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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1092話:明日は『雪の精霊』

「サイナスさん、こんばんはー」


 毎晩恒例のヴィル通信だ。


『ああ、こんばんは。今日、帝都は第一皇子の葬儀だったんだろう?』

「そのはずだね」

『帝国には行ってないのかい?』

「あとからフラグを立てるのやめてよ」


 お葬式であたしが活躍する展開になったら、極めて面白くなっちゃうだろーが。

 あたしの主人公体質舐めんなよ?


「厳粛な雰囲気は背中がかゆくなっちゃうから、あたしには向いてない」

『実に納得できる』

「……あんまり簡単に納得されちゃうのは納得いかないんだよね」

『何なんだ君は』


 何なんだってか?

 そーです、あたしがウルトラチャーミングビューティーです。

 そもそも帝国皇族のお葬式に、ドーラの平民であるあたしが出席できるもんじゃないだろ。

 第一皇子と面識があったわけでもないし。


「明後日プリンスルキウスを迎えに行く予定だよ」

『リリー皇女は?』

「リリーはわかんないんだなー。プリンスみたいにドーラに帰ってこなきゃいけない理由があるわけじゃないじゃん?」

『ふむ、とすると?』


 長く姿を見せなかったリリーが現れると、いろんな人の思惑の中心になるのではないか?


「リリーは帝国では大人気なんだよ。ドーラにおけるあたしみたいな存在で」

『……今一つわかりづらい表現なんだが』

「そお? ウルトラチャーミングビューティーイン帝国なんだよ」

『さらにわかりづらくしてるだろう?』

「リリー様地方で御静養説が流れてるの。なのに元気な姿を見せちゃうと、リリーのところには縁談が殺到しちゃうと思うんだ」


 多分ね。

 もっとも皇妃様が呪殺されかかるくらいだ。

 リリーにだって敵はいるはずで、帝都の情勢はより複雑になる。

 

「明後日皇宮行った時、様子聞けばわかると思う」

『白の民の白魔法使いの方はどうなったのかな?』

「やっぱり『アトラスの冒険者』に復帰するのはムリだった」

『からの?』


 サイナスさんはあたしのことを理解してるなあ。

 ちゃんと続きがあるとわかってる。


「今月の『アトラスの冒険者』の新人が開拓地の移民から選出されてるんだ。その人がゴリ押し前衛型のステータスなんだよね。パーティー組んでもらうことにしたよ」

『めでたしだな』

「結果としてはね。ただ新人のゴリ押し君が、『アトラスの冒険者』にあんまり乗り気じゃないみたいだったの」

『どうして?』

「帝国は人の住んでるところに基本魔物なんかいないじゃん? 危険を冒してまで冒険者やるメリットがないって考えがあるんだと思う。皆が畑仕事してるのに遊んでられないって意識もあったんだ」

『突然エンジョイ冒険者が目の前に現れたからじゃないか?』

「何てことをゆーんだ。否定できないじゃないか」

『美少女遊び人冒険者が目の前に現れたからじゃないか?』

「さらに肯定せざるを得なくなったぞ?」


 アハハと笑い合う。


『問題はなさそうなんだな?』

「言い聞かせてきたからね」


 今後ブローン君には、相棒のミラ君が『アトラスの冒険者』のメリットについて話すだろう。

 経験を積むほど視野は広がるしな。

 ミラ君もレベルが上がれば白の民に喜んでもらえるだろ。


「過去脱落しちゃった『アトラスの冒険者』の名簿をもらえることになったんだ。ここ七、八年のだけど」

『結構長い期間だな。冒険者としてやれるだけやって見切りをつけた者もいるかもしれない』

「あっ、そーかな?」


 あたしは七、八年くらいでお肉を狩らなくなることは考えられんけれども。

 でもギルドまで行けたら脱落って言わないよな。

 じゃあ名簿に載ってるのはレベル一、二の人ばっかりだろ。


『脱落者名簿はどうするんだ?』

「人材掘り起こしに使おうかと思って」

『ふむ、『アトラスの冒険者』に選ばれるような者は優秀だから、か?』

「あたしも含めてね」

『どうしてそこで疑惑のワードを挟んでくるんだ』

「挟んだのは真実のワードだわ。これっぽっちも疑惑の要素は含まれとらんわ」


 まったく失礼な。


「あたしもどれだけ関われるかわかんないけどさ。ミラ君みたいな『白魔法』持ちなんて人が埋もれてたらドーラの損失じゃん?」

『明らかにな』

「他にも使えそうな人いたら救っときたい」

『しかし名簿だとステータスでしか判断できないんじゃないか?』

「まーね」


 サイナスさんの言いたいこともわかる。

 名簿上のスペックでその人がどういう人間かなんて把握できないしな?


「確実に取りこぼすと損な人材を拾えると思えばいいかと思ってさ」

『大雑把にってことか』

「そうそう。運のいい人だけ敗者復活」


 あたしができるのはその辺までだろうな。

 ……急に暇になった時、ランダムに会いに行くのも面白いかもしれない。


「最後にもう一つ、ちょっとそそられるクエストをもらったよ」

『どんなやつだ?』

「『雪の精霊』っていうの。精霊関係だからだと思う。これも外国だって」

『ほう? 興味は引かれるが、内容はわからないな』

「『アトラスの冒険者』の石板クエストは、名前から内容がわかんないの多いんだよね。場所名のやつはともかく、今回のみたいなのもさ」

『アバウトな分だけ想像すると楽しいんだろう?』

「当事者としては情報が欲しいんだよ。せめてバトルがあるのかないのかくらいはさ」

『聞けないのか?』

「これ配ってるのおっぱいさんなんだ。でもおっぱいさん自身は冒険者じゃないから、詳しくは知らないと思う」


 まさか自分で転送先をチェックしてるなんてことはないだろうしな。

 推奨レベル他の基本情報と、名から察せられる雰囲気で分配してるに違いない。


『しかし外国へ行けるのはいいじゃないか。羨ましいぞ?』

「あ、じゃあサイナスさんも行く? 帝国皇宮みたいに不敬罪で首ちょんぱってことも、ソロモコみたいに無礼働いて原住民が殴りかかってくることもないと思うよ。高レベルのあたしんとこへ振られるやつだから、それなりにヤバいクエストだと思うけど」

『全力で拒否する』

「遠慮深いなあ。一ヶ所くらい我が族長様を招待したいんだけど。あたしのドキドキ魔境ツアーは完成されてきたと評判だよ?」

『全力で拒否する』


 サイナスさんはヘタレだから。


「じゃ、サイナスさん、おやすみなさい」

『ああ、おやすみ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『了解だぬ!』


 明日は『雪の精霊』行ってみるべし。

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