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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1106話:恋愛レボリューションに幸あれ

 フイィィーンシュパパパッ。

 再びギルドにやって来た。


「ポロックさん、こんにちはー」

「こんにちはぬ!」

「いらっしゃい、チャーミングなユーラシアさん。ヴィルちゃんもいらっしゃい。まだラルフさんがいるね?」

「今日は一日師匠のお供です」

「お供は緑髪に限るね」

「限るんだぬ!」


 アハハと笑い合う。


「儲かりそうなアイデアをラルフ君が思いついたんだ」

「ユーラシアさんがやる気ということは、ドーラが儲かるということだね?」

「そうそう。ラルフ君偉い。試作品作ってみたいの。ペペさん、まだいるよね?」

「いるはずですよ」


 ギルド内部へ……って、あれ?

 依頼受付所にさっき見たばかりの後姿が。


「おっちゃん、何やってるの?」

「おお、超絶美少女精霊使いよ。御機嫌麗しゅう」


 片眼鏡の杖職人ナバルのおっちゃんでした。

 いや、おっちゃんにも連絡取らなきゃと思ってたから都合はいいけれども。


「先ほどの注文の、ジュエルに燿竜珠をあしらったケヤキの大杖だ!」

「えっ?」


 完成が早過ぎね?

 あれ、でもすげー風格があって格好いいじゃん。

 宮廷魔道士長ドルゴスさんが持ってたら映えそう。


「いや、趣味として作っていたものが、図らずも注文にピッタリだったのでな。急ぎ仕上げてサクラ嬢に献上しに来たのだ」

「献上品ではないけれども」


 おっぱいさん困ってんじゃねーか。


「ま、いいや。いくらかな?」

「一万六〇〇〇ゴールドだ」

「注文主が帝国の宮廷魔道士長だからもうちょっと……」

「二万ゴールドだ」


 被り気味にすかさず値段を上げてくる片眼鏡。

 うむ、それでこそ。

 儲けるところは儲けて欲しいのだ。

 個人が金持ちになってどうこうの問題だけじゃなくて、外貨を獲得することでドーラ全体の通貨量を増やしたいから。

 二万ゴールドを支払う。


「おっちゃん。ものは相談なんだけれども、装備してればある魔法を使えるようになる杖って作れるよね?」

「付属魔法ありの魔道杖だな? もちろん。最近流行ではないけれども」

「ペペさんの『アクアクリエイト』っていう、水を作る魔法があるんだ。それを使えるようになる杖を試作して欲しいの」

「は?」


 わかるまい。

 攻撃魔法でも回復魔法でもないからな。

 冒険者に必要なものではないのだ。

 あーだこーだと説明する。


「……なるほど、生活に有用な魔法を使用できる杖ということか」

「うん。もちろんスクロールの方がうんと安いんだけどさ。誰でも使える気軽さがいいでしょ?」

「これまでにない視点だな。さすがは超絶美少女精霊使い、やるではないか」


 残念ながら原案はあたしじゃなくてラルフ君だけれども。


「ふむ、面白い。一般向けとあらば、より簡単に使えねばならんな。短杖よりさらに短く、どこから水が出るかわかりやすい形状にすべきか」

「おっちゃんわかってる!」

「ハハッ、樹種は何でもいいな。大量にある乾燥木材が一掃できるかもしれぬ」

「ペペさんとこ打ち合わせに行こー」


 おっぱいさんにさよならしてお店ゾーンへ。


「む? ペペちゃん寝てるではないか」

「いつも寝てるよ」

「どうするのだ? 起こすのは可哀そうだろう?」

「余計な気遣いは必要ないんだぞ。たのもう!」

「たのもうぬ!」

「ふあっ?」


 飛び起きる見た目幼女魔道士(三八歳)。


「あっ、ユーラシアちゃんとナバルさん?」

「水魔法の収入ちゃんと入ってきてる?」

「すごく! おいしいものがたくさん食べられるようになったの! 嬉しい!」

「よかったねえ。ペペさんにさらなる儲け話を持ってきたぞお!」

「ありがとお! 何かしら?」


 ニコニコ顔のペペさんに説明する。


「魔法を使える杖ってあるじゃん? あの理屈で『アクアクリエイト』の杖を売ろうと思って」

「ああ、だからナバルさんがいるのね?」

「そゆこと。杖さえ持てばあら不思議、あなたもインスタント魔法使い計画だよ」

「わあ、楽しそう!」


 ホントに無邪気な笑顔だよ。

 こんなのがカル帝国宮廷魔道士長を驚かせるくらいの天才魔道士だっていうんだから、世の中まことに不条理だ。


「プリンスルキウスの反応がよかったんだ。値段が張るしおっちゃんの生産限界もあるから、スキルスクロールほど数は出ないけど、結構ヒットすると思うんだ」

「そうなの?」

「うん。『アクアクリエイト』のスクロールと同じで、やっぱり杖一本売れたらペペさんの儲けは一〇〇ゴールドでいい?」

「十分よ」

「ギルドが仲介して出荷する形になるから、ギルドの儲けも一〇〇ゴールド見よう。とゆーことを踏まえて、試作品、量産品の値段いくらになるかな?」


 片眼鏡が腕を組む。


「量産品で樹種も選ばないとなれば卸値一八〇〇ゴールドだな。しかし試作品は四〇〇〇でどうだ?」

「オーケー。それでお願いするね。今払っとくよ。ペペさんには一〇〇ゴールドね」

「ありがとう!」

「……え? 今なのか?」

「何なの。試作品は今度取りに行くよ。いつできる?」

「……え? 取りに来るのか?」


 だから何なんだ。

 大体想像はできるけれども。


「サクラ嬢に会えないではないか」

「まーおっぱいさん関係だと思ったけれども。試作品まではギルド関係ないんだからしょうがないじゃん。一本おっぱいさんにプレゼントしてあげれば?」

「水魔法の杖をか? 喜んでもらえるだろうか?」

「全ての女の子は魔法少女に憧れて成長するんだよ」

「ナバルさん、間違いないですよ!」


 あれ、でまかせ言ったったのに、ペペさん謎のプッシュだ。

 魔法少女を拗らせるとこんなんなっちゃうのかな?

 まあいい、あとは片眼鏡とペペさんにお任せだ。


「じゃ、おっちゃんペペさん頼むね」

「明後日には完成するぞ」

「わかった、明後日昼過ぎに依頼受付所で待ち合わせよう」

「おお、さすがに超絶美少女精霊使い! 話がわかるではないか」

「わかるんだぬ!」


 大笑いして解散する。

 おっぱいさんの顔を拝む機会を作ってやるから、気持ちよく仕事してちょうだい。


「師匠、今日は大いに勉強になりました」

「こっちこそナイスアイデア出してもらって助かったよ。そーだ、お肉あげるから皆さんで食べてね」


 ナップザックから出した冷凍コブタ肉を渡す。


「ありがとうございます」

「じゃあね。ラルフ君とヒルデちゃんの恋愛レボリューションに幸あれ!」

「バイバイぬ!」


 転移の玉を起動し帰宅する。

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