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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1089話:慟哭のマルガレーテ

 フイィィーンシュパパパッ。

 ミラ君を送ったあと、ギルドにやって来た。


「やあいらっしゃい、チャーミングなユーラシアさん」

「こんにちはー、ポロックさん」

「夕御飯には早い時間帯だね?」

「ギルド何日かぶりなんで、顔忘れられてると困るなーと思ってさ。チャーミングな笑顔を振り撒きに来たんだよ」


 アハハと笑い合い、ギルド内部へ。

 ま、大した用があるわけじゃない。

 不用品は売却しとくか。


「御主人!」

「よーし、ヴィルいい子!」


 ヴィルが飛びついてくる。

 ぎゅっとしてやろう。


「すごいお姉さんとソールのパーティーがいるぬよ?」

「顔出してこよっか」


 依頼受付所へ。


「こんにちはー」

「こんにちは」「「「ユーラシアさん!」」」

「おお? どうしたの」


 ソル君パーティー焦ってる?

 困ったよーな顔してるじゃないか。

 どうした?


「ははあ、『魔王』のクエストで難問かな?」

「ええ」

「配下の悪魔を全員負かさないといけないとかって、ポロックさんに聞いたけど」

「あと二人なんです。ザガムムとゾラス」

「特にゾラスが難問で。居場所がわからないのです」

「やっぱ思った通りの展開になったな。塔のダンジョンのウシ子は痛いの嫌いって言ってたから、ムリに追い詰めると逃げちゃうぞ? 魔宝玉渡せばまいったするって約束してきたから、そーしてあげてくれる?」

「「「はい!」」」


 あとはフクちゃんか。


「ヴィル、フクちゃんってワープできる子なのかな?」

「できないぬよ?」

「となると、こっちには呼べないな」


 ソル君が驚く。


「あっ、ユーラシアさんはゾラスを御存じでしたか?」

「うん、フクロウの格好した悪魔だよ。ソロモコっていう島国のクエストで知り合ったんだ。世界平和のキーになってる子だから、揉めたくないんだよね」

「どういうことです?」


 尊敬の感情を吸い上げて魔王に送っているため、魔王が人間と諍いを起こさない仕組みを説明する。

 おっぱいさんビックリ。


「そんな仕組みになってたんですか」

「実に愉快だね。ソロモコのクエスト、あたしに振ってもらえてよかったよ。すんごく楽しめる」

「ユーラシアさんらしいセリフですねえ」


 セリカが笑うが、アンは難しい顔をしている。


「しかしゾラスを負かすのも問題があるのか。どうすればいいだろうか?」

「いや、フクちゃんは人間っぽい考え方する子なんだ。交渉できると思うよ。ヴィル、フクちゃんと連絡取ってくれる?」

「わかったぬ!」


 ヴィルの姿が瞬時に掻き消える。

 ソル君との争いになった時はあたしが間に入るとフクちゃんにも言ってあるから、特に問題はないと思う。

 

「一般的に悪魔はウソ吐くの嫌いなんだけど、フクちゃんは八方丸く収まるならば方便も許されるだろっていう現実主義者なの。ウシ子によると、尊敬の感情を集めるっていう役目から、魔王の信頼も厚いみたい」

「現実主義者、ですか」

「帝国が侵略対象を物色してる。ソロモコも攻められる可能性が高いんだ。あたしもフクちゃんも帝国に出しゃばられると困るから、情報のやり取りしてるの」

「待ってください。もしソロモコが帝国に占領されると?」

「当然フクちゃんは尊敬の感情を魔王に送れなくなるから、魔王が怒って戦争になっちゃう。まあソロモコが占領されるなんてことはないけどね」


 何故ならあたしが介入するから。

 面白くなって欲しいけれども、帝国と揉めたくはないんで、ちょっとやり方が難しいやつ。

 おっと、赤プレートに反応あり。


『御主人! 聞こえるかぬ?』

「うん、バッチリだよ」

『ゾラスに代わるぬ!』

『ゾラスですホー』

「フクちゃん、こっちで魔王関係のクエスト請けてる冒険者がいてさ。魔王に会うために、配下の高位魔族を全員降参させろってことなんだ」

『以前言ってた案件ですね? 魔王様はそういうのがお好きでいらっしゃるから』

「こっちはいい迷惑だぞ? 残りがザガムムとフクちゃんで、ザガムムとはもう話がついてるの」

『ははあ、つまりボクにも降参しろと』

「まあそう。交換条件だね。フクちゃんに形だけ降参してもらう代わりに、何かプレゼントしたいんだ。フクちゃん何か欲しいものとか好きなものとかない?」

『好きなもの、ですか……ボクは有名なエピソードが付属しているアイテムを収集しているので、いただけるなら嬉しいですホー』

「曰くつきのものってことか。あたしが伝説になるのはこれからだから、あたしの所持品ではちょっと歴史が浅いねえ」


 こら、皆して笑うな。


「あっ、昔の帝国の皇妃が大事にしてたという真珠があるよ。内乱が起きて行方不明になったって触れ込みの」

『ええっ! 『慟哭のマルガレーテ』ですか?』

「あたしも異名は知らなかったけど、メッチャ格好いいやないけ。バアルのお宝としてもらったものなんだ」


 バアルとイシュトバーンさんのお眼鏡にかなったやつだよ。


「ヴィルにフクちゃんとこへ運んでもらうよ。気に入ったらあげるから、さっきの条件了承してくれる?」

『形だけ降参というやつですか? そ、それはもちろんですホー』

「よーし、決まりだ!』


 ――――――――――一分後。


『素晴らしいですホー! いただいてよろしいので?』

「もちろんだよ。じゃ、降参してくれる?」

『降参しますですホー。悪魔ゾラスの名と存在にかけて誓うですホー!』


 ソル君達も大喜びだ。

 フクちゃんに挨拶しヴィルを戻す。


「ユーラシアさん、ありがとうございます。でもよかったんですか?」

「いいよ。ソル君もフクちゃんも満足してるじゃないか。あたしも嬉しいよ」


 奇麗ではあるけど、絵みたいに見てていいなーって思うものでも役に立つものでもない。

 もっと問題なのは、所有権が微妙なお宝なんだよな。

 だって昔の皇妃様の持ち物ってことがハッキリしてて、行方不明になったってだけだもん。


 あたしが持ってることを知られたら、帝国皇室から返還要求されそうでもある。

 大して惜しいものじゃないのだ。

 フクちゃんにあげることで仲良くできるなら、そっちの方が嬉しい。


「じゃ、魔王に会えそうなら教えてよ」

「「「はい!」」」

「健闘を祈る。美少女精霊使いの祝福があらんことを」

「「「さようなら!」」」

「バイバイぬ!」


 ハハッ、あたしの祝福を授けたった。

 ソル君パーティーにこやかに退場。

 おっぱいさんが話しかけてくる。

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