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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1069話:あたしはあたしの正義に従って行動する

「……『アトラスの冒険者』ですか」

「うん。ノアとココちゃんを救うことができて大変結構だね」


 帝都から帰宅後、イシュトバーンさん家まで来て、ココちゃんに大体の事情を説明する。


「お兄ちゃんが無事でよかったです。ありがとうございます」

「いやいや、何の何の」

「転移ってすごいですね。どこまで行っても一瞬でお家に戻れるなら、買い物に便利だと思います」

「都会っ子の感想だなあ」


 ノアは田舎でゆっくり暮らしたいって言ってたけど、あんたら帝都育ちじゃん。

 田舎暮らしは慣れるまで大変じゃない?

 イシュトバーンさんが言う。


「おい、この二人、オレに預けろよ」

「またまた。イシュトバーンさんったらココちゃんが可愛いからって、露骨に欲しがろうとするとは」

「違えよ。見ろ、ノアが眠らせようとしてくるじゃねえか!」


 アハハと笑い合う。

 とゆーかココちゃんの着てる侍女服えらく可愛いな?

 金髪ブタ男爵の嗜好なのかしらん。

 侮れないセンスだ。


「『ララバイ』の能力は警備に有用。帝国貴族の侍女の作法も教わろうったって教われるものじゃねえからな」

「まあわかる。ノアは田舎でのんびりみたいな話してたけど、やっぱ農業が必須になるんだよ。帝都人のあんたらには慣れないことでちょっと厳しいから、あたしも当座はイシュトバーンさん家にお世話になった方がいいと思う。どうする?」

「迷惑でなければ、よろしくお願いします」

「おう、よろしくな」


 ノアもココちゃんのことを思って、考え方を変えたようだ。


「セクハラされたら、お姉さん達に相談するんだよ?」

「こら精霊使い、いらんこと言うな。ノアも主人を眠らせようとするな!」


 皆で笑い、昼御飯をいただきに行政府に向けて出発。


          ◇


「行政府というのは?」

「ドーラの政治の中心だよ。役所の名前でもあり、建物の名前でもあり」


 道々、皆と話しながら行く。

 ノアが疑問のようで、行政府について聞いてきた。

 まードーラのことはわからんだろうからな。


「……『行政府』という名の食堂なのかと思った」

「あんたは冗談が上手いなあ。あたしもそれ使わせてもらお」


 アハハと笑っているところに例の二人が登場。


「ユーラシアさん、イシュトバーンさん!」

「密会ですか逢引きですかスキャンダルですか?」

「今日は人数多いじゃん。セリフが相応しくなくない?」

「嫌だなあ、ただの挨拶ですよ」


 新聞記者ズでした。

 今日は新聞記者に縁のある日だ。


「船乗りらしき人が五人と謎の兄妹ですか。大勢ですね? 大きな事件ですか?」

「いや、大したことはないんだけど、皆関係者なんだ」

「「ぜひ、話を聞かせてください!」」

「遠慮がないなあ」


 とはいっても第一皇子のお葬式これからだし、どこまで話していいものやら。

 あんまり大っぴらになるのも良くないか?


「じゃ、話せるとこだけ。こっちのノアとココちゃんは御想像通り兄妹だよ。こっちのノアはちょっと面白い固有能力持ちなんだ。記者さん達の内のどっちか、ノアと握手してみ?」

「では私が」


 男の方の記者が握手、カクン、ぐう。


「ええっ? 何が起こったの?」

「『ララバイ』っていう、眠らせることのできる固有能力だよ。ちょちょいと削ってと」


 船員さんにもらったワサビを眠っている新聞記者の口に突っ込む。


「かーっ、辛い辛い!」

「起きた? これドーラに導入しようと思ってるヤマワサビだよ。醤油と相性がいいの」

「やってることがひでえ」


 イシュトバーンさんは笑ってるし、船員さん達はどん引きだ。

 何故に?


「さて、ここからが本題だよ。帝都メルエルでの話。ココちゃんは平民だけど、可愛いから金髪ブタ男爵の屋敷の侍女をやってたんだ」

「そ、その金髪ブタ男爵とは?」


 あ、大分復活したな。

 まだ涙目だけど。


「女に見境がない男爵ハインリヒ様だ」

「視線がとても嫌らしいのです」

「帝国一のエロ目線で名を轟かせてるらしいよ。でも兄ちゃんが凶悪な能力持ちなのに、ココちゃんを毒牙にかけるってのは薄気味悪いじゃん?」

「「わかります」」

「で、ノア兄ちゃんを始末しようとしたけど失敗。事情を聞いたあたしとノアで、ココちゃんを金髪ブタ屋敷から救い出してきたんだよ。これがついさっきの話」


 コクコク頷くノアとココちゃん。

 ニヤニヤしてるイシュトバーンさん。

 あーって顔してる船員さん達。


「具体的にはどうやって救い出したんです?」

「さっきはわかりやすいように握手してもらったけど、実はノアの能力は離れていても有効なんだ。金髪ブタ男爵の屋敷の人間を手当たり次第眠らせてココちゃんを連れ出したんだよ」

「「誘拐じゃないですか!」」

「まあ誘拐とゆー解釈でもあながち間違いじゃないけど」


 皆結構細かいところ気にするのな?

 本人幸せならどうでもよくない?

 世の中法律よりも大事なことはあると思うよ。


「救出作戦には帝都の新聞記者も同行しててさ……」


 引き止められなかったんだから不法侵入じゃない。

 眠らせるだけなら特に犯罪じゃないのどうのこうの。


「……で、ココちゃんは出奔という形に落ち着いてめでたしめでたし。無事帝都の記者さん達は誘拐犯にならずにすんだんだ」

「ええ?」

「理屈がおかしくないですか?」


 おかしくないわ。

 当事者のココちゃんが十分納得しとるわ。

 複雑な顔をする新聞記者ズ。


「ブーブー言われても、どの辺が犯罪になるのよ? 指摘できないでしょ?」

「開き直られると……」

「まあ無事に収まったんですかね? 何だか納得いかないですけれども」

「ノアが殺されてココちゃんが金髪ブタ男爵の餌食になるのは、なおさら納得いかないだろーが。あたしはあたしの正義に従って行動するのだ」

「「そのセリフいただきます!」」


 パクられたぞ?

 こいつら物事の是非じゃなくて、新聞が売れそーか売れそーでないのかが重要なんだな?


「ありがとうございました。ところで皆さんはこれからどうするのですか? 時間帯で大体想像はできますけれども」

「見破られちゃったかー。レストランドーラ行政府でお食事会だよ」

「「やっぱり!」」


 アハハと笑い合う。


「ノアとココちゃんはこれから新しいドーラ人だよ。イシュトバーンさん家でお世話になるようだからよろしくね」

「「はい、こちらこそ」」


 喜んで帰っていく新聞記者ズ。

 いい記事になるといいね。

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