらいにしかならないと思うけどね。何か新しいもの出てこないかなーくらいの期待度」


 海の女王は協力的だからな。

 帝国の需要がわかると、海の王国でしか産しない変わったものを供給してくれるかもしれない。

 後々の楽しみだ。


「今輸出品が揃わないことはどうしようもないんだけどさ。あたしがよく相談してるカラーズ灰の民の族長に、『ドーラの地図を見せてやれ』って言われたんだ」

「ドーラの地図、ですか?」


 首をかしげるオニオンさん。


「ノーマル人居住域なんて、ドーラのほんの一部に過ぎないじゃん?」

「ははあ、潜在力を見せつけろということですね? 今から付き合っておけば、将来いい目が見られるかもしれないぞと思わせる」

「そゆこと! 場合によっては商人さん達を魔境に連れてくるかもしれないから、その時はよろしくね」

「魔境もまたドーラのウリというわけですか」

「うん。オニオンさんわかってる!」

「わかってるぬ!」


 ヴィルいいぞ。

 照れるオニオンさん。

 でも今回はレベル上げでもアトラクションでもないから、魔境の優先順位は低いけれども。


「今日ユーラシアさんの魔境テーマは何でしたか?」

「特にないけど、ワイバーンの卵が欲しいな」

「ハハッ、食欲優先ですか。行ってらっしゃいませ」

「行ってくる!」

「行ってくるぬ!」


 ユーラシア隊及びふよふよいい子出撃。


「姐御、今日はどうしやす?」

「ワイバーンの卵が先かな。女王とプリンスの好物だし」


 あとで海の王国へ昼御飯を食べに行くので、食材を調達しなければ。

 肉狩りも行かなきゃいけないから、あんまり魔境でゆっくりもしてられないのだ。


「もちろんコブタ肉の重要性がさらに高いから、時間で切り上げるよ。卵が簡単に手に入ったらグリフォンをもふりに行こうか」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」


 素材を回収し、ザコを倒しながらワイバーン帯へ。

 クララが言う。


「ユー様はその商人達を魔境に案内するつもりなんですか?」

「うーん、実は迷ってるんだ。人数にもよるかな」

「人数?」

「プリンスが新たに付き合ってもいいと考えてる商人は三、四人らしいの」


 うちのパーティーとプリンス、プラス三人までなら、新しい転移の玉で一度に運べる。

「今んとこ魔境で手に入って輸出に回せそうなものって、魔宝玉とグリフォンの羽毛布団、『逆鱗』『ワイバーンの爪』みたいな素材くらいのもんでしょ?」

「そうでやすね」

「だから商人さんを魔境に連れてくるメリットはある。特にグリフォンと仲良しのところは見せてやりたいねえ。インパクト強いから」


 でも素材はパワーカード工房に売りたいしな?

 グリフォンの羽毛布団はまだ完成品が見えてこない。


「プリンスを連れてくるのはホワイ?」

「魔境でもビビんないプリンスすごい、って評価になんないかなと思って。わざわざプリンスが同行するなら印象もいいだろうし……」


 商人さん達をあちこち連れ回すにしても、プリンスの同行は絶対条件だ。

 大使として就任したばかりだが、ドーラのことをよく理解している。

 すなわち有能、ってふうに思わせたい。


 が、やはり魔境はやめておいた方が無難かな?

 どー考えてもあたしが目立っちゃう。

 昨晩サイナスさんが言っていた、あたしが目立ち過ぎてプリンスの印象が薄くなるという状況がひっじょーによろしくない。

 プリンスがついて来る意味がなくなってしまう。


「ちなみに今後の天気はどうなの?」

「トゥデイズナイトからグズツクね。降ったりやんだりね」

「ふむふむ、ドーラにしては珍しい」


 行動が制限されそうだな。

 商人さん達が早船ですっ飛んでくるとすると、おそらく三日後以降か?

 いや、プリンスが転移で戻ってるなんて知らないから、もう少し日が経ってから来るか。

 天気が落ち着いてるといいけど。


「ワイバーンです」


 雑魚は往ね一閃!


「やたっ! 一発で卵だ! 幸先がいいなあ」


 爪を外しながらアトムが言う。


「姐御、卵を拾い過ぎる罠かも知れやせんぜ?」

「えっ、そんな罠ある?」

「あるぬ!」


 えらくおかしなフラグが立ったぞ?

 最近フラグは皆回収するしな?

 うちの子達の表情からしても、次々と卵ドロップするに違いない。

 無限ナップザックあるし、プリンスにもお土産として持っていってもらえばいいから特に困りはしない。


「とゆーわけで、どうやら今日はワイバーンの卵たくさん拾っちゃうデーのようです。まああたし達のことだから、あり得るんだと思います。まずはこれからドラゴン帯に入り、グリフォンを可愛がります。その後ワイバーン帯に戻って、時間まで卵拾いしましょう」

「「「了解!」」」「了解だぬ!」


 でもってその後、宣言通りの行動と相成りました。

 今日はワイバーン四体と戦って卵五つゲットだぞ?

 どんな確率だ。


 転移の玉を起動し、ちょこちょこ緑が芽吹き始め、春の訪れを感じさせる魔境を後にして帰宅する。

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