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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1061話:敵襲!

「御主人! ただいまぬ!」

「よーし、ヴィルいい子!」 


 偵察に出していたヴィルが戻ってきた。

 ぎゅっとしたろ。

 大分陽も傾いてきたが、まだ十分明るい。

 見づらい時間に来るんじゃないかって説からすると、ヤバげな時間にはまだ早そうな気がするが?


「どうかしたかな? まずい気配でもある?」

「ではないぬが、先ほどから一定の距離に一隻の船がいるぬ」

「気味悪いね。どこ?」

「あっちだぬ!」


 進行方向からすると後ろか。

 甲板に出てみたが……遠いみたいだな?

 海面光ってるしよくわからねえ。

 太陽のある方向じゃん。

 船内に戻る。


「こっちからじゃよく見えないね。状況的には怪しいなあ。ヴィルはその船見てどう思った?」

「特に変なところはないぬよ?」

「ふむう?」


 船そのものには怪しいところなしか。

 たまたま帝国行きで航路が同じなだけかもしれないしな?

 仮に襲撃目的だとしても、簡単に尻尾を出すわけないか。


「よし、その船を続けて監視しててくれる? 怪しい動き見せたら、すぐに赤プレートに連絡入れてね」

「わかったぬ!」


 ヴィルが再び飛んで行く。

 船員達が言う。


「ヴィルちゃんは可愛い悪魔だね」

「ヴィルちゃんもさっきの悪魔みたいに、大それたことを考えていたのか?」

「いや、ヴィルは悪いことしない子だよ。好感情が好きだから、皆が喜んでる状況だとヴィルも嬉しいの」

「へえ、そんな悪魔もいるんだなあ」

「もしどこかで見かけたら可愛がってあげてね」

「うむ、わかった」


 ヴィルの後姿を見送った船員が言う。


「高位魔族ってのは何なんだい?」

「定義は知らないけど、強大な魔力をコンパクトな身体に詰め込んだ存在なんだって。今まで会った子は、皆それなりに可愛いよ」

「「ほう?」」

「負力っていう、人間の感情をエネルギーにするんだ。でも大体どの悪魔も悪感情好きだから、こっちを見下したり嫌な目に遭わせてきたりするよ。挨拶みたいなもん」

「だから悪魔は一般的に嫌なやつって言われてるのか」


 いい悪いを決めつけるのは、人間側の勝手な都合のような気もするけどね。

 悪魔は自分の好む感情を得ることに貪欲なんじゃないかと思う。

 それはヴィルであっても例外ではない。

 たまたまヴィルは好感情好きだから、好感情を得やすい行動を取ろうとするんじゃないかな。

 もっとも固有能力『いい子』が作用している可能性はある。


「ただし悪魔は基本的に不当な取り引きが好きじゃないんだよね。どの子もレベル高いから敵対すれば危ないけど、いきなり攻撃なんかしてこない」

「ふうん、じゃあやり方によっては君のように悪魔と付き合えるんだな?」

「うん。でも悪魔を納得させるだけの実力なりメリットなりを持たないと、バカにされるだけ。悪感情を搾り取られる分損だから、遊ぼうと思わない方がいいよ」

「いや、まあ思わないけれども」


 そお?

 あたしが今まで会った悪魔は、皆結構面白い子達だよ。

 あたしは悪魔の知り合いを増やしたいけどなあ。

 特にヴィルは例外的にいい子なので、皆に紹介してやりたい。


『御主人!』


 ヴィルから連絡だ。


「よく聞こえまーす。どうしたの?」

『怪しい船のスピードが上がったぬ! 速いぬ! 追いつかれるぬ!』


 早めに仕掛けてきたと考えるべきだ。

 暗くなっちゃうと、向こうからもこっちを視認しづらくなるからかもな。

 この船だって相当スピード出てる。

 向こうのがうんと速い!


「距離は?」

『二〇〇ヒロくらいぬ!』

「ありがとう。もうそっちいいから戻ってきなさい」

『わかったぬ!』


 皆に言う。


「はい、注目! 今からこの船は襲撃されます!」


 動揺する船員達。


「ど、どうなりそうなんだ?」

「もし向こうから武器なり魔法なりで攻撃してきたら盛大に反撃します。でも体当たりだったら事故だと言い逃れされそうなので難しいです。ほぼ真後ろから来ます。全員ショック対応姿勢を取って!」

「「「「「おう!」」」」」


 確かに後ろから来られると発見が遅れるな。

 ヴィルがいなかったら、ぶつけられる直前まで気付かなかったかもしれない。

 あ、見えた。


「ダンテ、どう?」

「甲板にはノーヒューマンね」

「とゆーことはマジで体当たりっぽいな」


 くそー、敵さんもやり方わかってるな。

 どんどん近付いてくる。


「ぶーつかーるぞー!」


 ゴアアアアアアアアアアーーーーーン!


 衝撃が船体を襲い、全員が船内を転げ回る!

 が、ケガもしてないし無事だな。

 よしよし。

 あ、でも船体傾いてきたわ。

 やっぱ沈むな。


「こらー! なんばしよっと! って、え?」


 前髪で片目を隠した若い男が一人乗り込んで来た。

 特に武器も持ってないし、様子見に来たのかな?

 あ、でも向こうの船が一目散に逃げてゆくぞ?

 どゆこと?


「あんた、何なん?」


 片目を髪で隠した男は答えず、右手をあたし達に向ける。

 攻撃の意思ではなさそうだが?


「何がしたいの?」


 その男はわずかに動揺したが?

 あっ、後ろの皆が倒れてる!

 さては『ララバイ』の固有能力持ちだったか!

 片目男の首の後ろをチョップして気を失わせ、皆の声をかける。


「おいこら、皆起きろ! 沈没するぞ!」


 うちの子達まで寝てるじゃねーか。

 パワーカードを起動してれば『誰も寝てはならぬ』の睡眠無効が発動したろうけど、無手で乗り込んで来たんで油断したな?

 しかしぶつけて沈没を狙うだけじゃなく、眠らせて対応させないようにするなんて、えらく用意周到じゃないか。

 しかも貴重な『ララバイ』の固有能力持ちを使い捨ててくるとは。

 随分思い切った作戦だわ。


「うーん……」

「クララ、起きて! 『オールキュア』かけて!」


 よし、全員目覚めた。

 あの不届きな船を追いかけたいところだが、こっちの船内にどんどん水が入ってきてる。

 沈没間際だな、諦めよう。

 飛行魔法使ってる時に、『ララバイ』男が気付いたりしたら面倒だしな。


「やっぱりダメでした。急いで転移でドーラに帰還しまーす」


 クララにデス爺製の転移の玉を渡す。


「アトムダンテと船員さん達連れて転移して。あたしはこいつ連れて戻るから」

「はい」


 一方的にやられたのは腹も立つが、『ララバイ』使いという玩具を手に入れた。

 収支はトントンってことにしとこ。


「ヴィルは逃げた船マークできる?」

「できるぬ! 印をつけとくぬ!」


 おおう、ヴィル優秀。

 転移の玉を起動し帰宅する。

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